- Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087734492
作品紹介・あらすじ
この星の明日をアメリカの不滅の大詩人ホイットマンの詩にのせて美しくも哀しくうたいあげわれわれの未来を描いて戦慄する。
感想・レビュー・書評
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M・カニンガムのポスト9・11小説は、W・ホイットマンの詩を軸にそれぞれ過去・現在・未来のニューヨークが描かれた三話の連作短篇である。第一話はゴシック小説、第二話は警察スリラー、第三話はSFとまったく異なる趣ながら、主要登場人物(ルーカス-ルーク、キャサリン-キャット-カタリーン、サイモン)や白い鉢・馬のモティーフなどでゆるやかに繋がる。
一つの作品としてのまとまりが若干弱く、どこか宙ぶらりんな読後感も残る。しかしホイットマンの扱いはもちろん、第一話の豊かな詩情や第二話の緊迫感溢れる展開はさすがの一言。作家の最良作ではないにしろ、その腕前は健在である。 -
2009/3の課題図書
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深い。
つかみどころがない、、、というか言葉にしようとすると、感じたことがつるっと逃げるような感じ。
3つのストーリー全部、最後は主人公が今までの居場所をなくして、
ほんの少しの希望にすがって新しい居場所を求め始める。
2章の最後でキャットが考えたように、それって多分一度死ぬことなのだ。
けれど私には明るい未来があるようには思えない。
作中引用されたホイットマンの詩の一節
「死ぬことは誰が考えたのとも違って、もっと幸運なことなのだ」
が、共通テーマだとしたら、本人たちは思うほど不幸ではないということなのだろうか。
もしかしたら、私が未来に明るい展望を持っていたら
このラストは違って見えるのかもしれないとも思う。
(09.03.12)
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図書館。
ネット上の読書会「励まし合って読書会」3月の課題図書。
そういうきっかけでもないと読まないだろうなあ。(09.02.28) -
映画「めぐりあう時間たち」の原作者。「めぐりあう〜」が、ヴァージニア・ウルフをモチーフとしていたように、ここではホイットマンの「草の葉」という詩をモチーフとして、三つの時間が三つの物語として描かれる。産業革命、現代(911)、そして未来。この物語たちは「物語的な」ハッピーエンドを有しない。とりわけ二つ目の話には深い衝撃を受けた。死後の美しい世界へ行くために愛のため人を殺める少年たちにはどんな星々が映っているのか。
混迷する先行きの見えない世界を生きる我々。死と現世は永遠にのがれられない人間の宿命―ホイットマンの詩を通してそこに愛と哀を美しく描き出す。 -
☆読めなかった☆後日リベンジ