銀河鉄道の夜

著者 :
  • 集英社
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感想 : 100
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  • Amazon.co.jp ・本 (276ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087520033

作品紹介・あらすじ

青や橙色に輝く星の野原を越え、白く光る銀河の岸をわたり、ジョバンニとカムパネルラを乗せた幻の列車は走る。不思議なかなしみの影をたたえた乗客たちは何者なのか?列車はどこへ向かおうとするのか?孤独な魂の旅を抒情豊かにつづる表題作ほか、「風の又三郎」「よだかの星」など、著者の代表的作品を六編収録する。

感想・レビュー・書評

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  • 宮沢賢治の作品は、小学校の国語の教科書に載っている『雪わたり』『やまなし』や『雨ニモマケズ』くらいしか知りませんでした。

    本書には、著者の代表的作品が6編収録されています。たまには文学を読んでみようと手に取ったものの…難解でした。

    読むのは速い方だと思っていましたが、読み慣れない言葉や漢字が多く、巻末の語注を頼りに読んだので、とても時間がかかりました。

    生と死について描かれている作品が多いのは、実の妹の死が関わっていると、解説で述べられていました。文字を追うのに精一杯だったので、解説がありがたかったです。宮沢賢治が人間としても魅力的な人物であったことがよくわかりました。

    宮沢賢治の世界観を捉えきれたわけではないですが、自分なりに情景をイメージするのはとても新鮮でした。
    他の文学にもふれてみようと思います。

  • 読んで聞かせるような文章で描かれているのは幻想的で美しい情景。でもとても哀しく、苦しく、時に烈しい痛みすら感じる物語でした。童話のイメージが強かったけれど、『とても消耗する』というのが正直な感想。けれど見たこともない世界が本の中にはあり、次に読むのも宮沢賢治の作品になる、そんな予感がします。

  • 銀河鉄道の夜
    名作と呼ばれるので読んでみました。
    宮沢賢治はイーハトーブという岩手をモチーフにした架空の世界で物語を描いていると国語の授業で習ったくらいの知識しかありませんでした。
    本作がイーハトーブとどれほど関連しているかは分かりませんが、かなり難解でした。

    現実→幻想→現実と話は進んでいきます。
    主人公ジョバンニが貧しい生活を耐えているからこそ、
    幻想である銀河鉄道の旅のパートがより色鮮やかに受け取れました。
    しかし、文字という媒体で銀河鉄道の鮮やかさを想像するにも現代に生きる私たちにとっては今ひとつ難しいと思いました。
    現代人の意見ですが、是非とも映像で見たいと思いました。

    幻想→現実に戻るところで、
    一般的なストーリーでは夢オチという形骸化された言葉があるように、虚しさを主人公も読者も若干の虚しさを抱えて終わるパターンが多い。
    しかし、本作は友人の死が待ち受けており意表を突かれました。
    あまりにも悲しいと最初は思いましたが、時間を経て考え直すと、幻想はある種の明晰夢のようなものであったのではないかと考えました。銀河鉄道=死への道筋のようなアイロニーが考えられますが、あまり深く考えすぎても良くないので、曖昧にそんな感じだと思っておきます。

  • 映画『怪物』に感動したので、関連があると噂の『銀河鉄道の夜』を読んだ。「よだかの星」が一番好きだった。理解しきれていない部分があるので、時間をおいて再読したい。

  • 宮沢の世界観

  • いつも最後は鳥肌。そして、綺麗に終わらないのが怖い。
    死生観っていうのが存分に詰まっている。
    それであって、描写は美しく、夢の中に飛ばされている。
    『銀河鉄道の夜』は少し難しかった。自分の勉強不足です。

  • どの作品も美しい言葉で書かれています。
    銀河という果てしない世界から見た際に地球なんてとてもちっぽけなもの、けれどその地球で一日一日、一瞬一瞬を精一杯生きる人間のたくましさであったり、誰かのために生きる人、または生きた人など命の美しさを感じることができる作品でした。 

    宮沢賢治さんの独特の雰囲気…切ないような寂しいような、それでいて暖かくなるようなそんな話がもりだくさんでした。

  • 童話というには難しいが、大人に向けて書かれたのかといえばそうでない気もする、不思議な作品群。

    『やまなし』はよく分からないとも言えるけれど、何度でも読みたい不思議な魅力のある作品だ。ユーモラスでありつつ、「魚かい。魚はこわい所へ行った」(p.10)といったくだりはゾッとする。

    『いちょうの実』もいい。童話的なのだけれど、生けるものの宿命というか、生きることそのものをこの短い作品に描ききっている気すらするのだ。

    『よだかの星』が、一番好きかもしれない。なににも受け入れられず、まっすぐに空へのぼって行く夜だかは、今でも燃え続けているのか。ふと、星空に亡き人を思わせる。

    『ひかりの素足』は強烈な作品。雪山に弟を亡くした兄は夢を見たのか。厳しい自然の下ではこうしたこともよく起きたのかもしれない。救いがない作品に思えるが、もとより救いなどないのかもしれない。読後に残るもののある名作。

    『風の又三郎』は童話的性格がこの中では強いのだろうか。読み物としては子供時分の不思議な話といった風で面白い。

    『銀河鉄道の夜』は、読むたびに新たに感じるものがあるのだろう。5年か10年おきくらいに何度でも読み重ねたい。『星の王子さま』をふと想起してしまうのは自分だけだろうか。ただ、世界観と言っては却って安っぽくなるかもしれないが、『銀河鉄道の夜』の描くものは、戦慄するほどの純度だ。恐ろしさと美しさが、拮抗している。

    宮沢賢治は食わず嫌いだったが、今後の人生で、時おり、病的に読みたくなるのだろう。二度とは現れない作品群であるように思える。

  • 大人になって銀河鉄道の夜を見返したが、ジョバンニの夢の情景が非常に見事で、宮沢賢治の描く綺麗な透明感のある世界に引き込まれていきました。
    様々な解釈がある小説であり、色んな所に伏線があるので、読むたびに違った一面を見せてくれるのではないかと思います。
    また、『やまなし』の独特な世界も面白く、この歳になって宮沢賢治ワールドに魅了されました。

    • このはさん
      宮沢賢治さんの本はとても表現が面白くて、
      本当に宮沢賢治さんの世界に吸い込まれます!
      宮沢賢治さんの本はとても表現が面白くて、
      本当に宮沢賢治さんの世界に吸い込まれます!
      2022/08/14
  • 久しぶりに再読。以前は「銀河鉄道の夜」しか読まなかったが、今回は通して読んだ。
    「ひかりの素足」が怖い。
    地獄のような足に棘が刺さるつらい道を、子供達が泣きながら歩き続ける様子は、発想力が化け物。
    風の又三郎が弟にだけ見える死神のように描かれるので、その次の章の「風の又三郎」の話も不気味さが残ってしまったね。
    父親も送りを頼まれた人も、子供たちだけで雪山を先に行かせたら駄目でしょう、と思う。

    「銀河鉄道の夜」は大人になって読むと、夜の電車の暗い中、外の風景の輝きが流れていく雰囲気が思い出される作品だと感じた。

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著者プロフィール

1896年(明治29年)岩手県生まれの詩人、童話作家。花巻農学校の教師をするかたわら、1924年(大正13年)詩集『春と修羅』、童話集『注文の多い料理店』を出版するが、生前は理解されることがなかった。また、生涯を通して熱心な仏教の信者でもあった。他に『オツベルと象』『グスグープドリの伝記』『風の又三郎』『銀河鉄道の夜』『セロ弾きのゴーシュ』など、たくさんの童話を書いた。

「2021年 『版画絵本 宮沢賢治 全6巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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