明智小五郎事件簿 8 「人間豹」 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 105
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087455298

作品紹介・あらすじ

神谷芳雄の愛人の弘子がつとめる京橋のカフェで、芳雄は怪物人間豹を知った。二人に襲い掛かる危機、さらには、歌姫の江川蘭子も魔の手に──。小五郎との対決や如何に!!(解説/桜木紫乃)

感想・レビュー・書評

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  • 歌舞伎・江戸宵闇妖鉤爪の予習に読んだ
    久々に江戸川乱歩読めて良かった

  • 読了 20230628

  • ハラハラドキドキしながら一気に読んでしまいました。

    あり得ないと思いながら、もしかしたらあり得るかも…と思わせる筆さばきがさすがです。

    一瞬で昭和初期にタイムスリップして明智小五郎と一緒にスリルを味わえます。今回は新婚の奥様がピンチに…。

    手に汗握る濃密な乱歩ワールド。物語の世界に入り込む体験は、読書っていいなと改めて思わせてくれておすすめです。ワールドカップでそれどころではないかもしれませんが…。

  • タイトルは不気味で興味をそそりますが、釈然としない読後感でした。
    犯人の狡猾さと執拗さは嫌なものがあります。

  • 江戸川乱歩『人間豹 明智小五郎事件簿Ⅷ』集英社文庫。名探偵・明智小五郎の活躍を事件発生順に並べた興味深いコレクションの第8巻。

    再読し、大昔、ポプラ社の『少年探偵団シリーズ』で、このタイトルを目にした時、一体どんな怪人が登場するのか非常にワクワクしたことを思い出した。探偵推理小説らしからぬSFチックな、オカルト風なタイトルに好奇心を大いに刺激されたのだ。後に同シリーズに『電人M』が登場するまで、この『人間豹』が一番興味深いタイトルであった。

    神谷芳雄の恋人の弘子が恩田という不気味な男に捕らわれ、惨殺される。その後に神谷の恋人となった江川蘭子にも恩田の魔の手が…神谷を助けるべく明智小五郎は…

    今回も巻末に平山雄一の『明智小五郎年代記』が収録されており、作品の背景、登場の風俗や世相を知ることが出来る。

  • 登場人物の危機の描写が続き、エンターテイメント性は高い作品。「エロ」「グロ」の描写もやや抑制的で、なんとか読める。

    しかし、恩田親子にも明智小五郎にも、誰にも感情移入できない。驚いたり、感心したりできるようなトリックもない。ただ、登場人物が追い詰められる描写が繰り返されるだけ。

    多分、もう読み返さないだろう。

  • 1930~31(昭和5~6)年の事件。明智探偵は開化アパートを引き払い、麻布区竜土町(現在の六本木だそうですよ)に新居である白い西洋館をかまえて文代さんとは結婚。リンゴのほっぺの小林少年と女中さんも同居中。
    しかし素朴な疑問なのだけど、探偵の収入源ってもちろん事件解決の報酬なのだろうけど、一体おいくらくらいのものなのかしら?(下世話)いや以前から探偵業ってどのくらい儲かるのか気になってたんだけど、明智探偵事務所がどんどんグレードアップして扶養家族も増えていくにつれますます相場が気になって(笑)依頼人はわりと気軽に、そうだ名探偵に相談してみようって感じでやってくるけど、いくら社会悪との戦いとはいえタダ働きはできないだろうし、名探偵なんだから、お高いんでしょ?っていつも思ってしまう(ほんと下世話ですみません)外見は相変わらず、モジャモジャ頭に、痩せていて髭のない顔、さらに今回新情報、明智くんは眉毛が濃いらしい(笑)(どうでもいい)

    さて閑話休題。今回の敵「人間豹」は今までの中で一番ビジュアル的に「化け物」「怪物」感が強いですね。今までの多くの犯人のように見た目普通なのに実は変な性癖、というのと違って、もう見るからに人間じゃないっていう、まさに「人間豹」というおぞましさな上に、被害者の殺戮方法もまさに獣のやり口。ただこの人間豹=恩田が何故そんな人間になってしまったのかの説明が最後の最後でチラっとしかされないのがちょっと残念。それも噂、想像の域でおそらく「人獣混血」だろうと。実際、恩田以上に凶悪で狡賢いのはその父親のほうだったと思うので、できれば本人の口から人間豹誕生の経緯と、これまでどうやって生きてきたのかを語って欲しかった。そうすればただただケダモノなだけではない人間豹の哀愁みたいなものまで感じられたのではと思う。

    とはいえ、単純に娯楽作品としての面白さは抜群。劇場型犯罪という言葉がありますが、乱歩の場合はまさに劇場や見世物小屋、サーカスなど観客のいる場所で犯罪を堂々と披露するタイプの犯罪多い。本作でも度々、観客の前で大掛かりな犯罪見世物が行われます。浅草公園の様子なんかも当時の雰囲気がしのばれて好きだなあ。花やしきの名前は当時からあったんですね。アドバルーンでの逃走劇(しかも綱切って逃げられる)はさすがに既視感ありすぎたけど、文代さんが人間豹の標的にされて攫われたり、明智探偵自身も拉致監禁されてしまったり、なかなかハラハラドキドキ飽きさせない展開でした。ただ文代さんは可哀想すぎた。いくら彼女が元魔術師の娘で肝が据わっているとはいえ、あの終盤の展開は残酷すぎるし、女性なら耐えられないと思う。しかしまあ当時はスマホやSNSがあるわけじゃないからセーフだったのかなあ。今ならあっという間に誰彼かまわず写メられてネットで拡散、文代さんは表を歩けなくなると思う・・・。

    • yamaitsuさん
      mkt99さん、こんにちは(*^_^*)

      ポプラ社版、私も小学生の頃に少年探偵団ものは少し読みましたが、子供むけに若干リライトしてある...
      mkt99さん、こんにちは(*^_^*)

      ポプラ社版、私も小学生の頃に少年探偵団ものは少し読みましたが、子供むけに若干リライトしてあるとはいえ『人間豹』はなかなかエグいセレクトですよねえ(^_^;)
      私は『夜光人間』程度でもタイトルと表紙絵だけで怖かったので、さすがに『人間豹』を読む勇気は当時ありませんでした。

      探偵の収入源、やはり小説の中で描かれることは少ないんでしょうか。映画の金田一耕助がちゃんと謝礼を貰っていたとは!見逃していました。
      でも金田一耕助だと、見た目からして貧乏そう(失敬)で、あんまりたくさん謝礼貰ってなさそうな印象ですが、明智小五郎は少年探偵団の映像化作品のイメージか、ダンディで羽振りが良さそうなので、余計に気になるんですよね~!

      小説になるような大事件だと警察と連携プレーとかも多くて正式の依頼人がいないような場合もあり、ほんと謎です。
      小説に書かれていないような部分で、お金持ちからの楽な仕事を請け負ったり、なにか執筆業で印税貰ったりしてるのかしら。

      ホームズは、ロバート・ダウニー・Jrが演じた映画版を見たときに、従来の知的な紳士のイメージを覆す汚れっぷりに驚愕したんですが、実は原作のホームズは意外とああいう一面もあるらしく・・・もしかしてそんなに儲かっていないのかもしれません(笑)
      2016/12/22
    • 淳水堂さん
      お邪魔します(^^)

      金田一耕助への謝礼は、映画を見た原作者の横溝さんが「すっかり耕ちゃんへの謝礼書くの忘れてた!もらってたんだ!」と...
      お邪魔します(^^)

      金田一耕助への謝礼は、映画を見た原作者の横溝さんが「すっかり耕ちゃんへの謝礼書くの忘れてた!もらってたんだ!」と思ったようなので、読者としては考えたら野暮なのかも(笑)

      同じ小五郎でも毛利小五郎は、あのビルのオーナーかなんかで不動産収入があるとかなんとからしいです。

      あとパトロンとかいるのかな?と思う。金田一耕助はアメリカの日本人社会の大物に気に入られて日本で探偵やってるので、仕送りもあるんじゃないの?とか。
      明智小五郎ならダンディだし上流社会の方々からの依頼を受けてそう。
      2016/12/24
    • yamaitsuさん
      淳水堂さん、こんにちは(*^_^*)

      やはり作者でさえ、探偵への報酬は失念しているものなんですね。読者のほうが「大丈夫かな、このひと生...
      淳水堂さん、こんにちは(*^_^*)

      やはり作者でさえ、探偵への報酬は失念しているものなんですね。読者のほうが「大丈夫かな、このひと生活していけてるのかな?」って心配になっちゃうという(笑)

      パトロン、いそうですね~!あと明智小五郎は奥さんの文代さんがホントはお金持ちの宝石商の娘だったという設定なので、奥さんの実家からのバックアップとかもあったりしそうです。

      そしてありがちですが、高級なペットのシャム猫が逃げたのをつかまえただけで大金くれる大金持ちの依頼主とかいるのかも(笑)
      2016/12/26
  • 第8巻。
    『人間豹』というおどろおどろしいタイトルのインパクト、スリリングな冒険活劇のワクワク感……子供の頃はさほど好きな作品ではなかったのだが、大人になるとまた違うものだなぁ。

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著者プロフィール

1894(明治27)—1965(昭和40)。三重県名張町出身。本名は平井太郎。
大正から昭和にかけて活躍。主に推理小説を得意とし、日本の探偵小説界に多大な影響を与えた。
あの有名な怪人二十面相や明智小五郎も乱歩が生みだしたキャラクターである。
主な小説に『陰獣』『押絵と旅する男』、評論に『幻影城』などがある。

「2023年 『江戸川乱歩 大活字本シリーズ 全巻セット』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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