バカが多いのには理由がある (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087455335

作品紹介・あらすじ

世の中を見渡せば極端な右と左ばかり。なぜ日本の言論界は「バカ」だらけになってしまったのか。かなり不愉快、しかし納得。政治、経済からワイドショーネタまで、今大注目の作家がズバリ解説!

感想・レビュー・書評

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  • バカとは、ファスト思考のこと。人類はみんなファスト思考とスロー思考を使い分ける。つまり、人類はみんなバカである、けれども、スロー思考をちゃんと働かせて、不都合な真実に目を向けよう、という本(のはず)。

    タイトルは過激だが、内容は気を衒うものじゃない。
    ルワンダ虐殺に関する、人道支援の闇(四肢切断)の話には衝撃を受けた。その事実を炙り出した」クライシスキャラバン」を読みたい。

    また、冒頭の、自由、平等、友愛(共同体)の正義はそれぞれ両立せず、政治的な立場の違いがうまれる点はすごく腑に落ちた。

  • 本書で言うバカの定義はファスト思考しかできない人のこと。遺伝子が太古の記憶から進化できていず、直感が不愉快で不都合な言動と結果につながっている。まっとうに生きる多数派が割を食い、年功序列と終身雇用の悪弊が社会を支える生産人口を疲弊させる。前作と本書を読むと、不愉快なこと、バカが多い理由が判る反面、希望が持てなくなりそうだ。

  • 自分の頭で考え・判断しろ、と教えてくれる本。
    ニュースや新聞に書かれていることを、そのまま受け止めるのでなく、一歩引いて全体を見る必要がある、と気づかせてくれる。

  • よくもまぁ、こんなに調べたものだと感心。歯切れの良さで読みやすく、少し昔ながら『そういえば、どうした?』と思い出しつつ読めた。

  • 直感での判断は遺伝子に組み込まれているから避けようがないが,全部それで判断するのはおバカ!

  • 表紙裏に社会評論集と書いてあるが、まさにそんな感じだ。参考文献を引きながら、時事問題を斬る。その切り口が、考えを放棄したバカに対して、真実を教えてやろうとする橘玲らしい発想だ。この発想、のっけからファスト&スローというダニエル・カーネマンの引用により、先入観で直感に処理する愚かさを挙げる。次にチンパンジーの世界に存在する互酬性などのルール。チンパンジーにも、所有権の概念があり、ボスザルであっても、先に餌を手に入れたサルに遠慮するらしい。人間を馬鹿にしたキワドイ切り口が、なんとも面白い構成である。

  • 「2012年11月から14年6月にかけて『週刊プレイボーイ』に連載した「そ、そーだったのか!? 真実のニッポン」を再構成するとともに、前後にプロローグとエピローグを加えて一冊にまとめたもの」

    プロローグの、「ヒトはみなバカ(直感思考型)」、「正義とは、進化の過程のなかで直感的に「正しい」と感じるようになったもの」、「チンパンジーの世界にも、「自由」「平等」「共同体」という正義があ」ること、「゛正義゛とは自分(たち)のなわばりを守ることで、゛悪゛とはなわばりを奪いに来る敵のこと」、Part3の「ヒトは石器時代から…利己的な人間が集まる集団に秩序をもたらすため…進化の過程のなかで゛裏切り者感知システム゛を高度化させてきた」ため、「私たちは集団のなかから裏切り者を探し出し、バッシングするのが大好き」なこと、「行動遺伝学は一卵性双生児と二卵性双生児の比較から、知能における遺伝の影響が80%ちかくあることを明らかにし」た、といった記述が、目から鱗と言うかとても印象的。

    共同体主義者(コミュニタリアン)は、「近代以前の封建社会に戻せという暴論を唱えているのではなく、リベラリズムの理想を受け入れたうえでその過剰を憂えている」のだというが、数学者・エッセイストの藤原正彦氏はまさにこの範疇の人なんだろうなあ。

    エピローグで紹介している、アフリカ人道支援を巡るNGOビジネスの闇は、地球温暖化を巡るNGO活動に通じるものがあると思った。

    物事を相対的に捉える著者の視点は、「バカの壁」に通じるものがあるなあ。

    図書館利用。

  • ファスト思考とスロー思考

    正義とは、進化の過程で正しいと感じるようになったもの

    進化から生まれた3つの政治思想
     ・自由主義
     ・平等主義
     ・共同体主義

    啓蒙主義が生んだ政治思想
     ・功利主義

    すべての思想はトレードオフの関係

    人間はバカな生き物であるという不愉快な現実をまずは認識する

  • 少し情報が古いが(2012年の衆議院選挙をベースにした話が多い)、ちょうどこれから衆議院選挙を迎えるにあたり、政治ネタが多く、今回どの党に投票すべきか考えが整理できた。今のうちに読むのがある意味 旬かも。
    多くの人が超短期思考か、ほぼ思考停止状態で生きているのかもしれない。。とあらためて思った。
    というか、そう考えると辻褄が合うことばかり!
    という現実に気づけたのは良いのだけど、実際困ってしまいます。

  • 自分ではなく、自分たちを自慢する日本人。自己卑下する。耳障りのよい話は疑ってかかったほうがよい。日本では正社員になることは会社のいいなりになること。官庁は、労働基準の対象外。規制とは誰の利益を守っているのか、科学的な根拠はあるのか。
    事業者に補助金を払うことで市場をゆがめるよりも、サービスを必要とする人に直接援助がゆくようにした方がよい。希な似非科学と科学の常識を併記して公平とみなすマスコミのおろかさ。芸術家は遺伝できまる。正義には複数の正義あり、自分とことなる正義を尊重すること。

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著者プロフィール

2002年、金融小説『マネーロンダリング』(幻冬舎文庫)でデビュー。著書に『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』(幻冬舎)、『日本の国家破産に備える資産防衛マニュアル』『橘玲の中国私論』(以上ダイヤモンド社)『「言ってはいけない? --残酷すぎる真実』(新潮新書)などがある。メルマガ『世の中の仕組みと人生のデザイン』配信など精力的に活動の場を広げている。

「2023年 『シンプルで合理的な人生設計』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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