思い出のとき修理します 3 空からの時報 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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感想 : 151
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  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087452587

感想・レビュー・書評

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  • 今、しなければならないことが、自分にもあるはずだ。秀司に、伝えなければならないことが。

    シリーズ第3段。秀司の時計店で、骨董店の娘が働き始め、秀司との関係に少しだけ不安を感じる明里。
    .
    ライバルである郁実、嫌な奴だなぁと思ったけど何故そうなったかが丁寧に描かれててただの嫌な奴止まりじゃない所が素敵な作品だなと思った。シリーズの中でかなり深く"家族"について書かれてて読み応えがあった。
    .

  • 優しい気持ちになれます。

  • シリーズ3作目。
    1〜2作目も、読み終わった時に優しい気持ちになれました。今回は前作より切ない気持ちが強かったと思います。
    ちょっとした誤解や、遠慮や、躊躇いによってすれ違ってしまった過去。過去は変えられないけど、自分の気持ち次第で未来は変えられる。過去の苦しみや後悔を乗り越えた人や、大切に抱えて生きることを決めた人たちに、切ないけれど、やっぱり優しい気持ちになりました。

  • 郁実は、最初イヤな女だなーと思ってたけど、なんつーか可哀想な人だった。
    そして、明里のお父さん登場。
    他の家族の問題を目の当たりにして、自分も家族について考える明里。
    秀司との未来も考える?

  • 前作を読んでから3年半も経っていた。すっかり細かい部分は忘れていたけれど、商店街、神社、秀司と明里ふたりの住まい、時計店の店内。想像の中でできあがる画はその時と変わらないと思う。すごく好きな雰囲気。そして、時計を取り巻く思い出は良くないことが多いけれど、ふたりの空気はなんだか苦しさを和らげてくれて、思い出(その時の思いはそのままでも)は変わらなくても、自分の心のありようが変わって、未来が変わっていくことを予感させてくれる。悪い考えから目を背けすぎないように・・・というメッセージのようにも感じる。私は家族ネタは苦しいと思うことがある。本作もそうだった。でも、読み終えると不思議と晴れやか。この心の軽さをもって、すこし重いことにも踏み込めていければ。いまならそんな一歩を踏み出せるかもと思っています。

    こんな人におすすめ
    爽やかな恋愛物を読みたい。
    ときどき思い出す、胸がチクチクするような思い出がある。


    いつか、このレビューを見返すときが来たら、抽象的で私、何考えてたか全然わからないと思いそうなので、もう少し。家族の問題から目を背けず、自分なりに問題解決のためのコミュニケーションをとろう、と決意した。少なくとも読み終えてほやほやのいまは。気になっていることを抱えながら数カ月、数年普通に過ごしてしまう私なので、行動に移せたら。そして、想像で勝手にネガティブになるのはやめよう。ちゃんと相談に乗ってくれる人がいる。などなど、考えていました。

  • シリーズ3作目。
    久しぶりに会った同級生の哀しい生き方。離れ離れ、そしてうまく分かり合えない親子関係。秀司と明里の関係も関連してきて。
    過去は変えられないけど、思い出の感じ方は変えられる。思い出を修復して前向きに未来へと向かう。そんな登場人物の姿が描かれています。
    修復出来ない関係もあったけど。今回も切なくも温かな作品でした。


  • どうしてこうも、不器用な人ばっかり登場する本なんやろうこれは…!
    もどかしくてたまらんけど、そこが、めっちゃ、ええねん。
    ああ、生き急いだらアカンな…、と、思ってしまう。
    合理性とそのときのことばっかり考えてると、うっかり大事なものを見落としてしまいそう。ほんで、見落としたものを後悔しても過ぎてしまったことはどうしようもなくて、でも、気持ちの上でどうにもならへんから「思い出の時」を、修理してもらいたくて、飯田時計店にやってくるのかなあ…。

    …と、そういうノスタルジックなことはもちろん、秀司くんさいこうやね…。こんな彼氏が欲しいですね…(ズバンと言ったよ)。

    こんな、優しくて、温かい人なんてほんまにいてるんかしら…(笑)。
    気にかかることがあって前に進めないときに、無理強いするんじゃなくて(気持ちの上で)、あくまで相手の立場と気持ちを尊重して話を聞いてくれるなんて、最高ですやん…。

    前作を読んだときはやや走り気味で読んだので、今回はじっくりじんわり落ち着いて読んだのだけど、読了後感想を書くまでものすごい日が開いてしまった…。(;^ω^)

    親として、子に対してこれでいいのかと思わせられることもあれば、子として、うちの両親はこんなやったなと薄べったい目で見たくなることもあった。
    ま、今更両親に対してどうのこうの思うよりも、自分がイヤやと思ったことを、我が子にはせえへんようにするしかないわな。
    それでも、我が子は我が子で私に対して不満があったりするんやから、結局、なかなか完璧にっていうのは、難しいもんなんやね。

    不満があっても、そればっかりに目を向けるのは損なような気がしてきた。
    結局すべてが叶うこともなければ、すべてが叶わないこともないのかもしれない。


    それから、瀧井氏の解説が、このシリーズの一番大事なところがギュっとまとめられていて、
    「ああー…」
    と、膝を打った。

    辛い過去や、消したい思い出を、
    「あれも今思えばいい経験だった」
    なんて無理やり上書きする必要はないのだと。

    辛い過去、思い出したくない事実ならそれはそれでいい。
    自分自身が消し去りたいくらいの過去を肯定する必要はないけれど、それらを乗り越えて「今、ここに立っている自分」は、肯定しようよ、と、いうものだった。

    ああ、それだ。それなんやな、このシリーズの、すべてが解決するわけではないけど確実に前に進めている手ごたえは、それだ。

    正直、自分で自分を肯定するのは非常に難しい。
    ましてや消したい過去を乗り越えた自分を肯定するなんて、たぶん、「消したい過去」を、記憶の中から「なかったこと」に、するほうがまだ簡単なんちゃうんかと思う。

    消すんじゃなくて、つらい過去を抱えたまま前に進もうとしている自分を肯定してあげるんやねえ。
    なるほど、ほしたら「前に進む勇気」も、持てるのかもしれへん。

    辛い過去、あります。
    誰かに対しての自分の行動を後悔しての過去ではなくて、私は、私が私をもっと信用してあげればよかったという後悔のほうが、多い。

    それはいくらでも、取り返しがきくもんね。
    今までの私は、「後悔ばかりの過去」を肯定しようとばかりしていた。そういうのは、やめよう。


    ■■■■

    ■ボーラー帽

    トップが丸く半球形になっている
    のが特徴で、ツバは全周上がっています(下がったものはクロッシェと呼ばれる別の帽子になってしまいます。)。
    日本語では山高帽(中山帽)・アメリカではダービーハットとも呼ばれる帽子で、後にガーター騎士団を作ったトーマス・コークの依頼により1849年にイギリスのウィリアム・ボウラーが開発しました。ボーラーハットの名前の由来は開発者の名前とも、その形がボールに似ているからとも言われています。


    ■セレンディピティ

    素敵な偶然に出会ったり、予想外のものを発見すること。また、何かを探しているときに、探しているものとは別の価値があるものを偶然見つけること。平たく言うと、ふとした偶然をきっかけに、幸運をつかみ取ることである。

  • 大学生1春

  • 3作目‼︎
    今回もスラスラ読めた☆
    2人の関係性も少しずつ変わっていって
    すごく面白かった❤️

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著者プロフィール

三重県出身。『パラダイスルネッサンス楽園再生』で一九九七年度ロマン大賞佳作に入選しデビュー。「伯爵と妖精」シリーズ、ベストセラーとなった「思い出のとき修理します」シリーズ、「異人館画廊」シリーズ、『がらくた屋と月の夜話』『まよなかの青空』『あかずの扉の鍵貸します』『ふれあいサンドイッチ』など著書多数。

「2023年 『神さまのいうとおり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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