存在の耐えられない軽さ (集英社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087603514

感想・レビュー・書評

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  • ある女性におすすめされて読んだ。人生の一回性など、その子の思想に強く影響を与えてるのをヒシヒシと感じた。

  • クンデラの云う「軽さ」とは何か。重さと軽さを比較するとき、重さとは人々が重荷と感じることであるという。その場合の軽さとは「自由」に他ならないだろう。登場人物達は自由、すなわち軽さを求めるが、その世界は空虚で、軽さに触れた人々の心はとても不安定だ。自由を束縛された人々が追い求める軽さとは何なのか。そのテーマを様々は形で徹底的に追跡した奇跡的な作品ではないかと思う。

  • 質量と密度

  • 「理解されなかった用語集」が衝撃で、その章で一回本を閉じた。
    「これは傑作だぞ、すぐに読んだらもったいない。すごくつまらない小説を読んだらその口直しにしよう」と温めて、それから一年くらいかけて読んだ。

    全編通して、女は重いなあと感じる。子供っていう内在的な他者を抱えているから、どうしたって重くならざるを得ない。サビナは軽やかだけど、それは意図的な軽やかさで、一見真面目人間のフランクのほうがよっぽど軽い。

    女である身としては、トマーシュの軽さに憧れる。人に付随する権威・影響力を脱ぎ捨てて、見知らぬ女性との関係に没頭できる洒脱さ。でも、テレザのどうしようもない重さも、それはそれで純真で美しく見える。彼女の、存在全てをかけて一瞬一瞬を生きる切実さに、結局トマーシュは救われる。

    この小説を読むと、価値観がかき回されて、読後は誰の生き方の何が素晴らしいのかわからなくなってしまう。なんとなく分かるのは、人は何かに引き留められているということ。重力に似た、関係性という重石を引きずって生きている。

  • 考えすぎだとおもいます。

  • ミラン・クンデラが2023年に亡くなったので追悼読書.年を締めくくる読書となった.
    映画は封切りの頃にみていて,私が若すぎて理解不能で,隠微で退屈だった記憶だけが残こる.
    さて,1968年のチェコの政変の背景なしには,この作品は成立しない.1989年のビロード革命まで続いた共産党の独裁下での,主人公たち4人の繰り広げる愛と性の物語.それはある意味,不幸の連続である.それぞれの行動,思想(思惑)がぶつかり合い,混じり合い,なかなか一筋縄ではいかない.途中で(作者が?)挟み込む哲学的考察を理解するのは時に難しく感じる.それでも結末には清らかな感情が漂い,読んでよかったと思わせる本であった.

  • 大大大好きな本。昔は恋愛とか自意識に責められ辛くて読めなかったが、やっと22歳になって読めるようになった。

    地獄のような生活から出てくるこのタイトルがすごい。

    結局この本は同じことをいろんな例えで言っているのだ。人生は一回きりでやり直しも繰り返しも起きない。もし何かが一回しか起きなかったのであらば、それは起きなかったことと同じ。こんなに耐え難く辛い人生も、実は1回しかないし、耐え切れないほどの軽さだったのだ。

    この軽さは実は幸福なのである。


    最後に好きな言葉。
    ⚪︎
    地球が爆弾で震撼しようが、祖国が毎日新たに侵略され略奪されようが、すべての隣人が連行され処刑されようが、これらすべてのことは、たとえ認めることはできなくても耐えることはできる。しかし、たった一つの、愛する人の悲しみの原因になることは耐えることができなかった。
    ⚪︎

  • これは、恋愛小説なのか?哲学書なのか?
    本書は今までに読んだことないジャンルの小説と感じた。
    登場人物の心情を事細かに語る恋愛小説が展開されていくのですが、途中著者が主人公の心情がもう理解できないとのコメントを吐露するのです。
    メタ恋愛小説的な構造が展開され、読者である私は虚をつかれるのです。
    最初から哲学書として本書を読んでいたら、また違った心構えで読めたかもしれません。

  • 感想
    愛は誰のものでもない。だが私の人生には必要。愛がない人生をどうやって渡り歩けば良いのか。しかし与え続けなくてはいけない。

  • プラハの春の時代の恋愛小説。奇妙な三角関係とその三者の異なる視点からのストーリーで展開する。

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著者プロフィール

1929年、チェコ生まれ。「プラハの春」以降、国内で発禁となり、75年フランスに亡命。主な著書に『冗談』『笑いと忘却の書』『不滅』他。

「2020年 『邂逅 クンデラ文学・芸術論集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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