すきまのおともだちたち (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087462937

感想・レビュー・書評

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  • 不思議な世界観だけどほっこりする。

    当たり前ってなんだろうと考えさせられる。

    間に入る絵も、文章もスっと入ってきて
    1時間程度で読み終えた。

  • 行ったことある、と思った。
    昔、夏休みが何週間もあった頃。暇を持て余してただぶらぶらしていた子供の頃。
    思い出の中にある名前も忘れた"街"たち。
    あの頃の時間はもう過ぎ去っていて、ただ私の記憶だけがそれがあったことの証明。
    時々不思議になります。もう二度と戻ってこない過去の時間。

  • 江國さんの童話をよむと、なんでこんなに素敵なお話しがかけるのだろうといつも思ってしまいます。
    この物語の女の子は、生まれたときから両親もなく、1枚のお皿と、レモネードを作ったり、針仕事をして暮らしていますが、淋しくはないのかな。なんでこんなに凛としていられるのかと思いました。そしてなんでこんな小さな女の子の口から、こんなすごい言葉がでてくるのかとも思いました。

    話は変わりますが、今年の初めに出版された江國さんの童話集は、再読のものも多かったのですが、あまりのすばらしさに感激して、思わず、海外にいる絵本作家の友人に手紙を書きました。そしたらやっぱり彼女も「江國さんが好きだ」という返事がきました。彼女とはかれこれ数十年余のお付き合いですが、江國さんのことを話したのは、初めてでしたが、とても嬉しかったです。実際に会って話した回数より、お手紙を交換した回数のほうがずっと多いんです。
    彼女はこの本に出てくる女の子のような生意気な言葉づかいは全くしない穏やかな人ですが、凛としたたたずまいや、立ち姿、いつもスカートをはいている姿。そして、いくつになっても彼女は小さな女の子なのに、しっかりと自立しているところが、まるでこの女の子のようだと思いました。
    昔々、彼女の自宅に招かれて、チャイをいれてもらったことがあるのですが、それがとびきりおいしかったのが忘れられなくて、江國さんの物語に出てくる紅茶と同じだったからだ。とこれを読んで気づきました。
    私は江國さんの文章ではデティールが一番好きです。ただ「パン」だとか「紅茶」だとかかかれているだけなのに、すごくおいしそうにみえます。

    「ギンモクセイの茂み、レモンの木の生えた庭、なんでも一人でてきぱきとこなす、「小さなおんなのこ」すきまから落ちたときにだけ会える、彼女は私の勇ましい友人です。」という最後の一文を読んで、私も地球の裏側のサンパウロに住んでいる彼女に、今年もお手紙にクリスマスカードを添えて送ろうと思いました。
    最近、手紙がこないけど、元気にしているでしょうか。

  • 江國さんの作品は、不思議で物寂しいくもありつつ、ほっこりする。

    この作品を読んで一番印象に残ったのは、「記憶(思い出)と成長」だった。私の中にいる他人の印象はいつだって過去のものであり、現在のものではない。だから、アップデートする必要があるのか、ないのか、それはよくわからない。

    年月が経ったら、再び読み返したい。

  • 絵本のような物語。
    これはひょっとしたら女性にしか分からないことなのかも。
    日常生活を送っていて、不意に滑り落ちる「すきま」。
    異空間のようなもので、時は止まったまま。
    いつ滑り落ちてもそこだけは永遠に変わらないでいてくれる大切な「空間」。
    こちらが結婚しても母になっても祖母になっても、「すきま」の住人達はそんな事お構いなしにいつでも温かく迎えてくれる。
    こういう心の拠り所って生きていく上で大切だ。
    誰にも言わず誰にも知られず「女の子」は何度だって旅人のようにそこへ行き元気を貰い、帰るべき場所へ帰ってくる。
    きっと私も。

  • 可愛らしい絵に非日常が描かれている。
    すきまの世界は特別な出来事はおきないけれども変わらずに存在している。
    変わらずにいてくれる、それは安心な世界、特別な世界。

  • すきまの時間は、現実よりゆったりと流れている。
    女の子はいつまでも女の子のまま。
    お出かけの用意が周到で、しっかりものの、ちょっとおませな女の子との旅は、ほほえましくて、楽しくて。
    忙しい現実のすきまに、こんなかわいらしいおともだちがいるなんて素敵です。
    「旅はいつか終わるのよ。」と、時々釘をさしてもくれます。
    こんな世界を、年老いてもずっと持ち続けていたいです。

  • こみねゆらさんのイラストと共に、優しい色使いの世界に心洗われる絵本のような小説。

    固有名詞の少ない物語に不思議な浮遊感を楽しみながら読み進めた読後、ふと1つ印象的だった単語を調べて、再び現実から物語の世界観に引き戻されてる今… 最高。

  • はじめて江國さんの作品に触れました。すきまの中で展開される物語はなんだか不思議な感じがしつつもこんな世界をつくれる江國さん、他の作品も見てみたいと思いました。

  • 大人も楽しめるファンタジー小説。
    柏葉幸子さんの『霧のむこうの不思議な町』のように
    この感じの小説は
    不思議な町へ行くのは一度きりで
    二度と戻ることができず、
    あれは夢だったのかしら、と思うラストになるのですが
    (『千と千尋の神隠し』もそうでしたね)
    今回の物語は不思議な町に何度も主人公の女性が行く。
    その町に行くタイミングと現実に戻るタイミングは
    彼女が決めることができない。

    不思議な町にいる間は
    彼女は現実の世界の中で
    あくせく追われているようなことからも解放され
    とても大らかで寛容な気持ちになっている。

    誰にも知られないうちに
    隙間に落ちるかのようにして行ってしまう
    不思議な町。

    白昼夢のようでもあり、
    でも現実につながる確かな部分もあり。

    そんな町に
    いつか行くことがあるだろうか。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      こみねゆらのイラストが気になってるのですが(単行本の時から) 。なかなか読む気になれなかったのですが、、、
      目の端に入ったhonnooboe...
      こみねゆらのイラストが気になってるのですが(単行本の時から) 。なかなか読む気になれなかったのですが、、、
      目の端に入ったhonnooboegakiさんレビューから、やっぱり読もう!と思っています。。。
      2012/07/11
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著者プロフィール

1964年、東京都生まれ。1987年「草之丞の話」で毎日新聞主催「小さな童話」大賞を受賞。2002年『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』で山本周五郎賞、2004年『号泣する準備はできていた』で直木賞、2010年「真昼なのに昏い部屋」で中央公論文芸賞、2012年「犬とハモニカ」で川端康成文学賞、2015年に「ヤモリ、カエル、シジミチョウ」で谷崎潤一郎賞を受賞。

「2023年 『去年の雪』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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