ゲーテ ポケットマスターピース 02 (集英社文庫ヘリテージシリーズ)

  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (816ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087610352

作品紹介・あらすじ

あの〈ウェルテル〉の華奢なイメージを覆す新訳『若きヴェルターの悩み』。そのほか『ファウスト』『親和力』の抄訳を加え、文豪ゲーテの真髄を分かりやすく集約した現代人必読の書。(解説/大宮勘一郎)

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  • 1749~1832のフランクフルト辺りに産まれた。
    詩人、哲学、光学、自然哲学など幅広く携わり、25歳の頃に若きウェルテルの悩み(明治時代にウェルテェルと訳されるが、ドイツ語の発音はウェルダーに近い)を発表してヨーロッパ中に名を響かせた。
    ヴァイマル公国の宰相まで務めた、文学だけでない所謂、偉人。
    経歴見ると生きる活力にあふれた挑戦的文豪に感じる。

    【感想】
    若きウェルダーの悩み

    あらすじ
    芸術家肌のウェルダーは多くに失望し、怒り嘆くばかりであったが、新しく移り住む地でシャルロッテと出会い、彼女の神聖さの虜になる。世界の全てとロッテが均衡以上のバランスになるほど。
    しかし、ロッテには婚約者アルベルトがおり、夫を愛している旨をぼんやり告げられている。
    それでも、ウェルダーの気持ち、人の気持ちというのは抑えきれず、一度は身を引いて、様々な地に生活を移すが、馴染めず、ロッテの影を追い続けてしまい、しまいにはまた戻ってきてしまう。
    そこで、想いを伝えるが動揺したロッテに拒絶されてしまい、彼女には旅に出ると伝えてその場を去った。
    その際に、壁に掛けてあった拳銃をロッテから受け取り、自らの頭を貫いて、生を閉じた。

    人の感情の難しさには、難しいの言葉しか当て嵌めるしかない程に、難しい。
    ウェルダーの恋が成就しない事には同情し、後半のロッテにはやきもきさせられる程だった。
    暴走的な恋路には破滅が待ち構えているのは目に見えているが、それに気づかない振りをして進み続けてしまう魔力があった。

    【親和力】
    超絶難しい。二度と読みたくない位に時間がかかるし、例えやら当時の時代背景やらなんやら、アホかと思うくらいに思い。過去最強の重さであったが、他の作品もこれくらい深く考察するべきなのかもしれない。ただし、ゲーテはガチの天才というのは作品を読んでてわかる。
    こちらも悲恋の話で、赤ちゃんが死んでしまう所は今思い返しても本当に苦しい。痛みを伴う作品だった。

    【ファウスト】
    戯曲としてメフィストフェレスがファウストの諦めと失望につけこんで、好き勝手し、偉大な人物になるべき者の転落を卑しく楽しむか、教訓として胸に刻むべきか、悪徳を許さずに怒るのかは読み手次第だろうと思う。
    悪魔の人間らしさと、天使の残酷さには驚いた。ファウストの魂が救われたことには本当に驚いた。一重に、メフィストフェレスの悲劇であると言えるかもしれない。

  • 収録作:
    『若きヴェルターの悩み』
    『親和力』『ファウスト』(←この2作は抄訳)

    新しい研究成果が反映された訳文を読んでみたいと思って挑戦してみましたがすこぶる面白かった。ヴェルターの、若者が自己を偉大に見せるために使うような乱暴な言葉遣いで吐露される心情が、良い意味でこの作品の持つイメージを覆してきていて面白い。
    抄訳の『親和力』も男女の不倫を描きながら、実はそれによって「自然科学の歴史」を風刺しているという視点が分かりやすく、充実した訳注が付いていて理解が捗る。
    『ファウスト』の軽妙な言葉遣いのやり取りが、諧謔味と俗っぽさを感じさせて良かった。
    巻末の作品解説も充実。

    抄訳、ということで中途半端にしか作品を読めないのでは…?と心配する必要なし。略した部分については概略説明のフォローも入っているので、ざっくり全体把握することが可能になっています。

  • 【選書者コメント】一人称「俺」のウェルテルもといヴェルター、ロックな新訳です。悩みがない人(でも怒りがある人)、是非。
    【請求記号】9400:522

  • 15/12/01。

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著者プロフィール

ゲーテ

Johann Wolfgang Goethe 一七四九―一八三二年。ドイツのフランクフルト・アム・マインに生まれる。ドイツを代表する詩人、劇作家、小説家。また、色彩論、動植物形態学、鉱物学などの自然研究にも従事、さらにワイマール公国の宮廷と政治、行政に深く関わる。小説の代表作に『若きウェルテルの悩み』『ヴィルヘルム・マイスターの修業時代』など。

「2019年 『ファウスト 悲劇第二部』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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