- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087464467
作品紹介・あらすじ
クラスメイトは六年間一緒。刺激のない田舎に住む小学生のセンリだが、気になることは山積みだ。身体の弱い妹への戸惑い。いじめられっ子への苛立ちと後ろめたさ。好きな男の子の話題で盛り上がる女子の輪に入れない自分。そして悔しさの中、初めて自覚した恋心-。子どもだって単純じゃない。思春期の入り口に至る少女の成長過程を繊細にすくいあげた、懐かしく、胸の痛みを誘う物語。
感想・レビュー・書評
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『私、なんでみんなみたいに普通じゃないのかなぁ。』と気後れする事が多かった小学校時代があるのですが、その頃を思い出させる様な作品だった。
想像力が豊かで感受性が強くて、でもマイペースで、妙に独りよがりな正義感が強くて、何となく生きにくい。
私と重なるセンリちゃん。
あなたの気持ちが少しわかる。
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この作者には珍しく、舞台を小学校に、主人公を多感な小学生の女子にした短編集。
女の子たちの微妙で難しい人間関係や感情の起伏をリリカルに描いていて、本当に素敵。胸が痛くなる。 -
小学生のセンリが1年生から6年生までの短編集。
キラキラした子供時代ではなくて、子どもの頃に感じた違和感や不安、胸が痛むこと、気持ちがもやもやざわざわすることが中心に描かれていて。
そうなんだよね。子供だった頃も色々と感じていた。小学生の毎日も大人が思うほど単純でもなかったり。
自分の小学生時代を思い出したり、今小3の娘に重ねたりして読みました。なんか良かった。 -
昔はわからなかったいろいろなことがわかるようになったり。
何年か前までは無邪気に遊んでいたはずの友だちが急に遠くに行ってしまったように感じたり。
成長するということは、いいこともあるけどそうでもないこともある。
成長すると、得ることもあるし失うこともある。
20代になると、小学生だったころはすごく遠い昔のように感じられて、とかく美化しがちだったけれど、この小説を読んで、あの頃もあの頃なりに悩んだり傷ついたりしていたんだ…とリアルに思い出した。 -
あぁ、確かにそんなようなこともあった気がする。どちらかというと苦い記憶というカテゴリーに入るのだろうけど、あまり憶えていないのも確か。でもやっぱりあったのだろうなぁ。
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ところどころ涙が出た
小学生って子供だけどしっかり考えること考えてるし、バカにできないよなって思った
センリが自己肯定感の低い子に育ちそうで心配、だけどきっとこんな子たくさんいるんだろうな -
小学生の女の子センの6年間を描いた短編集
読み始めから期間が空いたのであまり内容が入っていないが、、、
小学生も色々考えてるし彼女らの世界があるんだということを改めて感じた -
すべてが楽しいわけじゃなかった、あの頃。
あとがきに「しこり」のある話が多くなった、とある。まさに、小学生の頃は「しこり」が何かとあった。子どもの頃は楽しかった。それは否定しないが、何か収まらない、ことばで説明できないもやもやを抱えていたことを、著者に肯定されたことが嬉しかった。
田舎に住むセンリの物語。学級のメンバーは変わらず、妹は病弱。暗いわけではないが、薄暗いものが漂う話。田舎の夕暮れのような、さびしく、また何かに連れて行かれそうな、そんな心もとなさが、この短編集にある。自分と地続きの世界なのに、明らかに自分とは違う世界がある。
行方不明の子のニュースに心がざわめく「ビニールの下の女の子」や、虐待の気配が漂うアザミとの短い交流を描いた「五月の虫歯」、女子の世界の厳しさと先生への失恋に少し大人になる「先生のお気に入り」など、センリは世界と接触しては、馴染めない自分に気付く。しかし、それは自分を変えていく、成長のきっかけになるのだ。世界が今のセンリを拒むので、センリは少しずつ自分を広げていける。
もう少し大人になれば、見ないふりをすることもできる「しこり」から、なぜか目が離せなかったあの頃。そういう時期を描いた短編集。 -
女の子が1~6年まで成長していく場面を描いた連作短編。
豊島ミホらしい風景描写と心理描写。
特に心情表現は、幼いゆえに感情がむき出し。
子供の残酷なところも、無邪気さも、意外とませたところもリアル。 -
嫌い、怖い、苦手 、分からない、恥ずかしい。
楽しいの隙間に顔を出しては邪魔をするこいつらの対処法を知らなかった。
無知でグズで可愛い自分を思い出す。