- Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087713374
作品紹介・あらすじ
もう、駄目だと思った。それでも世界は、続いていた-少女は無限の想像力でこの世界を生き延び、少年はたった一つの思い出にしがみつく。一匹の蝶が見た悲しみの先に広がる光景とは…渾身の連作群像劇。
感想・レビュー・書評
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6作からなる短編集で、それぞれの話が少しずつ繋がっている。どの話も切ない印象を受けたが、希望の光が見える感じだったので後味は悪くなかった。
余談だが…内容を知らないまま、この本と先日読んだ森見登美彦氏の「美女と竹林」を一緒に借りたのだが、どちらの本にも竹(笹)の花は数十年に一度一斉に咲き、咲いた後の竹(笹)は枯れてしまうという事が書いてあって、その偶然さに驚いた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
子供の立場と悩み
子供の悩みは大人の多くは理解でない。だから子供の悪さに対して親は上から一方的に叱る方が多くなる。子供目線での理解は難しいかも知れないが、ある書に子供にも理解する方法はあると。それは「叱るをやめて質問する事」だと言う。考えさせることで子供が社会の常理を理解することにつながると言う事らしい。 -
'21年8月14日…
第三章「冬の蝶」まで読んで、中断。心が、引き裂かれてしまいました。
僕には、ちょっとキツいかも…読み終えるかどうか、時間をおいて考えます。
8月21日、読了。結局、読んでしまいました。そして、読んで良かった。
とても良い、読書体験でした。道尾秀介さんに、感謝。
感想は、あえて語らないでおきます。未読の方、是非読んでみてください。 -
素直になるのは 難しい。血の繋がりがあるがゆえに、素直に甘えることができない。血の繋がりがないから、頼って甘えるのが怖い。人の感情って、もっとシンブルだったらすれ違うこともないのかなぁと思った。
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六つの短編の主人公が入れ替わり、少しずつ話が繋がりミステリー要素も含めた連作になっている。
それぞれの登場人物の秘められた過去。忘れられない記憶や深い闇を抱えて、必死で生きる人たちを描いている。
悲しい境遇の少女が紙袋を裏返して「世界を全部入れちゃうことだってできるんだよ」といった言葉があまりにせつない。
風媒花、虫媒花という例えもよくできていると思った。全体的にシリアスで重い内容だが、最後に一筋の光や希望がみえているのがよかった。 -
一話が40ページ前後の六話の短編集です。しかも一話ずつリレーされていて最後の話が振り出しの話に繋がっています♪
どれもが文体も内容も切ないような物悲しいようなホロリとしてしまう話です。
たくさん出てくる童謡の歌詞も効いてますね。 -
2016年5月21日読了。道尾秀介による連作短編集。どこか暗い翳を宿す人々による6つの話が最後に「光」に向かって収束する。冒頭の「隠れ鬼」は救いようも無く暗い話だが、読み終わると何となく救われたような、ちょっと明るい気持ちになれるのはさすが。世の中にはいろんな人がいて、いろんな辛い出来事もあるのだけれど、どんなときでも「少しほっとする瞬間」や「ほほえましい瞬間」はあるもので、ほんの些細な思い出であってもそれを抱いて一生生きていくこともできるし、そこから勇気を得て人生を変えようと踏み出すこともできる。そんなメッセージを感じた。