水を縫う

著者 :
  • 集英社
4.18
  • (583)
  • (651)
  • (259)
  • (23)
  • (4)
本棚登録 : 5866
感想 : 540
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087717129

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 【書評】爽快感溢れる家族小説 ~『水を縫う』|教養|婦人公論.jp
    https://fujinkoron.jp/articles/-/2403

    紫原明子が読む、寺地はるな「水を縫う」 真っ直ぐに流れない。だから誰かに届く | レビュー | Book Bang -ブックバン-
    https://www.bookbang.jp/review/article/627975

    寺地はるな「水を縫う」書評 「普通」に優しく突きつけるNO|好書好日
    https://book.asahi.com/article/13533794

    『水を縫う』著者:寺地はるな|担当編集のテマエミソ新刊案内|集英社 WEB文芸 RENZABURO レンザブロー
    http://renzaburo.jp/shinkan_list/temaemiso/200526_book01.html

    水を縫う/寺地 はるな | 集英社の本 公式
    https://books.shueisha.co.jp/items/contents.html?isbn=978-4-08-771712-9

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「〜らしさ」って? | 一般財団法人 高田郁文化財団
      https://dokusho-culture.or.jp/book/28/
      「〜らしさ」って? | 一般財団法人 高田郁文化財団
      https://dokusho-culture.or.jp/book/28/
      2023/12/05
  • 清澄が自分を真っ直ぐ貫いている姿が良かった…文枝に掛ける言葉も、母に対する気持ちも。物語の中で誰かが特別な主人公でなく、それぞれの考えや生き方が伝わってきて、本当に読んで良かったと思う作品だった。何度も読み返したい本。

  • 手芸に心奪われている男子高校生の弟「清澄」。
    結婚間近ながらきらびやかな事を嫌悪する姉「水青」。
    子供に無償の愛を注ぐ気にならない事に葛藤を覚えながら、それでも子供愛している母。
    洋裁に才能を持つも実生活能力皆無で離婚されてしまった父。
    清澄が洋裁にのめり込むきっかけとなった、ムードメーカーの祖母
    離婚された父を雇って家族との間を取り持つ黒田さん

    この6人を主人公とした連作です。
    各々家族を思いながらも、自然にふるまう事が出来ず葛藤してしまいます。なんとも不器用で誠実な家族。
    そんな彼らも、姉の結婚準備をきっかけに少しづつ変わっていきます。周りから見たら小さな変化ですが、薄皮を剥がすかのように変わって行こうとする姿が愛おしいです。
    皆ぶっきらぼうですが、優しくて真っすぐでとてもいいです。
    でも、きれいなだけの感動の強奪みたいな本があふれている中、寺地はるなさんの本はとても誠実だと思います。地味ですが滋味あふれる佳作です。

  • 普通に囚われても囚われなくても、
    家族としてつながることはできる。
    誰かが誰かのために祈っている。
    だけどその祈りが「普通に」幸せになって欲しい、とか、「特別に」幸せになって欲しい、とか、
    自分の中にある価値基準に囚われて
    純粋に家族としての幸せを願っているのに歪んでしまうことがある。
    家族だからと言って全てが分かりあえる訳じゃない。
    ただ家族だからこそ互いに願ったり祈ったりする。
    それが呪いのようになってしまうこともある。
    血の繋がりがないからこそ自分の父性を一方通行に感じていてそれを痛感した運動会での清澄の視線の思い出が、
    清澄にとっても血の繋がらない父親との楽しい思い出として知ることができたのが感動した。
    「しずかな湖畔の」が一番好きだった。

  • 人とは人知れず悩みを抱え、あるいはそれを隠しながらも生きている生き物だ。
    本書の登場人物を見ていてそんな風に思った。
    男らしさ、女らしさ。言い方は色々あるが、大切なのは性別ではなく「個性」だ。「その人」が「どうありたいか」である。
    それぞれに、それぞれの生き方がある。それは決して誰かに強要されるものではないのだ。

  • 感想
    何気ない家庭にあるそれぞれの心のうちを丁寧に書いており、登場人物それぞれの個性がよく分かって、共感できる。

    各章が家族それぞれの視点で語られる。というので父親の章があると思いきや、父親の友人からの目線。読了後は敢えて父親の章がなくて良かったのかも、となんとなく思った。

    あらすじ
    清澄は手芸が好きな高校一年生。自分のやりたいこよは手芸と明確だが、周囲の奇異な目線と母親のなんでも辞めるように言うことにうんざりしていた。姉が結婚するにあたって一緒に暮らす祖母とウェディングドレスを作りたいと申し出る。

    姉の水青は結婚間近。堅実に生きるをモットーにしてきた。小学校の頃に変質者にかわいいと言われてから女の子らしい服装を避け、かわいいと言われることを嫌がった。エネルギッシュな弟を眩しく思っている。

    母親のさつ子は市役所に勤めて、離婚後も水青と清澄を母の力を借りて育ててきた。元夫がなり損ねた服飾デザイナーと同じところを目指す清澄を苦々しく思っていた。

    祖母の文枝は、女は男より劣る、良いお嫁さんになるべきだという古い考えに疑問を持ちつつも、その考えの中で育ってきたため、自分も知らずのうちにその考えをすることがあった。周囲にやりたいように進める一方で自分はやりたいことがやれずにいた。一歩踏み出し、プールを始める。

    黒田は父親の全の面倒を見ている縫製会社の社長。全の家族を自分の家族のように思い接してきた。清澄からの依頼で全にドレス作りを手伝うように説得する。

  • 流れる水は淀まない
    常に動き続けている

    石ころを磨く

    愛情の形はいろいろ
    感じ方もいろいろ

    わたしも淀まないようにしたいと思わせてくれたお話。
    最後にはウルッと✨

    素敵な本です
    ありがとうございます。

  • 静かで良いお話だった。
    好きなことに正直であること。
    自分も最近になって、好きなことを継続してきたことで得られたことの大きさに手応えと言うかじんわりと温かいものを感じていたけど。
    それが、何となく普通と違うことや常識の範囲じゃ無かったとしても、夢中になれることがあることは素晴らしいなぁと、静かに思わせてくれる本でした。

  • 優しい物語。「普通」に縛られたくないのに、自分も「普通」というフィルターをかけている。清澄に肩入れして読んでいると、ガチガチに見えるさつ子や頑なな水青に軽く反発を感じてしまうが、彼女たちの内面と変化に共感もした。紺野は好い人すぎるし、うまくいきすぎのところはあるけれど、温かくてほっとする。黒田と全の関係もいいし、くるみ、宮多、みゆき先生といった脇役の一人一人もちゃんと自分で立っている感じがいい。いちばん好きなのは文枝。

  • 普通って何だろう
    結婚って何だろう
    失敗って何だろう
    男と女、その区別って何だろう
    熱ってなんだろう

    家族であっても一個人と一個人との間にある淀み、あるいはわだかまり、あるいは距離感。
    点と線と面。
    普段見えないものを表現した作品でした。

全540件中 81 - 90件を表示

著者プロフィール

1977年佐賀県生まれ。大阪府在住。2014年『ビオレタ』で第4回ポプラ社小説新人賞を受賞しデビュー。他の著書に『わたしの良い子』、『大人は泣かないと思っていた』、『正しい愛と理想の息子』、『夜が暗いとはかぎらない』、『架空の犬と嘘をつく猫』などがある。

寺地はるなの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×