水のかたち(上)

著者 :
  • 集英社
3.75
  • (47)
  • (86)
  • (78)
  • (9)
  • (2)
本棚登録 : 582
感想 : 77
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087714692

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 宮本輝文学らしく、心に残る言葉が今回の小説にもたくさんありました
    読み終わった小説の中にはたくさんの付箋が貼られました
    「負けるな、負けるな、あきらめるな。心は巧みなる画師の如し、だ」
    「石に一滴一滴と食い込む水の遅い静かな力を持たなければなりません」
    「きみは努力することをあきらめなかった。」
    書き出したら切りがないほどなのです
    そして、宮本輝さんの小説は、本当に文章がきれいで読みやすいです
    それなのに、わたしはどうしてもこの小説が好きになれないのです
    物語の中で、どうしても腑に落ちないストーリーがあり
    また、志乃子を平凡な主婦と書いているけれども
    お金持ちの、目利きの親戚がいて、優秀な仕事をする人を紹介されて
    自分自身も、天才的な骨董の目利きで、あれよあれよと幸運が訪れる
    どこが平凡なんだろうと思う、それはわたしの嫉妬なのかもしれません
    まわりの人たちが、善意あるとても素敵な人たちで、志乃子を助けてくれる
    そのまわりの人たちの欠点などが、とても人間らしく
    わたしには、志乃子だけが、ファンタジーのように思えてしまうのです
    こんなに、悪い方に心を揺らされる宮本文学は正直初めてです
    何年かたって、もう一度読んだとき、違う思いで読めるかもしれない
    志乃子にやさしい視線を向けられるかもしれない そう願っています

  • 2017.10.9

  • 主人公は、50歳女性。専業主婦。
    特にお金持ちなわけでも飛びぬけた美魔女なわけでもない普通の女性。
    では、この女性が何かを仕出かすのかというとそうでもなく
    不倫も殺人も家庭内暴力も逃避行もでてきません。

    50歳の誕生日を迎えて 『私の人生ってこんなものだったの?!』 と
    思ってしまう主人公の気持ち、ちょっとわかる(笑)
    でも、何もない人生やありきたりな人生などひとつもないように
    乗り越えなくてはいけない人生の課題は50歳にもなれば必ずでてくるわけで
    (本書ではそれを、『50の坂』と呼んでます。。。)
    主人公の女性は次々起こるちょっとした問題を
    水が形にまかせて流れるように、自然に受け止め自分らしく形を変えて
    解決していきます。
    流れに逆らうではなく、流れに身を任せるでもなく
    その按配がとっても素敵。
    50歳になる、大人になるってきっとこういうことなんだな。。。。
    自分の幸せが他人の幸せを招き、人からまた幸せをもらう、
    幸せなつながりがこの本の中をサラサラと音をたてて流れているようでした。

  • ■ 15141.
    〈読破期間〉
    2015/9/14~2015/9/17

  • 今回は奇しくも終戦記念日にフィリピンに旅。

    本の中で、終戦時の北朝鮮からの帰国する、ということが語られるなんて知らずに持ってきた本に、いろんなことがリンクする。

    軍票、殺戮、戦争って人をなんでそんなにもおかしくしちゃうんだろうか?という意味のわからない行為。

    フィリピンで観るBBCは、観ていて苦しい。
    戦没者慰霊祭を一時間かけてしっかり中継し、靖国を参拝する長い列を写す。
    反省の意を、繰り返すまじ、という最高裁判官の言葉も、報道してくれるものの、その列のインパクトは、世界の人たちに、日本はまだ、あの頃の天皇を神と崇めて戦争に邁進したあの精神を持ち続けているのだ、と、思わせるかもしれない。と思う。

    肩身がせまい。@フィリピン。

    2015.08.15 @puerto Princesa

  • (下巻と一緒)

  • 骨董って面白いかも

  • 主人公志乃子は建物サッシ取付業者の妻。古物に興味を持つ志乃子は、近所にある閉店間近のかささぎ堂の女主人に、彼女の夫が以前骨董店をしていたときに集めてきたガラクタの中から文机と茶碗と手文庫を譲ってもらった。鼠志野の茶碗、太平洋戦争の戦後の手記の入っていた手文庫、これらの古物が志乃子を別世界に導いてゆく。登場人物特に女性は現実世界よりも知的で優しく魅力的。時と空間を移り行き、下巻に期待を持たせる。

  • コメントは下巻にまとめて

  • 都合良すぎ

著者プロフィール

1947年兵庫生まれ。追手門学院大学文学部卒。「泥の河」で第13回太宰治賞を受賞し、デビュー。「蛍川」で第78回芥川龍之介賞、「優俊」で吉川英治文学賞を、歴代最年少で受賞する。以後「花の降る午後」「草原の椅子」など、数々の作品を執筆する傍ら、芥川賞の選考委員も務める。2000年には紫綬勲章を受章。

「2018年 『螢川』 で使われていた紹介文から引用しています。」

宮本輝の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×