- Amazon.co.jp ・本 (696ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087606201
感想・レビュー・書評
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スウェーデンの人気シリーズ3作目。
一作目で再会して付き合いだしたエリカとパトリック。
幼なじみで、昔は小柄なパトリックが弟分だったが、一人前の気だての良い青年に成長していたのだ。
一作目では、エリカの方が主な視点でした。
二作目で、すぐに子どもが出来て、エリカのつわりが重く、現実に縛られる二人になっていましたが。
今は娘のマヤが、生後3ヶ月。
美貌で知的で、都会で作家として成功していたエリカだが、1~2時間ごとに泣き叫ぶ赤ちゃんを前に、なすすべもない。
パトリックも帰宅すれば手伝うが、職場に出て行くのが息抜きになっている。
唯一手伝いに来てくれるのはパトリックの母で、姑として説教しながら。
パトリックは、ターヌムスヘーデ警察署の刑事。
少女の遺体が発見され、知っている子なのに驚愕するパトリック。
無能で見栄っ張りな困った署長メルバリを抱えている警察署で、パトリックは見込みのある部下のマーティンと組みたいと思う。
が、署長にアーンストと組むように命じられてしまう。
サーラは、エリカの貴重なママ友達であるシャロットの上の子だった。
赤毛で活発で、エネルギッシュだが、まだ7歳。
やや問題行動もあったサーラ。
シャロットは夫の仕事の都合で、シャロットの母のリリアンの家に、一家で引っ越してきていた。
夫ニクラスはハンサムな医師だが、家庭は妻に任せきり。
姑リリアンは家事は万能だが、見るからに気むずかしい性格。
再婚した夫スティーグは病気で寝たきりでも、優しく看病しているのだが。
リリアンは隣家と10年も喧嘩し、裁判沙汰まで繰り広げている。
その隣家の息子モルガンは、感情に乏しいアスペルガー症候群だった。自室に閉じこもり、パソコンで仕事をしている。
1923年から始まる女性の人生が、挿入されていきます。
社長の一人娘で甘い父親を好きに動かし、美貌にも自信を持っていたアグネス。
ところが…?
思わぬ妊娠で結婚させられ、怒った父親からは見捨てられる。
フィエルバッカに住むが、夫とは上手くいかないまま不満を募らせる。
この人生が一体、誰と、どう繋がるのかも興味をそそられます。
エリカの妹アンナは、2作目でDVの夫ルーカスから逃れていましたが、最後に戻ってしまいました。
今回はあまり出てきませんが、これもまた大変なことに。
いくつもの親子関係が描かれ、これとこれは対比になっているのかな…などと思っているうちに、ありとあらゆる関係があるというほどに。
かなりの力業です。
世界で1000万部売れているというベストセラー作家なのも納得!
著者は、この話の舞台のフィエルバッカ生まれ。
この作品執筆当時、二人目の子を産んだ年だったようです。それで、実感こもりすぎなぐらい?の迫力(苦笑)
2005年の作品。
もう4作目も翻訳されました。勢いがありますね☆詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
大冊だけど一気読み。悪童なのか悪女なのか悪婆なのか。ネタばれはやめます。登場人物多すぎてなかなか大変な読書になりました。今と80年前のクロスオーバーが興味つなぎとめました。しかしエリカ&パトリック事件簿なのにエリカは何をしたの?
遡って氷姫読みますか。 -
2011.11.13 M氏よりレンタル)
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シリーズ第三弾のスウェーデンミステリー!
681ページだけどノープロブレム。、前二作同様、「いったいいくつあるんだ?」というほどの伏線のてんこ盛り。しかも夫々せいぜい10ページほどにて場面転換し、スピード感は超一級。
何より魅力なのは、ストレートな英米ミステリにはちょっと見ない、ムーミン谷風にキャラの立った登場人物たち。特に今回、一線を退いて育休しているエリカは、愛しいやら身につまされるやら。
ひとつ難を言うならば、現代社会の病理の博覧会!といった形相となる真相の数々が、どうにもスウェーデンの地方都市には不似合いで… -
エリカ&パトリック事件簿シリーズ第3作。
人間の業について深く考えさせられる内容で、最後まで読みきるのはかなり精神的にきつかった。しかし、多くの登場人物の視点(ざっと数えたところ27人!)で語られる展開はスリリングで、まるで映画を見ているかのような臨場感がある。へたなホラーよりもよほど怖い。前2作とは訳者が変わり、日本語訳がよくなった。