ロシアの星

  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087735185

作品紹介・あらすじ

彼の名前はユーリー・ガガーリン、
優しく孤独な、われらが明星

1961年に人類ではじめて宇宙飛行を果たしたガガーリンは、
ソ連の英雄として祖国に祭りあげられ、7年後に飛行機訓練中に事故死した。
強大な国家を背負った男の栄光と悲哀。彼によって変えられた数多の人生。
そして宇宙への見果てぬ夢を描く、フランス人作家による連作短編小説集。

いくつもの角度から見た国民的英雄は、少しずつ異なる輝きと影をもつ。

【著者プロフィール】
アンヌ=マリー・ルヴォル
Anne-Marie Revol

1973年生まれ。パリ第10大学(現パリ・ナンテール大学)を卒業後、ニューヨーク市立大学クイーンズ・カレッジで修士号を取得。ニューヨークでフリーのジャーナリストとして活動し、現在はフランスのテレビ局『フランス2(ドゥ)』に勤務しつつ、執筆をおこなっている。2010年、デビュー作のノンフィクション『Nos etoiles ont file』にて、ELLE読者賞グランプリとロータリークラブ賞を受賞。その後フィクションを書くようになり、本書は小説2作目にあたる。

感想・レビュー・書評

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  • 1961年4月12日、人類は初めて有人宇宙飛行に成功した。宇宙船はヴォストーク号、パイロットは157cmと小柄なユーリー・ガガーリン、飛行時間は108分。

    この世界的偉業を果たしたガガーリンは英雄として神格化され、ソ連首脳部のプロパガンダに政治利用されていく。

    本作は、ガガーリンとその関係者にまつわる史実を交えた連作短編。

    ガガーリンは寡黙で忍耐強く、素朴でやさしい人柄だったようだ。そのガガーリンが、栄光を手にした後、飼い殺しにされ、疲弊しやつれていく姿が痛々しい。

  • 1961年4月12日に世界初の有人宇宙飛行を成し遂げたユーリー・ガガーリン。そのガガーリンについて実在の人物や架空の人物を織り交ぜて描かれた物語。実在の人物はガガーリンの妻や娘、宇宙飛行士ゲルマン・チトフ、ヴォストークの設計技師長コロリョフ、サラトフの農村の女性、架空の人物は星の街の元医師、下水清掃員のファン、警察署長と孫娘、フランスのジャーナリスト、工業専門学校の同窓生など。それぞれの直接的や間接的な関連エピソードが連作短編で綴られている。登場人物同士が時と場面を変えて出会い繋がることもあって、物語ならではの楽しみもある。

    関わる人物を通してガガーリンの気持ちや考え、行動、意志を知ることができるが、それと共に当時のソ連の環境、英雄の扱い、宇宙開発計画の実情なども知ることができる。宇宙飛行を境に、ガガーリンの夢と希望は耐え難い現実に侵されていったということも。英雄と祭りあげられたがためのガガーリンと家族の苦悩、最後までただ「飛びたい」と願ったガガーリンの心と不安や後悔に押し潰されそうな妻の心、世界初の有人宇宙飛行に成功した人物の光と影を堪能した。

  • ユーリー・ガガーリンをめぐる実在・架空の20名ほどの人間模様の短編連作(どれも●●●●年4月12日となっている)。
    冒頭のアメリカに移住した元医師とその孫のエピソード(2011年)、ガガーリングッズのコレクターと同じアパートの女性研究者のやりとり(1963年)など、架空の人物のパートがおもしろい。実在人物、特にチトフのパートは少々精彩を欠く。
    フランス文学でソ連が舞台のものは『四人の兵士』がお気に入りだが、この作品もまあまあかしら。 

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