- Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087458770
感想・レビュー・書評
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この本を読んで、子どもの時ってちょっとのことがものすごく嬉しく、初めて触れる死や、自分や他者の負の感情がとんでもなくしんどくて、いつも胸がいっぱいだったっけなあと思い出した。
タイムスリップして実家を覗き込むような、なんとも言えない切なさはあるものの、やっぱりさくらももこさんの作品だから、どこかクスッとくる部分もあって良い。こんな細かく昔のことを覚えていてくれてありがとうという感じ。
「雲の中に入った思い出」が、父ヒロシとお姉ちゃんとの、ささやかだけどただただ楽しかった思い出で、これを書いてもらえたヒロシは嬉しいだろうなあというところまでなぜか想像してしまい、じーんとした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
なんと2歳の時の話から小学校一年生の時の話まで。
記憶力が凄すぎてびっくりした。
小学校に入る前のことを、ましてや2歳の時のことを、状況・相手の言ったこと・自分の気持ち全て詳細に覚えているなんて。。幼少期両親等がしてくれたことをよく覚えていて親孝行だなぁと思うけど、してくれなかったこともよく覚えていてそれは可哀想かも。
幼稚園のお遊戯会がバカバカしいと思っていたことや、それを親に説明しても子供のくせにと言われるだろうと思っていたことなど、大人のような思考でまたまたびっくり。
人間としての根源的なこと(物の善悪や心の存在、人や動物の生死など)を気付いた瞬間の気持ちをこんなに覚えているのは、とても貴重なことだと思った。 -
最初は、「こんな事まで書いて発表するのか」と衝撃を受けた。自分なら墓場まで持っていく、とまではいかなくても余程のことが無い限り人には言えない。さくらももこは、発表してあらゆる人に読まれることを選んだんだ…!と驚きました。
幼少期にみた情景や体験を、ちょっとセンチメンタルになりながらさくらももこと再体験できるように感じました。
「盗んだビーズ」と「松永君をぶった」が切ない。後者は特に、自分がやったわけでもないけれど胸がしめつけられる。 -
さくらももこさんの幼年期のエッセイ。「あとがき」にご本人が書いていたが、これまで幼年期より上の年代のエピソードばかりを選んで書いてきたので、幼年期を取り上げたのは初めてとのこと。そういう意味でも貴重な本だなと思った。2歳の時の話なども含まれているが、本当に良くこんな小さな時のことを鮮明に覚えているなと思うような内容だ。これまで読んださくらももこさんのエッセイや「ちびまる子ちゃん」からも全く違和感のない等身大のさくらももこさんであると同時に、小さいのにこんなに色々考え感受性の強い子だったのだなという感想も抱いた。「ちびまる子ちゃん」で慣れ親しんだご家族もたくさん登場し、ほのぼのした子供時代のエピソードがとても面白かった。
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小さい頃、誰もがこの本と似たような想いを抱いていたのではないだろうか。
いろんなことを子供なりに考えては悩んできた気がする。そして自分も十分「大人」になったのだな、と思った。 -
主に先生の幼少期、小学1年生くらいまでの出来事についてユーモア・毒気に加えて情緒たっぷりに綴られた自伝エッセイ。
24エピソードを収録。
個人的に一番深く刺さった話は〈盗んだビーズ〉。私自身同じような事をしてしまった体験があり、普段はほとんど思い出す事はないがふとした時に記憶の底から迫り上がってくる後悔やら恥ずかしさやら何とも言えない感覚がある。「もし誰かに許してもらえるとしても、盗んだという事実は消えない」(p102)というフレーズはまったくその通りで、恐らくは脳機能として記憶が衰えるまで消える事はないのだろう。
〈乳母車から見た景色〉は幼い頃の記憶のさみしさ、美しさ、頼りなさを感じられる話。さすがに乳母車時代のことは覚えていないし父母に抱っこしてもらっていた感覚ももうわからないが、だからこそ我が子には少しでも思い出として残るように接したいな、と思えた話。
〈大失敗〉はさくら先生流に面白エピソードとしてまとめられているけれどほんのちょっと辛い話。ちびった時の絶望感とどうにもならなさって半端ないよね。
小さい頃のことを思い返すきっかけになったと共に、押し込めていたトラウマやら苦い記憶やらも呼び覚まされた一冊。
と同時に、本書の直前に『神のちから』を読んでいたこともあり、なんだかとても安心して読めた。
1刷
2021.12.18 -
せつないけど、やっぱり最後にはほっこりします。
さくらももこさんの本が大好きです(^ ^) -
クスリと笑えてジンワリ涙が出る日常でおなじみだったさくらももこさんのエッセイ、今回は幼少期が舞台で、今までとテイストがちょっと違う。
いまは遠く忘れてしまっていても、
小さな頃誰もが経験したであろう
『死』『罪の意識』『痛み』『気持ちが通じること』など、はじめての感情が綴られています。
幼い頃、常に不安や心配事を抱えていたというさくらさん。
何かを経験し、知り、学ぶ。
“大人になる”ということについて。
人間の根幹をつくっている、もっともっとシンプルなこと。
わたしも物事を深く考えすぎてしまうタイプで…
それが小さなころからずっと悩みでもありました。
でも…苦しく辛いけれど、
“考えすぎ”のエネルギーは計り知れないのかもしれない。
知識を蓄えるんじゃない、知恵を持つ。
さくらさんのあとがきを読んで、
すごくすごく気持ちが楽になった。 -
さくらももこさんの2歳半から小学1年生くらいまでの幼年期のことを書いたエッセイ。これまで読んだことのあるさくらももこさんのエッセイの中でも特に読んで共感できる内容でした。(でも2歳の頃の記憶なんて私は無いです)よく、子供の心は純真で大人になるにつれて汚れていくとか言われることに私も違和感を感じていたのですが、さくらももこさんもそう感じていたようです。ひとつひとつの経験の中から意味に気づいたり悩んだり理解しながら成長していくのなら、大人になった魂はより美しいものに違いない、と。私もそう思います。その一方で、幼年期というのは大人になっていく自分自身の核になるものだから、本当に重要な時期なんだとも思います。読みながら私の幼年期の出来事も思い出して本当に懐かしくなりました。近所のかわいがってくれたおばあちゃんが亡くなったことで人はやがて死んで二度と会えなくなることを知り、毎晩泣いていたというさくらももこさんでしたが、今はそのさくらももこさんご本人がこの世にはいないということがとても切ないです。でも、こうして本を開けばいつでもさくらももこさんを感じることが出来るのがありがたいですね。
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授乳中に一章ずつ読み進めるのに丁度良かった。
自分は幼少期の記憶はほとんど無いが、この本を読んで「そういえば自分もこんな風に子どもなりに考えて生きていたなぁ」と思い出した。
これから子育てをするにあたって、どんなに幼い子どもにも矜持があるということを忘れないようにしたいと思った。