- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087467185
作品紹介・あらすじ
「正しいと思うホームを見つけてそこで待っている汽車に乗る。でも走り出すと行く先が違う。人生ってそんなものさ」-結婚、戦争、酒、仕事、政治…多岐に亘るテーマについて、シェイクスピア、チャーチル、ウディ・アレンなど古今の賢人たちはどう語ったか。独自の視点で選んだユーモラスで味わい深い言葉の数々は、今を生きる私たちの心にじわりと効く妙薬。単行本に大幅加筆した完全版。
感想・レビュー・書評
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「ミッテランには百人の愛人がいる。その中の一人がエイズなのだが、それがどの女か彼は知らない。ブッシュには百人のボディガードが付いている。その一人は実はテロリストだが、それが誰か彼にはわからない。そして私には百人の経済顧問が付いていて、その一人は優秀なはずだが、それが誰だかが私にはわからないんだ」(ゴルバチョフ)
優れた引用句をテーマ別に集め、池澤さんが紹介した本書。
久々に「読み終わるのがもったいない」と思いながら、あっという間に読了してしまいました。
もっとよく味わって読めば良かった。
でも、食事と違って、本は同じものを何度も何度も繰り返し読むことが出来ます。
もう一度、じっくり読もう。
皮肉の利いた言葉が昔から大の好物ですから、この本はもう本当にたまりません。
いくつか紹介しましょう。
たとえば、お金の話。
「神様は富というものを軽蔑していらっしゃるから、ロクでもない奴にしかお与えにならない」(米国の作家オースティン・オマリー)
愛国心に関する言葉も紹介しましょうか。
「最高の愛国心とは、あなたの国が不名誉で、悪辣で、馬鹿みたいなことをしている時に、それを言ってやることだ」(英国の作家、ジュリアン・バーンズ)
愛国心のある人を、とんと見なくなりました。
結婚の真実。
「離婚は結婚よりずっと金がかかる。だけど、たしかに払うだけのことはあるんだ」(マックス・カウフマン)
女もすごい。
「男とチンパンジーはどこが違う? 一方は毛深くて、臭くて、いつもお尻を掻いているでしょ? そうでない方がチンパンジー」(無名女史)
そして死について。
「私は人間たちの一人だから、誰が死んでも私の一部が失われる。だから葬式の鐘が鳴るのを聞いて、誰のために鐘が鳴るかと人をやって聞かせてはいけない。鐘はおまえのために鳴るのだ」(詩人ジョン・ダンの名言)
ヘミングウェイの小説のタイトルにもなっているくらいですから、これはさすがに知っています。
引用句を紹介する池澤さんの筆も軽妙でいい。
引用句自体が優れているのですから、くだくだしい解説を付けるのは野暮というもの。
この点、さすがは池澤さんという気がします。
ただ、池澤さんは、日本人にはこうした言葉を語るのは難しいと言いますが、どうなんでしょう?
もちろん、それもあると思いますが、日本人が語ると、どうしても違和感が生じる気がします。
たとえば、冒頭の言葉を、我が邦の安倍首相が口にすると、やはり不自然に聞こえます。
安倍首相は野次の方が似合います。
まあ、それはさておき、座右の書でしょうなあ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
【いちぶん】
そもそも病気とは何だろう?
「人は病気を持つのではない。病気は普段とは別の生き方だ」とジョナサン・ミラーは言う。医者からタレントになった人だからこの言葉には重みがある。 -
引用に背景の解説を加えてのエッセイ。
ユーモアが利いていて思わず笑ってしまうw-
「ユーモアが利いていて」
スマートで真面目な感じの池澤夏樹ですが、この本は目配りも広くて取っ付き易いですね。。。「ユーモアが利いていて」
スマートで真面目な感じの池澤夏樹ですが、この本は目配りも広くて取っ付き易いですね。。。2013/07/19
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20201220_【知の仕事術:池澤夏樹】_P199
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久し振りに再度。ウィットに富むとはこういうことかと感心する。続編を出して欲しいものだが雑誌の廃刊につき難しいのだとか。残念。
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サガン「恋というのは本当にすてきなものだから、老いたらお金を払ってでも買うのよ」/(17世紀イギリスの詩人)ヘンリー・ウォットン「まず彼が死んだ。彼女はしばらくの間、彼なしで生きようとしてみたけれど、それが気にいらなくて、死んだ」/(アメリカの作家)ラッセル・ラインズ「悪口を最も優雅に受け止めるには、無視すればいい。それができなければ凌駕する。それが無理なら笑いとばす。もしも笑えないとなったら、その悪口は真実だと思った方がいい」/メンケン「恋とは女は一人一人異なるという錯覚のこと」/エリザベス女王「爆弾が怖くて女王が勤まりますか」/オスカー・ワイルド「歴史に対して我々が負う唯一の義務は、それを書き直すことだ」/ピーター・ポーター「言葉が腐らないようにするために詩は言葉を冷蔵する」
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蘊蓄に終わるか、生きて行く上での糧になるか、読み人次第だという池澤さんらしい辛味の効いた一冊。今は、この人が発信しようというものが少々ながらも解るようになった自分が誇らしい。
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「人生で大事なのは愛と仕事」
フロイトさん、わたしもそう思う。
そして、
「仕事は可視化された愛である」