アブサン 聖なる酒の幻

  • 集英社
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (154ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087732597

感想・レビュー・書評

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  • 多分和訳もいいのかも?
    緑のアブサンの描写は本当に綺麗でうっとりしてしまう。

    アブサン…といえばランボー。
    映画「太陽と月に背いて」におディカプリオ。良かったなぁ。(脱線)

  • 直前に読んだモディアノの翻訳にはなれなかったがこちらは読み易い。
    ジョルジュ・バタイユだと思い込んで読み始めたので???となったが、内容は良かった。

  • アブサンは、19世紀後半にヨーロッパで大流行したアルコール度数70%を越えるリキュールで、ボードレール、ヴェルレーヌ、ランボー、ロートレック、ゴッホなど、多くの芸術家たちが愛飲した酒。
    神経系に作用し、中毒患者が多数出たためフランスでは、1915年にアブサンの製造・流通・販売は禁止された。
    薄い緑のアブサンは、水を加えると白濁し、翡翠のような色彩だという。
    そんなアブサンが有毒な成分を排除して近頃解禁されたらしい。

    1871年、真冬の城壁に生き残った数名のフランス兵士がいた。
    ジャン・マルデその人もそうだった。そして彼は軍からひとり離脱した。
    彼は、カフェでアブサンを呷ったあと、妻子の待つ故郷に戻った。

    ジャンはアルゼンチンに出稼ぎに行った。故国の妻子にせっせと仕送りした。
    しかしやがて、仕送りは途絶える。
    ジャンは現地の踊り子のアンナと一緒になったのだ。子もひとりもうける。
    彼はアルゼンチンでアブサンを作り始めた。バーを開き、客に出す。
    ある日、ジャンはブエノスアイレスを突然去った。ブエノスアイレスのアブサンの神秘と妻と子はアルゼンチンに残された。

    ジャンはジョゼとしてフランスの丘の上に現れる。
    9歳の少年は丘を登ってジョゼに会いに行った。そして少年は、アブサンの製造を見つめた。
    ジョゼは色々な不思議な話もしてくれた。大きな体躯を持つこの男を少年は好きだった。

    アブサンに副作用が明らかになったということで、アブサン製造者に調査が入りだした。

    ある日、また突然、ジョゼは丘から消えた。

    不思議な色合いを持つ小説である。クリストフ・バタイユの簡潔な文体は健在であるものの構成の仕方が、『ANNAM』より巧妙になっている。
    ジャンという男の人生が淡々と描かれていくなか、気が付けば、主人公はかつての少年にうってかわられている。
    ジャンがジョゼになった理由も語られず、少年家族との詳しい因果もよくわからない。

    アブサンという謎めいた酒を謎の多い男が、牧歌的な風景のなかで作り出すアブサンの幻想は魅惑的で、クリストフ・バタイユの詩的感性と完璧な調和を成す。

  • いつ読み返しても、新鮮。
    私が内容をすぐに忘れてしまうから
    というだけではないと思う。
    きっとこの人は感性が薄氷のように鋭くて
    それを捉えて美しく見せる魔法を持っているに違いない。
    日本語の訳も詩のように綺麗で
    原文が読めたらどんなにかと思う。
    埃を透過する淡い光や、スプーンにのった深緑の液体、
    干し草のようなニガヨモギの香り。
    事象が感覚と一緒に喚起される心地良さ。
    白昼夢に近い感覚。

  • COMIN'SOON

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著者プロフィール

1971年生まれ。小説家、編集者。代表作に『安南 愛の王国』(1993年度小説新人賞、ドゥー・マゴ賞受賞)、『Vive l’enfer』(1999年)、『J'envie la félicité des bêtes』(2002年)、『Le Rêve de Machiavel』(2008年)ほか

「2014年 『消去』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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