- Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087462081
感想・レビュー・書評
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梁山泊軍の命脈である塩の道に青蓮寺の手が伸びる。
捕縛された盧俊義の救出と、残った証拠を回収すべく梁山泊軍が出動する。
今回は沈機の拷問談義と、関勝が印象に残った。暗殺者史文恭も意外な姿となって再登場。 -
本巻の主な事件は、
1 青蓮寺による廬俊義の捕縛
廬俊義は梁山泊を経済的な面から支え続けてきた大物であり、ここで死亡することがあればそれこそ梁山泊にとって大打撃であるが、弟子の燕青の超人的な活躍により梁山泊へ脱出。この描写は読んでいて非常にハラハラした。
2 梁山泊軍の北京大名府一時占領
北京大名府といえば東京開封府に次ぐ大都市である。一時的であるにせよ、ここを占拠できたということは梁山泊の攻撃力がついてきたということだろう。
3 雄州の関勝将軍による梁山泊進軍
これにより北京大名府の占領は一時的なものとなってしまった。このとき梁山泊にはビッグネームは不在であり、ここでもし本腰を入れて梁山泊を攻められていれば間違いなく陥落していただろう。しかし攻撃しなかったことで、いよいよ関勝の梁山泊入りを濃厚なものとさせる。
4 関勝将軍の梁山泊入り
今まで梁山泊入りした元官軍の将は、その経過の詳細が描かれていたが、関勝の場合は葛藤や心情の移り変わりが主で、具体的な行動の記述がなされていない。実は気になって次巻を見てみたのだが、いつのまにか関勝一派が融け込んでいた。北方氏独特の遊び心の一つなのだろう。
主要な官軍の将もほぼ梁山泊入りし、今後の人事的な展開が楽しみである。本作品の魅力の一つは様々な人間の生きざまが描かれることにある。お気に入りの登場人物は?と聞かれてもまだこれだという者は定まっていないが、全19巻を読み終えるまでには虜になるくらいのキャラが現れるのだろう。それを楽しみに読み進めよう。 -
北京大名府進行、ロシュンギ奪回。
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文句なくいろいろなことが破滅に向かっていて、滅びの美学って感じがしてきた。
そういう中で、やっぱり燕青の活躍は心に残る。拷問の怖さと共に。関勝もあげたいのだけど、とりあえずは「顔を壊された男」宣賛の存在感に負ける。関勝が煮え切らないからかな。
物語の進行よりも、登場人物の存在感が光る一冊。なかなか気持ちがよい。
2008/9/12 -
燕青が盧俊義を背負って、北京大名府を脱出する回。
よって、普通なら燕青と盧俊義のことを書くのでしょうが、
自分がこの巻で印象に残ったシーンは、拷問と豪傑たちが酒を飲みながら、死んだ仲間のことや大刀関勝のことを語るシーンです。
拷問というと、相手の体に鞭を打って痛みを与えることで、暴露させるものと一般的には思われますが、ここに出てくる男たちはいずれも大志を抱いた豪傑たちなので、その程度では、暴露するはずもありません。
ここでの拷問とは、相手の希望を一つ一つ潰していき、生きる希望を無くさせること。その後、同じところを何度も何度も責めては、一時休憩を与えて、また同じところを繰り返し責める。相手が死にたくなるまで、それを毎日繰り返す。
そう!心を毀すのが、拷問なのである。
水滸伝は大志を抱いた豪傑たちの物語。その根本を断つ!という意味でも、この巻の拷問シーンは興味深いシーンとなっています。
そして、豪傑たちが酒を飲みながら語るシーン。
呼延灼と彭玘が朱富の店で、韓滔の最後を語り合い(呼延灼・彭玘・韓滔は梁山泊に加わる前からの戦友)、そこに林冲と史進も加わり、話は大刀関勝から黒旋風の李逵のことまで放談します。
この中で朱富だけが軍人でも豪傑でもありません。もちろん梁山泊の一員ではありますが、彼は梁山泊のある湖のほとりで魚肉の饅頭を売る飲み屋の主人です(梁山泊への船渡しが本当の彼の役割ではありますが)。
雄々しい男たちが酒を飲みながら吐露するところを、私たちは朱富の目を通して垣間見ることで、英雄豪傑たちの中の弱い側面を見ることができるのです。
英雄豪傑の活躍だけが読みどころではない。人には様々な魅力があるところを、この水滸伝ではあらためて感じさせます。 -
2010年7月5日(月)に読んだ。
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今まで読んだ水滸伝の中で一番泣いた。
廬俊義を救うために燕青が救い出して
梁山泊まで運ぶところが泣けて仕方がなかった。
死域をも超え、ただ無我夢中になって進むさまが
鮮明に浮かぶようで自分まで苦しかった。
あと、関勝が加わった。あー良かった。 -
捕らえられた盧俊義を燕青が助け出す。関勝が進軍後、梁山泊に入るまで。