- Amazon.co.jp ・本 (456ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087605792
作品紹介・あらすじ
幼い頃から双子の姉妹のように育ったロズとリル。二人は今、各々息子と孫娘を連れて、光る海の見えるレストランのテラスで、昼下がりの幸福なひと時を過ごしている。だがこの何気ない家族の風景にはある秘密が隠されていた…。互いに相手の息子との恋(?)に落ちた二人の女性の心の葛藤を描いた表題作の他に、「ヴィクトリアの運命」、「最後の賢者」、「愛の結晶」の三つの作品を収録した傑作短編集。
感想・レビュー・書評
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初ドリス・レッシング。
映画で知り、公開の頃購入し、塩漬けに…
6年越しぐらいで、ようやく読了。
読んだらさらさら。どうして今まで読めなかったのか…(いつも同じことを言っています…)
4つの話。どれもエンディングがすごく現実的。
あり得なくない…と思ってしまった…
世の中に立ち向かう人の話ではなく、流れに身を任せる人たちの話のように感じたのです。「最後の賢者」でさえ。
グランド・マザーズのロズの高笑いは、2か所記述があり、印象が違う…そこだけ意味不明。
全体としては、好きな感じでした。単純なハッピー・エンド感なしなところが特に。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
訳文から想像するに、原文も結構長文を書く作家なのかな?と思ったり。つまりは、当方とはあまりリズムの合わない文体かなという気がする。
内容としては、この作家さん、「産まれる」ことが一つの鍵なんでしょうか。読んだ作品は数少ないからかもしれませんが、どれも新しい生命を取り巻く今生きる人間の蠢きに異様と言っても差し支えないような執心を見せてます。
それ故にか少々読み手を選ぶ作家なのかな?と思わなくもなく。 -
2017.12.11 朝活読書サロンで紹介を受ける。
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どの話も登場人物たちが遠くて、小説というより小説の筋を読んでいるような気持ち。どうにも歯がゆかった。「グランド・マザーズ」なら、苦い高笑いをしなくてはならなかったのはロズひとりなのか、「ヴィクトリアの運命」なら、ヴィクトリアの娘にかかわる人たちは何を思っていたのか、「最後の賢者」なら”賢者”をそばで見ていた者たちに彼はどう映っていたのか。語られないことを想像して読む本なのだろうけれど、想像の材料になる細部がもっと欲しかった。それとも、人は遠いし歯がゆいもの、という本だったのだろうか。
「愛の結晶」の砂糖漬けの果物が一番心に残ったかもしれない。あの状況のジェームズの目に入るんだから、そうとうおいしそうだったのでは。 -
短編4編収録。どの話もなんとなくもっと先が読みたくなる。途中で終わってるような感じが多い。私はやっぱりドリス・レッシングが好きなんだろう。読みやすく、引き込まれる。
『グランド・マザーズ』
映画『美しい絵の崩壊』原作。映画は観てないが映画では美しい感じで描かれてるのかな。
しかし、この設定は受け付けない。本人たちは素敵な時間を過ごしたと思ってるのだろう。ほんと、崩壊してる。ありえない。せめて親友ではなく他人であればここまでは嫌悪しないだろう。
しかしながら、どうなってしまうのかとどんどん読み進めてしまった。半分嫌悪、半分好奇心。
『ヴィクトリアの運命』
主人公の黒人女性ヴィクトリアの半生。うーん、ここで終わるのか!長編にしても良さそう。もっと細かく書いて書かれてないその後、死ぬまで。差別、階級により生じる事実と意外な肯定。子供ができるまで気付かなかったことが大きな問題となってくる。母親として悩ましいこと。
『最後の賢者』
神話のような話でもあり、歴史をなぞるような話でもあると思う。歴史ってよくなったり悪くなったりするんだろうけど。リーダー選びを間違えるととんでもないことになる。国のリーダーなんて特に。
『愛の結晶』
戦争中の船の移動中の描写は読者にも吐き気を催すほど伝わってきて過酷だ。ジェームスはそんな中で一つの幸せにずっと異常なほど固執している。過酷な中でいたからこそ愛の結晶にしがみつきたいのかもしれない。どんな結晶になっているかわからないのに。 -
映画『美しい絵の崩壊』の原作。
ちょっと前にに読了。
4人の始まりも終わりもなんだかピンとこない。
4人ともなんだか他人事で真剣味に欠ける。