きのうのオレンジ

著者 :
  • 集英社
4.31
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感想 : 222
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087717280

作品紹介・あらすじ

「弱音を吐かない人は、いつだってひとりで闘っている」
がん宣告を受けたと、彼を支えるの物語。
心揺さぶられる感動長編。

三十三歳の遼賀が受けた胃癌宣告。どうして自分が……涙が溢れてきて、恐怖で震えが止まらない。その時、郷里の岡山にいる弟の恭平から荷物が届く。入っていたのは、十五歳の頃、恭平と山で遭難した時に履いていたオレンジ色の登山靴。それを見た遼賀は思い出す。あの日のおれは、生きるために吹雪の中を進んでいったのだ。逃げ出したいなんて、一度たりとも思わなかった――。

【著者略歴】
藤岡陽子(ふじおか・ようこ)
1971年京都府生まれ。同志社大学文学部卒業。報知新聞社を経て、タンザニア・ダルエスサラーム大学留学。慈恵看護専門学校卒業。2006年「結い言」が、宮本輝氏選考の北日本文学賞の選奨を受ける。09年『いつまでも白い羽根』でデビュー。著書に『手のひらの音符』『晴れたらいいね』『おしょりん』『満天のゴール』『跳べ、暁!』などがある。現在は、京都の脳外科クリニックに勤めている。

感想・レビュー・書評

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  • 涙を通り越してその先の高次元まで運んでくれました。なんといってもこの作品、ただでさえ泣けるのに山が出てくるんですよ。無茶ストライクゾーンの話じゃないですかぁ、星5つじゃ足りないくらいでした。
    ストーリーの中にはすべての良きものが詰まっていて不安や恐怖さえも凌駕して美しい光景を見せてくれました。とくに雪山って綺麗なんですよね登山道のない藪山だと雪が積もると雪庇の白い道ができてそこを辿って登っていくことができてワクワクするんです。1,200m位の山ならば自然林に霧氷とかエビの尻尾がついて幻想的な世界になるんですよね。
    33歳で胃ガンの宣告を受け闘病生活を続ける主人公を支える家族や知人、多くの愛に恵まれて生きた証が綴られてました。できることが次第に少なくなっていくなか、15の時、雪の那岐山で遭難した兄弟がもう一度山を目指すあたりからはもう震えが止まりませんでした。
    山頂ついた時の達成感を共有できる幸せは仲間だけじゃなく、その場に居合わせた登山者とも共有でき心を開くことができる奇跡に感動。当時山岳警備隊として彼らを捜索したメンバーだったことが分かる件は、如何にも盛りすぎだと感じる読者もいるかもしれませんが山はそんな偶然が、わりかし起こりうるところなんですよね。
    だからわざとらしさとか感じられず自然と受け入れることができるし錆びついてた記憶が解放され優しい気持ちになれる。
    彼の生き様は、友人の看護師、弟の教師、アルバイト店員だった部下の人生にも確かな芽吹きを与える。
    朽ち果てても残った者たちが未来に連れていってくれる幸福の連鎖、主人公の人柄がより一層輝く瞬間に立ち会うことができて幸いでした。

    • チーニャ、ピーナッツが好きさん
      しじみさ〜ん、こんばんは♪
      とうとう一年がもう少しで終わりますね〜!!
      しじみさん、たくさんコメント頂いて嬉しかったです。
      ありがとうござい...
      しじみさ〜ん、こんばんは♪
      とうとう一年がもう少しで終わりますね〜!!
      しじみさん、たくさんコメント頂いて嬉しかったです。
      ありがとうございます♡
      しじみさんの星5つの、こちらの本も今度読めたらなと思いましたよ。
      来年もどうぞよろしくお願いしますね(*^^*)
      2023/12/31
    • つくねさん
      チーニャさん、明けましておめでとうございます♪
      今年もよろしくお願いします
      チーニャさん、明けましておめでとうございます♪
      今年もよろしくお願いします
      2024/01/03
    • チーニャ、ピーナッツが好きさん
      しじみさん、明けましておめでとうございます♪
      こちらこそ、よろしくお願いします!
      しじみさん、明けましておめでとうございます♪
      こちらこそ、よろしくお願いします!
      2024/01/03
  • ◇◆━━━━━━━━━━━━
    1.あらすじ 
    ━━━━━━━━━━━━◆
    今まで人生、そんな役回りばかりで、人のために行動ばかりの遼河でしたが、33歳の若さで癌を宣告されます。
    そんな遼河と家族、仲間との人生の物語です。
    遼河、恭平、泉を中心として、物語は進んでいきます。


    ◇◆━━━━━━━━━━━━
    2.感想
    ━━━━━━━━━━━━◆
    夏の庭に続いて悲しい本を選んでしまいました。

    人が亡くなることが予想できる展開なので、読み進めるのが辛い作品でしたが、すべての人はいつか死ぬわけなので、捉え方の問題ですね。

    主人公の遼河はとても強い人間でした。こんな人間に憧れます。「本当の強さとは何か?」というのは、いつまでもよくわからないまま歳を重ねておりますが、やはり、今までに経験したことのない恐怖と対面した時に、一歩前に進むことができる人が強い人だと思います。

    どうすれば、そんな強さを手にすることができるのかはわかりませんが、誠実さを持って、生きていくことで、その一歩がでるのかもしれないですね。

    限られた時間の中で、自分らしく生きていくことは大切ですね。この本を読むことで、今の自分と向き合うきっかけになるかもしれません。気負うことなく、好きなことをして、周りの人たちと誠実に関わりながら生きていくことは、とても大切だと感じました。

    作中に那岐山がでてきます。全然知識がないので、どこにあるのか調べたら鳥取でした。鳥取に行く機会あれば、ぜひ山登りも予定に組み込みたいと思いました。


    ◇◆━━━━━━━━━━━━
    3.主な登場人物 
    ━━━━━━━━━━━━◆
    笹本遼賀 33歳 トラモント店長
    笹本恭平 33歳 兄弟 教師
    笹本燈子 遼賀 母
    笹本音燈 おと 母の妹
    笹本富  遼賀 祖母
    笹本昌美 恭平妻 教師

    矢田泉 33歳 看護師
    松原医師 38歳

    道平 訪問看護師

    (トラモント) 五反田にあるイタリアンレストラン
    高那裕也 アルバイト
    戸川佐和子 アルバイト

  • 読友さんお薦めの本。レストラン店店長として働く遼賀、33歳独身。体調が悪く検査で胃がん告知される。看護師の矢田との再会。遼賀は双子の恭平にがん告知されたことを伝える。この作品のメインは兄弟愛であるが、遼賀の温厚でしっかりとした性格から、職場の部下への想い、さらに家族愛としても深い話であった。ただ、看護師の矢田の主治医との立ち振る舞いや遼賀を追って地元に戻ってきた理由は彼女の現実逃避としか感じられず、若干盛りすぎだったかな。しかし主人公の強さと潔さ、さらに後悔。これらの感情が最後の壁である登山へと導いた。④

  • 切ない物語でしたが、前向きに病気に立ち向かう主人公に感動しました。
    とても良かったです。
    久しぶりに涙の止まらない物語を読みました。

  • 日々を誠実に生きる青年が病気となり、それを支える人たちとの物語。
    主人公の今までの優しさがあったから周りが当然のように更なる優しさで包み込む。
    兄弟愛、家族愛、恋模様の全てが心地よい。
    辛く哀しくも心温まる感動作。

  • マメム様よりご紹介いただき読ませていただきました。

    若くして癌を患ってしまう遼賀さんのお話。
    生き様、家族愛、闘病生活...ちと恋模様。
    いやー、泣きますって、泣かされますって
    (´;ω;`)
    このお話も生と死を考えらさせられるお話でした。
    毎日を大事に過ごさねばねっ

    マメム様、ご紹介ありがとうございました
    (╹◡╹)♡

    • あかぴさん
      マメムさん こんにちわ
      物足りないとかは全くありません!

      強いて言うならば こちらが心構えを持って読んだことでしょうか
      また よろしくお願...
      マメムさん こんにちわ
      物足りないとかは全くありません!

      強いて言うならば こちらが心構えを持って読んだことでしょうか
      また よろしくお願いします(๑˃̵ᴗ˂̵)
      2024/02/06
    • マメムさん
      あかびさん、お返事ありがとうございます。

      なら良かったです♪
      では僭越ながら伊吹有喜さんの『犬がいた季節』もオススメしてみます^_^
      良か...
      あかびさん、お返事ありがとうございます。

      なら良かったです♪
      では僭越ながら伊吹有喜さんの『犬がいた季節』もオススメしてみます^_^
      良かったら選書のご参考に♪
      2024/02/06
    • あかぴさん
      マメムさん
      ありがとーゴザイマス!

      是非 読ませていただきます
      (^o^)
      マメムさん
      ありがとーゴザイマス!

      是非 読ませていただきます
      (^o^)
      2024/02/06
  • 働き盛りの30代でがん宣告なんて、どれほどの衝撃かと…思考が拒否して、しっかりとした想像力が働かない。
    それでも闘病の描写も投げ出さずに読了できたのは、作中に人の優しさが散りばめられていたからでした。オレンジ色の靴がキーポイントにも感じるし、実家と職場のレストランで生った蜜柑もオレンジ色、山で感じたまぶた裏の夕陽もオレンジ色…( ;∀;)
    明日を生きる大切さなんかも考えさせられました。

    『不安、恐怖、後悔…。この3つを口にする患者さんが多いかな。』
    『自分が無力であることを突きつけられる。それなのに、こんな状態でもまだ必死になって探している。自分にもまだ何かできることがあるのではと、その何かを探している。』

    2024.4

  • 従兄。

    僕にとっては44歳でガンで早逝した従兄と遼賀が見事に被ってしまった。

    自分のことを一番に考える今の世の中で、従兄や遼賀は、自分の身近な人たちの幸せを、自分自身の幸せより優先して考えていた気がする。

    彼らの生きた意味は何だったんだろう・・・。

    本当に「いい人」で、人柄でも手放しでも尊敬してしまう人。

    そんな人に早逝されるのはたまらないな。

    それが何度も胸をよぎった本作だった。

    さわやかな風が吹き抜けるような本作。

    でも哀しいなぁ。

  • 私の大好きな色 オレンジ色が作品の随所に散りばめてあり、とても大切なアクセントになっている

    15歳の時、恭平と山で遭難した時に遼賀が履いていた登山靴のオレンジ色
    抗がん剤の副作用に苦しむ病室に差し込んだ夕陽のオレンジ色
    死を前にして、もう一度あの山で、あの時の思いを確認したいと登った山の端に落ちていく夕陽で
    樹々や空がうっすらオレンジ色に染まっていくー

    33歳で胃がん宣告を受けた遼賀と彼を取り巻く人々ーー
    弟の恭平、母、祖母、高校の同級生の矢田泉

    逝く者も遺される者もお互いを思いやり、過度の心配をさせないよう気遣う
    みんなとっても優しい 
    どうしてそんなに優しくなれるの?と問いたくなるぐらい優しい
    だから余計に悲しく、悔しい

    新聞に載るほどの良いことも悪いこともせず、特に目立つこともなく生きて・・・。山に生える一本の木のような人生だ。でも自分は間違いなく幸せだったと振り返る

    そして、みんなにありがとうを伝えたいと

    何と静かで潔い最期だろう
    深い感動のうちに読み終えた


     


  • あ〜泣けた(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)
    泣けるけど読んでる間ずっと暖かい気持ちもある。
    笹本遼賀33歳の癌が見つかったところから物語がはじまる。
    一章は病気を知った動揺、悲しみ、絶望、遼賀の語りは優しい性格そのままにゆったりと進む。

    もうこのあたりでちょっとヤバい(>_<)
    優しさにいたたまれない。

    二章の母親目線での話になるともう涙腺崩壊で…

    優しい人に囲まれて、最後までみんなに感謝して…

    悲しいけど素敵な話でした。゚(゚´ω`゚)゚。

    • みんみんさん
      マメムさんこんばんは〜♪
      重松清作品は何作か読んでますよ\(//∇//)\
      レビューしてないけど笑
      きみの…も読みました〜!
      マメムさんこんばんは〜♪
      重松清作品は何作か読んでますよ\(//∇//)\
      レビューしてないけど笑
      きみの…も読みました〜!
      2023/09/10
    • マメムさん
      みんみんさん、こんばんわです。
      本棚に含まれていたので、やはり既読でしたか…。予約の順番が来るのが待ち遠しいですね(^_^;)
      みんみんさん、こんばんわです。
      本棚に含まれていたので、やはり既読でしたか…。予約の順番が来るのが待ち遠しいですね(^_^;)
      2023/09/10
    • みんみんさん
      気長に待ちます♪
      藤岡さんは地味だけど良い作品があるから他もオススメですよ(^-^)
      気長に待ちます♪
      藤岡さんは地味だけど良い作品があるから他もオススメですよ(^-^)
      2023/09/10
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著者プロフィール

藤岡 陽子(ふじおか ようこ)
1971年、京都市生まれの小説家。同志社大学文学部卒業後、報知新聞社にスポーツ記者としての勤務を経て、タンザニア・ダルエスサラーム大学に留学。帰国後に塾講師や法律事務所勤務をしつつ、大阪文学学校に通い、小説を書き始める。この時期、慈恵看護専門学校を卒業し、看護師資格も取得している。
2006年「結い言」で第40回北日本文学賞選奨を受賞。2009年『いつまでも白い羽根』でデビュー。看護学校を舞台にした代表作、『いつまでも白い羽根』は2018年にテレビドラマ化された。

藤岡陽子の作品

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