小説フランス革命 2 パリの蜂起 (集英社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087467482

感想・レビュー・書評

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  • 球戯場の誓いによって、憲法を制定するまで解散しないと宣言された国民議会(後に憲法制定国民議会と名称変更)は国王の軍隊によって威圧され、しかも大衆の支持高い平民大臣のネッケルが財務長官を更迭される。相次ぎ行われる既得権益者の仕打ちにパリの市民が暴発。デムーランは「武器をとれ!」の演説でパリ市民の蜂起を促す。若き日のコンプレックスの塊のデムーランだが、作品後半に、先導者に変貌していく彼の目線で描かれたパリ蜂起の模様にぐいぐい引き込まれていった。

    気になった言葉たち

    ★ときの権力者は民意に迎合しやすい。
    ★つまるところ、巨大な革命というものは、しばしば大して冴えない理由から始まってしまうものなのです。
    ★民衆の力は確かに途方もない。しかしながら、熱しやすい半面で冷めやすく。ほんの小さな理由で熱狂するくせに、少し目先を変えられると、生死にかかわるくらいの大問題も簡単に忘れてしまう。

  • 革命ってこんなかんじで始まるのかなぁ。昨年のアラブの春を思う。1789年7月12日で終わった。まもなく7月14日。次巻が楽しみ。

  •  いよいよ1789年の7月が始まる。球戯場の誓いから,ミラボー「銃剣の力によるのでないかぎり、ここから動くことはない」,デムーラン「武器をとれ」による民衆と軍隊の衝突まで。
     小説だけあって,主要登場人物が限られており,流れを追いやすい。一巻から引き続き主役級のミラボーとロベスピエールに,デムーランが加わる恰好。創作がかなり入ってて,活躍しすぎといえばしすぎだが…。昔,中公文庫『世界の歴史』で大革命読んだときは,人が多すぎいまいち消化できなかったなぁ。対照的。
     デムーランがけしかけられる場面は,ええっ?という感じ。三国志で,諸葛亮が周瑜をけしかけて赤壁をやった伝説となんだかかぶった。…ていうかミラボーとロベスピエールはいつヴェルサイユから戻ったんだろ?自分でやらずになぜわざわざやらせたんだ??
    「武器をとれ」演説のあとの軍隊との衝突で,デムーランが指揮をとっているふうなのは史実に基づくんだろうか?
     …いやいけないいけない。小説なんだから,それはそれとして楽しまないとな。だけど無闇に気になる。最近伝記をよく読むせいだろうか。ともあれ次の巻はいよいよバスティーユ。

  • 三部会が手詰まりになり、いよいよ革命が動き出す。きっかけとなる若き弁護士デムーランの演説は、はじめてこのあたりを勉強した時にかなり夢中になってあこがれたものだけど、この作者の手にかかると何とも拍子抜けするような感じになる。しかし、物事が動いていくというのは、実はそういうことなのかもしれないな、と思ってしまう。

    ひとりひとりの人間はすごく卑近で卑小で、でも渦のようなものを創り出すことができて、ひとたび渦が回転し出すと、そういう人間を次々の否応なしに巻き込んでしまう。そんなことを思いながらも、このほんのラスト近くでの逆転劇には、やはり心が沸き立ってしまうのである。

  • いよいよパリの市民が立ち上がります。
    ここではミラボーは完全に参謀役(なんせ倒れてばかりいるので)、ロベスピエールにいたってはその秘書状態です。
    後半はベルナール・デムーランの独壇場といいますか。
    しがない弁護士に過ぎなかった彼が、選挙にも落選し、うだつの上がらないことしきりな彼が、彼女にいいところを見せたいがために打った演説でペレ・ロワイヤルが沸く……。
    本当に小さな意地が、小さな欲が、時に大事件を引き起こすのだなぁと思わされます。真相て、実はそんなところにある。それが歴史の面白さでもあると思うのです。
    さて、この次はバスティーユ牢獄襲撃になるはずですが、どんな小市民が、どんな度胸をみせるのか。大変楽しみです。

  • あまりよく知らない歴史だけに、読むうちにどんどん物語に惹きこまれていく。
    フランス革命の主役、ミラボーにロベスピエール、そして、第三の主役になるのか、デムーランが登場するが、カッコ良くない登場だ。
    次の巻が発売されるのが、楽しみだ。

  • ついに民衆が立ち上がり、フランス革命が始まる。
    この巻はロベスピエールの視点で語られる。
    恐怖政治のロベスピエールもこのときはまだ若かったのね、と思ってしまう。
    経済的な困窮から救ってくれる希望をだんだんとなくし、革命にいたる雰囲気が伝わってくる。
    いつでも革命は、経済的困窮から始まる。それは今でも変わらない。

  • 文庫連続刊行は有難いです。
    読了

    降りる駅でちょうどラスト数ページ、降りずに一気に読み終えてしまった。ふう。もう、三巻めが出ているかな。直ぐに買わなくては。

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著者プロフィール

佐藤賢一
1968年山形県鶴岡市生まれ。93年「ジャガーになった男」で第6回小説すばる新人賞を受賞。98年東北大学大学院文学研究科を満期単位取得し、作家業に専念。99年『王妃の離婚』(集英社)で第121回直木賞を、14年『小説フランス革命』(集英社/全12巻)で第68回毎日出版文化賞特別賞を、2020年『ナポレオン』(集英社/全3巻)で第24回司馬遼太郎賞を受賞。他の著書に『カエサルを撃て』『剣闘士スパルタクス』『ハンニバル戦争』のローマ三部作、モハメド・アリの生涯を描いた『ファイト』(以上、中央公論新社)、『傭兵ピエール』『カルチェ・ラタン』(集英社)、『二人のガスコン』『ジャンヌ・ダルクまたはロメ』『黒王妃』(講談社)、『黒い悪魔』『褐色の文豪』『象牙色の賢者』『ラ・ミッション』(文藝春秋)、『カポネ』『ペリー』(角川書店)、『女信長』(新潮社)、『かの名はポンパドール』(世界文化社)などがある。

「2023年 『チャンバラ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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