さようなら コロンバス (集英社文庫)

  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087600025

感想・レビュー・書評

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  •  いわゆるボーイミーツガールの物語。
     おじの家(実際主人公の相手をするのはおばさんだが)に厄介になっている図書館員の青年が、真夏のプールで出会ったリッチな住宅地に住む女子大生に恋をし、付き合っていくうちに彼女の家に招待されるまでになっていく。
    彼女のボーイフレンドとして彼女の兄の結婚式にも参加し、次は自分もあるかと考えていたときにある事件が起こり……。

     自分のことを彼女がどのように思ってくれているのか良く分からない段階から、徐々に愛情を感じ合う二人の関係性が瑞々しく描かれて、青春の甘さとほろ苦さを久々に味わった。ただ少し不思議に思ったのは、アメリカの状況を良く知らないので何とも言えないが、まだ娘の正式な恋人とも認めていないような男を、何週間も泊めさせてあげるということがあるのかなあということ。
     また小説の中では主要登場人物がユダヤ系なので、安息日や教派など宗教に関する話題も出てくるが、前面に取り上げられている訳ではないので、特別な予備知識なく読み進めることはできると思われる。

     そのほか、本筋ではないが、図書館にやって来てゴーギャンの画集に熱中する黒人少年に示す心遣いや、彼女のおじのセールスマンが酔いながら彼に話す話など、小説を読む楽しさを味わわせてくれるエピソードもなかなか良い感じだ。

     かなり昔に購入だけはしていた本。もう少し感受性が豊かだった時代に読んでおけば良かったかな。

  • 初フィリップ・ロス作品。

    貧しいユダヤ系アメリカ人の青年ニールと同じくユダヤ系だが富豪の娘ブレンダとの恋と破局を描いた作品。

    1959年の作品ということで古臭い描写もかなりある。
    特にブレンダに女性用避妊器具ペッサリーを付けさせようとするところや、母親に見つかったことで混乱するブレンダを責めるニールのところなんかは今読むとおかしいシーンなのだが、気持ち悪さも感じてしまう。
    まあ、それは時代からしてしょうがないのだが。
    2人の良くも悪くも純粋な恋愛、若さゆえの衝動や悩みなど普遍的なものもある。
    個人的には黒人少年とのやり取りが良かった。同じ階層にいるからこその貧しさ故の思いやりというか、そういうものを感じた。

    素晴らしい青春小説ではある。
    だが20代前半に読んでたらもっと惹かれたかもしれない。読むのが遅すぎたかな。

  • この時代の雰囲気とか、ユダヤ教の人々の考え方とか、そういうのを理解すればもうちっと分かるんかとは思う。
    逆説的に言うなら、まぁさっぱり分からんわけですよ。この男は一体何がしたいのか。いや単に避妊したいだけなのかな。でもってそれが見つかったらもうおしまいだーって、そこまでの話なんだろうか。もしくは単に二人がガキだったということだろうか。
    とかなんとか色々と妙な感じなのですよ、この読後感が。
    とりあえずユダヤ人の風俗みたいなのが興味深かったなぁ、というわけで歴史書みたいに読めば良いかね。

  • 「アメリカ」の「若い男女」の「青春」の「みずみずしさ」や「甘さ」や「苦さ」を描いた「短編小説」として、1950年代の例として文学史に記されるべき典型的な作品。教科書としてはセクシャルな内容を孕むので適さないと思うが、マスターピースとは呼べるかもしれない。ただ個人的にはそこまでニールとブレンダの2人の価値観にノれなかった。ジェネレーションギャップではないと信じたいが、それでもある程度歴史的背景など理解がある読者なら、今読んでも青春小説として申し分ない読後の満足感は得られると考える。それは2021年に『グッバイ、コロンバス』(朝日出版社)として新訳が出版されていることからも明らかだ。

  •  思えば、大学1年生の頃、英語の授業で1年間かけて訳した作品の日本語版です。授業を受けながら買ったのか、授業が終わった後、たまたま見かけて買ったのか、記憶が定かではありませんが、とにかく20年も前に読んだストーリーだけに、懐かしさはひとしおです。今日本語で読んでもよく分からないところがあるし、当時の私にはとても難解だったことは何となく覚えています。

     それにしても、物語の最初の40ページくらいと、最後の2ページくらいしか読んだ(訳した)記憶がないのはどういうことでしょう(笑)。

     ちなみに、原作はGOODBYE, COLUMBUS by Philip Roth 1959.

     日本語訳は、昭和52年が初版で、私が持っているのは昭和59年の第8刷です。

  • 甘くて抒情的なのに乾いてる感じがする、不思議な小説。

  • 声のかけ方がこんなうぶな恋愛小説も珍しい

  • なんとも青臭くて、水々しい青春小説だなぁー。

    少年と少女の恋愛を描いた小説なんだけど、主人公のどこか冷静な視点が凄くいい。
    少女に対してや自分に対するまなざしが面白いんだけど、ラストはいかんよ?。
    あれは男が悪いな。

  • 卒論の助け舟。

  • 切ない。もっかい読みたい。

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著者プロフィール

フィリップ・ロス(Philip Roth)
1933年3月19日、米国ニュージャージー州ニューアーク市に誕生。1959年、短編5作と中編1作を収めた “Goodbye, Columbus”で全米図書賞を受賞。1969年、4作目の小説 “Portnoy’s Complaint”(『ポートノイの不満』)を発表すると、批評的にも商業的にも成功を収める。著書は全31点。ピューリッツァー賞、マン・ブッカー国際賞などを受賞。全米批評家協会賞と全米図書賞は2度ずつ獲得している。2012年に執筆活動を引退し、2018年5月22日に85歳で死去。
注:本書では中編小説“Goodbye, Columbus”のみの日本語訳を収録

「2021年 『グッバイ、コロンバス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

フィリップ・ロスの作品

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