- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087715156
作品紹介・あらすじ
犬と人間は言葉はかわせない。けれど巡り会うとかけがえのない“家族"になる。余命数ヶ月を宣告された愛犬と夫婦との最後の時間を描く、渾身の中編など、涙なしには読めない七つの物語。
感想・レビュー・書評
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犬を飼っている人には、それぞれに犬と共に送る人生があって、それぞれに絆がある。その内の7つをみることができた気がしました。
改めて「犬」という動物は、私たち人間にとって身近にいる存在だなって思い、私もかつて飼っていた3匹の犬を思い出しました。
切ない話、温かい話、どれも興味深く、そして短い話なのに、登場人物たちの想いがビッシリ詰まっていて、伝わってくるものがたくさんありました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
昔、内藤陳という「本読み」の芸人さんがいて、新宿で「深夜プラス1」という飲み屋さんをやっていらっしゃったということを、東京になんか何年も行ったことがなかった田舎者の学生はあこがれていました。
その酒場でバイトしていた学生さんが作家になった。そんな噂を聞いたのはもう何十年も昔のことですが、次々とヒット作をお書きになるのを遠くから伺うだけで、手が出なかったのは何故でしょうね。
その馳星周さんの作品を始めて読みました。「犬」の話でした。一作一作、犬好きの本領発揮といった趣で「うまいものだ」と感心しながら読み終えました。
まあ、どうでもいいことですが、昔、西村寿行という犬好き作家がいたなとか、猫の話だとこうはならないんですよねとか。そんなふうに、書き手にはそんな意図は毛頭ないのでしょうが、他の動物のことや、30年以上も前のおもいでをうろうろさせるところが面白いなあと思った次第です。
ブログにも書きました。覗いていただけると嬉しいですね。
https://plaza.rakuten.co.jp/simakumakun/diary/202107180000/ -
犬の話だけで、これだけ色々なのが書けるってすごい。どれも良かった。
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馳星周 著「ソウルメイト」、2013.6発行。ソウルメイト=魂の伴侶 ①チワワ、末期癌の妻を癒やすルビイ ②ボルゾイ、悪い4人組から悠人を守る ③柴、3.11福島から野に放たれ9ヶ月、母の肌着の臭いで戻ってくる ④コーギー、虐待され続け捨てられたコーギーに「愛情」で心を開かせた真波 ⑤シェパード、リタイアした警察犬のプライドと優しさ ⑥ジャック・ラッセル・テリア、子供がテリアのボスになるまでの訓練 ⑦バーニーズ・マウンテン・ドッグ、短命な犬種、癌で8歳で天国に。ただ涙。どの話も心に響く話です!
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犬をテーマに感動的な短編集。
圧倒的ノワールから直木賞に至るまでずっと読んでます。 -
犬ものの最高傑作
泣けた-
近所のピザ屋で読んでて泣きそうになった
危なかったー
ピザ屋で読むの注意
犬もの反則だよね
全ての愛犬家必読
いやー泣けた -
様々な犬種の犬たちと人間との絆を描いた短編集。先に2の方を読んだので、1も。
ボルゾイのレイラ、柴の風太、バーニーズのカータの話がよかった。
作者の馳星周さんはバーニーズがよっぽど好きなんだろうなぁと思ったら、実際に飼っていて、カータの話は自身の体験をもとに書いたものだと知った。愛犬との別れは必ず来るものだけど、少しでも長く一緒にいたい気持ちとこれ以上病に苦しむ姿を見たくない、苦しませたくないという気持ちが痛いほどわかって、つらかった。ラストにはやっぱり号泣。2の方が最後に少し救いを感じられる終わり方だったので、こちらは★3で。
これからも愛犬を大切にしようと改めて思った。うちの子になってよかったと思ってくれるように。 -
はじめから、泣きそうになって、
通勤には向かない本でした。
犬ものには弱い人は要注意です。
でもきゅんとするエピソードも含まれていて、ほっこり。
背景描写がとても美しい小説でした。 -
反則だよ。表紙が犬でタイトルが「ソウルメイト」。犬好きには抗しきれんでしょ。
馳星周だと犬を蹴転ばすような話かと思ったが、いたって穏やかな話が並ぶ。
犬と人との交流を通して人を描いているんだろうけれど、その前の前提として、「犬を飼う」ということはどういうことか、これが全編に通じるテーマのようだ。 -
犬を通じて、家族の絆や子供の成長などを描いた7つの短編集です。
実は、馳さんが飼っているワンコと我が家のワンコは出身犬舎が一緒で、犬舎が主催する集まりやドッグショーで馳さんご夫妻とはご一緒したことがあります。
他の皆さんがおっしゃっているとおり、不夜城の馳さんのイメージとはかけ離れたかなりの愛犬家さんで、奥様も気さくでとてもステキなご夫婦でした。
愛犬の死、というテーマだけで条件反射的に泣けてくるのに「バーニーズ」のモデルになった1頭ワルテルとは会ったことがあるし、我が家のバニが小説に登場するバニと同じ8歳ということもあって、この章はかなり感情移入してしまいました。
夫は、わざわざ悲しい思いはしたくない、と頑なに読むのを拒みましたが(「バーニーズ」以外の章は読んでた・笑)私自身は読んで後悔はしていません。
たしかに、悲しいを通り越して恐怖を覚えましたが、それが現実なんだと実感したし、心構えはするべきだし。
でもそれよりもこの本に、犬が恐れていることは死への恐怖ではなく家族と離れることだと教えてもらって、だったら最後の瞬間まで私には出来ることがあると思えたことはとてもよかったです。
それでも・・・いつか迎えなければならないその日を考えると現実には恐ろしくて思考停止してしまいますが(涙)
「バーニーズ」以外の章でも、馳さんの犬への深い愛情を感じてほっこり。
その反面、飼い主達は崩壊気味な家族が多く登場し、TVで人間嫌いとおっしゃってたのを思い出し笑ってしまいました。。