右岸

著者 :
  • 集英社
3.04
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  • Amazon.co.jp ・本 (528ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087712346

感想・レビュー・書評

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  • 前半は性小説かと思うくらいの内容で、後半は宗教じみてて、全く対で書いた作品の良さが分からないまま、終わってしまった。茉莉の物語も中途半端だったけど、九の物語の方がもっと中途半端。冷静と情熱のあいだを期待して読むと、かなりがっかり。

  • やっと読み終えた。左岸から始まって右岸を読み終わるまで、どのくらい時間をかけただろう。左岸は1ヶ月10日、右岸は9日かかった。時間をかけた分、終わってしまった淋しさが残った。しかも、この本を読んでいる間、自分自身が壊れていくようでもあった。生活の一部として、没頭して読んでいた。
    左岸は、茉莉が主人公で、右岸は九が主人公である。読む順番があっていたことに満足する。波乱な茉莉の人生によく現れる九の存在が、九から見るともっと波乱で、二人の人生がこのようになっていくのも、惣一郎の死が深く関係している。その呪縛から逃れられず、常に幸せのあとに悲しみが待っているが、それでも納得のいく人生の終わり方へ進んで終わった。
    結局、茉莉と九は幼なじみで終わり、恋人にはなっていない。だが、惣一郎の生まれ変わりとなった九の息子と、茉莉の娘が先々結婚し、産まれてくる子供3人が九の父、母、銀次の生まれ変わりなことを予感するのである。
    余りにも、いろんなところで繋がっていく人間関係も見応えがあったと思った。

  • 江國 香織さんの「左岸」の対になる作品。
    左岸の主人公茉莉の幼馴染というかソウルメイトというか、恋心を持ちつつも結ばれることはなかった祖父江九の半世紀。

    うーん、「左岸」は結構面白く読めたのですが、この作品はちょっと自分的には微妙…。
    超能力とか亡霊とか、スピリチュアルなことと絡ませながら人生の意味を描こうとしているのですが、なんだかちょっと胡散臭く感じてしまいました。
    なんだろう、各章のあとに付記されている「祖父江九の黙示録」なる文章が、まぁ良い事言ってるんですが、新興宗教の入門書のような隔世感を感じてしまったのは、ワタシがひねくれているからでしょうか。
    (太文字で強調されている文章がときたまあるのも、ちょっと…個人的には強調文字にしないほうがまだ素直に受け取れたかもしれません)

    「左岸」は茉莉側の視点だったため、おぼろげだった九の人物像が詳しく描かれていたのはよいのですが、なんとなく「左岸」読了後に期待していたほど魅力的ではなかったような気がします。

    スピリチュアルのモチーフがあまり活かされず、ストーリーがあちこち行き当たりばったりになっているかなぁ…と思いました。(フランスの超能力研究所とかあの辺の設定が)

    亡き惣一郎という偉大な大河の右岸と左岸に分かれ、けして交わることのできない茉莉と九。
    だが、河がある限りその右岸と左岸は寄り添いながらたゆたゆと静かに流れていく…という雰囲気だけは伝わったかな、と思います。

    自分的には期待しすぎて読んだのでちょっと辛口ですが、「左岸」を補完する意味で読了しました。読み返しはしないかな。

  • 右岸→左岸の順番。
    個人的には正解かも。
    左岸は、活字がしっかりして、やや説明的すぎるきらいがある。
    ただ読了後に、どっしりと響くのも、人生とは…ってなるのも左岸。
    好みの問題だけれど。
    能力と人間に振り回された青年が、どこへどう辿り着くのか。

  • 左岸に続き、物悲しい物語だった。けれどわたしは好きだった。


    死んでしまい亡霊となって九を求めているネネが…切なすぎる。

    九ちゃん、悲しいよおお、会いたいよおお、九ちゃんにだきしめられたいよお、

    会いたいよ。ぎゅっとしてほしいよ。ねえ、九ちゃんとまた一緒に暮らしたいよ。…いい子いい子してほしいよ。 

  • 以前読んだのを忘れ再度読んだ。面白く読んだけれど、超能力物はどうしても好きになれない。

  • *

  • 「冷静と情熱の間」以来の辻仁成と江國香織のコラボレーションということで、非常に大きな期待をもって手に取ったが、辻作品だけを読んだ現時点では前作ほどの出来ではない印象。二人の主人公の半生を描く大作であり、ページ数も多い上に突飛な人物設定もあり、あまり読み易い作品ではない。ただ、読み進めて行くにつれ、突飛ながらも主人公の置かれた状況がだんだんと馴染んできて、素直に受止められるようになるので、最後にはある種の感慨を持って本を閉じることができた。作家としては辻仁成よりも江國香織の方が断然好き(本作も左岸を読むために読んだようなもの)なので、これから「左岸」を読むのが楽しみ。

  • 超能力とかカルト教団的なアレとか背後霊とか生まれ変わりとか、どことなくオカルトだったけどそこまでじゃなかったかな。
    ただ九ちゃんの巨根ネタがなんか・・・凄いよ!なんかこう・・・アレだよ!!
    それなんか超能力と関係あんのか!!?あるの!!!??

  • 江國香織の左岸と対をなす作品。
    祖父江九が主人公の本。
    幼い頃からの超能力、惣一郎の死から身の回りで起こる死。
    寺内茉莉、惣一郎、新、父母、銀次、黄色いおババ、ネネ、阿弥、彬子、敏彦…
    それぞれとの出会い、関わり、別れ。

    フランスでの情景がきれいで、人間らしく、好きだった。
    文章の表現が非常に男性的なところがあり、良くも悪くもグロい…と思うところあり。男性のアレって大きい人は顔の前までくるの?

    左岸を読んでから右岸を読んだけど、逆だったら印象が違うはず。茉莉という人間を知って右岸を読んだので、すーっとは入ってきた。

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著者プロフィール

東京生まれ。1989年「ピアニシモ」で第13回すばる文学賞を受賞。以後、作家、ミュージシャン、映画監督など幅広いジャンルで活躍している。97年「海峡の光」で第116回芥川賞、99年『白仏』の仏語版「Le Bouddha blanc」でフランスの代表的な文学賞であるフェミナ賞の外国小説賞を日本人として初めて受賞。『十年後の恋』『真夜中の子供』『なぜ、生きているのかと考えてみるのが今かもしれない』『父 Mon Pere』他、著書多数。近刊に『父ちゃんの料理教室』『ちょっと方向を変えてみる 七転び八起きのぼくから154のエール』『パリの"食べる"スープ 一皿で幸せになれる!』がある。パリ在住。


「2022年 『パリの空の下で、息子とぼくの3000日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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