- Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087468182
感想・レビュー・書評
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米澤穂信というミステリ作家は本当に面白いことを考える人だなぁ、と思う。そして果敢にチャレンジし、きちんと形に出来るすごい人だとも思う。
伯父の古本屋に居候する青年、菅生芳光(すごうよしみつ)のもとに、死んだ父親が書いた五篇の小説を探してほしいとの依頼が舞い込む。存在するかもわからない小説の行方を調査するうちに...
リドルストーリーとは『結末をあえて書かず読者に委ねるかたちで謎を提示する物語』という解釈で良いのだろうか。
物語の中で探す目的となる小説の五篇全てが、その『リドルストーリー』となっているが、その『小説内小説』の出来がすばらしく、一つの読み物として楽しめる。また、結末のない物語という趣向が『追想五断章』という小説自体の仕掛けにもつながっていて、謎が解明されていく後半は唸らされた。
ミステリの仕掛けの糸と物語の糸が有機的に絡み合い、また解きほぐされていく様はいつもながらに見事。
全編を通しての胸の中を風が吹き抜けるような寂しさ、哀しさ、苦さは好みの分かれるところだろうが、僕は好きだ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
なんだろう?今思い返せば、「特にここが!」ってポイントは全くないのに、読んでる時はすげー怖かった。
幽霊も殺人鬼も出てこないのに、真実を知るのって怖いのね。
あれか。暗闇を懐中電灯一つで進んでいく感じか。先に何が潜んでるかわからない恐怖。
そもそも話が全体的に暗い。というか、薄暗い。
登場人物も口数が少ない上に何か影を抱えてるし、舞台は薄暗い古書店だし、話の本筋以外も全部どんより暗い。
プラス、5つの短編を探し解読するに連れて、どんどん真相の、しかも良くないニュースのほうが集まってくる。
リドル・ストーリーの最後の一行を入れ替えると、話の意味が変わってくるというオチは容易に予想ができるけど、まさか今まで以上に暗い結末に持っていくとは、予想の上を行かれた感じ。
これ、米澤穂信の作風を知らない人が読んだら、さぞやがっかりする内容だと思う。救いがなさすぎて。
と、否定的な感想を書いたけど、自分は好きでした。ホラー好きだし。
「こんな恐怖もあったんだ!」という感動がありました。 -
死んだ父の書いた小説の載った雑誌をさがして欲しい、と若い女性が古本屋にやってくる。昨日引き取った古本の中にあるのではないかという。やはり父を亡くし大学を休学して叔父の古本屋で居候をしていた芳光は、探し始める。短編のその小説は全部で5編あり、それぞれ別の同人誌に載せられていたのだが、探すうちに依頼人の少女と、その母と父にまつわるある噂に行き着くが・・
挿入される小説がちょっと読みずらかった。
「小説すばる」2008.6月号~12月号連載
2009.8.30第1刷 図書館 -
テンポよく探し出せて、そのまま一晩で読み終えました。結末は予想できた範囲内、だけど辿る内に人物像が見えてきて、謎解き感が面白かったです。
なんとなく読後モヤっとしたのは、主人公の人生の一部を垣間見たような傍観者だったからだろう。 -
伯父が営む菅生書店に身を寄せる菅生芳光は、北里可南子という客から依頼を受け、父親の遺した五本の短編小説を探すことになる。
五本の短編には共通点がある。それらはどれも、結末を読者に委ねるリドルストーリーであるということ。そして芳光は、それとは別の共通点と、作者北里参吾に関係する過去の事件を知ることになる。
リドルストーリーにはやはり結末がないほうがいい(というか、結末を読んだらしっくりしてしまうような話は良質のリドルストーリーではない気がする)。
伯父さんが本当はどう感じているのかや芳光がこのあとどういう人生を歩むのか、結局それもうまく見えてこない終わり方が、さりげなく気が利いている。すきです。 -
面白かった!リドル・ストーリーと真実を繋ぐからくりが解けるにつれ、興奮で鼓動が早くなっていった。途中から、もしかしたらと思っていた事が当たっていて「やっぱり!」と思う感動と、まさかの種明かし。つまり、結論は予想できるものであっても、それに至る仮定が自分には思いもつかない流れで…。
米澤作品はそういう面白さがあり、自分の波長に合っていて好きです。-
おっしゃる通りですね。
結果だけでなくプロセスは大切ですよね。
米澤作品は仕掛けの面白さと物語の面白さを兼ね備えた希有な存在で、僕も大好きで...おっしゃる通りですね。
結果だけでなくプロセスは大切ですよね。
米澤作品は仕掛けの面白さと物語の面白さを兼ね備えた希有な存在で、僕も大好きです。
花丸ありがとうございます。2012/05/26
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主人公がひょんなことから依頼された、5編のリドルストーリーを探すお話。
リドルストーリーと言う言葉をこの作品で初めて知りました。
単純にそれだけでは終わらないのが米澤穂信さんですね。面白かったです。