- Amazon.co.jp ・本 (528ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087712346
感想・レビュー・書評
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前半は性小説かと思うくらいの内容で、後半は宗教じみてて、全く対で書いた作品の良さが分からないまま、終わってしまった。茉莉の物語も中途半端だったけど、九の物語の方がもっと中途半端。冷静と情熱のあいだを期待して読むと、かなりがっかり。
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江國 香織さんの「左岸」の対になる作品。
左岸の主人公茉莉の幼馴染というかソウルメイトというか、恋心を持ちつつも結ばれることはなかった祖父江九の半世紀。
うーん、「左岸」は結構面白く読めたのですが、この作品はちょっと自分的には微妙…。
超能力とか亡霊とか、スピリチュアルなことと絡ませながら人生の意味を描こうとしているのですが、なんだかちょっと胡散臭く感じてしまいました。
なんだろう、各章のあとに付記されている「祖父江九の黙示録」なる文章が、まぁ良い事言ってるんですが、新興宗教の入門書のような隔世感を感じてしまったのは、ワタシがひねくれているからでしょうか。
(太文字で強調されている文章がときたまあるのも、ちょっと…個人的には強調文字にしないほうがまだ素直に受け取れたかもしれません)
「左岸」は茉莉側の視点だったため、おぼろげだった九の人物像が詳しく描かれていたのはよいのですが、なんとなく「左岸」読了後に期待していたほど魅力的ではなかったような気がします。
スピリチュアルのモチーフがあまり活かされず、ストーリーがあちこち行き当たりばったりになっているかなぁ…と思いました。(フランスの超能力研究所とかあの辺の設定が)
亡き惣一郎という偉大な大河の右岸と左岸に分かれ、けして交わることのできない茉莉と九。
だが、河がある限りその右岸と左岸は寄り添いながらたゆたゆと静かに流れていく…という雰囲気だけは伝わったかな、と思います。
自分的には期待しすぎて読んだのでちょっと辛口ですが、「左岸」を補完する意味で読了しました。読み返しはしないかな。 -
右岸→左岸の順番。
個人的には正解かも。
左岸は、活字がしっかりして、やや説明的すぎるきらいがある。
ただ読了後に、どっしりと響くのも、人生とは…ってなるのも左岸。
好みの問題だけれど。
能力と人間に振り回された青年が、どこへどう辿り着くのか。 -
左岸に続き、物悲しい物語だった。けれどわたしは好きだった。
死んでしまい亡霊となって九を求めているネネが…切なすぎる。
九ちゃん、悲しいよおお、会いたいよおお、九ちゃんにだきしめられたいよお、
会いたいよ。ぎゅっとしてほしいよ。ねえ、九ちゃんとまた一緒に暮らしたいよ。…いい子いい子してほしいよ。 -
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「冷静と情熱の間」以来の辻仁成と江國香織のコラボレーションということで、非常に大きな期待をもって手に取ったが、辻作品だけを読んだ現時点では前作ほどの出来ではない印象。二人の主人公の半生を描く大作であり、ページ数も多い上に突飛な人物設定もあり、あまり読み易い作品ではない。ただ、読み進めて行くにつれ、突飛ながらも主人公の置かれた状況がだんだんと馴染んできて、素直に受止められるようになるので、最後にはある種の感慨を持って本を閉じることができた。作家としては辻仁成よりも江國香織の方が断然好き(本作も左岸を読むために読んだようなもの)なので、これから「左岸」を読むのが楽しみ。
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超能力とかカルト教団的なアレとか背後霊とか生まれ変わりとか、どことなくオカルトだったけどそこまでじゃなかったかな。
ただ九ちゃんの巨根ネタがなんか・・・凄いよ!なんかこう・・・アレだよ!!
それなんか超能力と関係あんのか!!?あるの!!!?? -
江國香織の左岸と対をなす作品。
祖父江九が主人公の本。
幼い頃からの超能力、惣一郎の死から身の回りで起こる死。
寺内茉莉、惣一郎、新、父母、銀次、黄色いおババ、ネネ、阿弥、彬子、敏彦…
それぞれとの出会い、関わり、別れ。
フランスでの情景がきれいで、人間らしく、好きだった。
文章の表現が非常に男性的なところがあり、良くも悪くもグロい…と思うところあり。男性のアレって大きい人は顔の前までくるの?
左岸を読んでから右岸を読んだけど、逆だったら印象が違うはず。茉莉という人間を知って右岸を読んだので、すーっとは入ってきた。