- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087743739
作品紹介・あらすじ
ふたりでいても、かなしい。ひとりでいても、いとしい。生きていくということ-その意味と真実とは。人々の交錯する心情を通して問いかける四つの物語。
感想・レビュー・書評
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4つの短編集なんですけど、どれも違った愛の形。
「妻を思いやってあげれなかった事に気づく愛」
「空想の世界に生きる少女に認めてもらいたかった愛」
「子供時代自分の気持ちを抑えすぎて、些細な事に傷付き合ってしまう男女の愛」
「バイト先のコンビニで急に倒れて亡くなってしまった男性の妻との交流の愛」
気持ちがすれ違ってしまう事ってよくある。
だから同感する所が沢山ありました。
4編目の最後のあたりはジーンときました詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ささいなきっかけで崩れて行く日常と、崩れた日常を何とか再構築しようとする人々の切ない行動が精緻に描かれていく。著者の長編はどれも大作なので、この本に収録された、やや長めの短編4つは入門として最適では。話は全く古びておらず、むしろさらに時代に寄り添ってきているので違和感無く読めるはず。
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読んで良かった。
満ち足りた気持ちになりました。 -
久しぶりに天童さんらしい本が読めたことがとても嬉しいです。
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俺はこの天童荒太という作者が大好きなのだということに気付いた。永遠の仔、悼む人、あともう一冊なんか読んだな…。四冊目。何が好きかと問われても、答えに詰まっちゃうんだけど、なんか雰囲気が好きだ。うん。読んだ後に、子どもや嫁や家族のことがほっこりと胸の中に思い出されるような、大切な人を想起させる要因は何だ?大切な、人が、死んだんだよ。短編集ラストの作品、最後のセリフがグッときた。
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2014.12.18
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ささやかでありふれた日々の中で、たとえどんなに愛し合っていても、人は知らずにすれ違い、お互いを追いつめ、傷つけてしまうものなのか…。夫婦、親子、恋人たち。純粋であるがゆえにさまざまな苦しみを抱え、居場所を見失って、うまく生きていくことができない―そんな人々の魂に訪れる淡い希望を、やさしくつつみこむように描く四つの物語。天童荒太の本質がつまった珠玉の作品集。
とりあえず、愛
主人公の磯崎武史の自己中心的な考えに嫌悪感を覚えた。娘のことを愛しているのはわかるけれど育児で精神的に疲労を感じている妻を気遣うことはなく、責めてばかりだった。1番頼りにしたいときに1番ひどい人だったという妻。お互いを理解し信頼し想い合うことが大切だと思った。
うつろな恋人
仕事のストレスから入院することになった主人公。彼は散歩中に少女に出会う。その子はかつて精神を病んで入院していた人だった。
架空の恋人を作り自分を保っている智子だったが章二はどうしても真実を伝えたかった。
やすらぎの香り
大きな心の病を持ちながら支え合って生きて行こうとする2人。他人に素直に想いを伝えられず自分を責めてばかりの2人がこれからの人生を共に歩んで行こうと少しづつ前に進んでいく努力をしようとしている作品。
喪われてゆく君に
コンビニで働いていた浩之はあるサラリーマンの死を目撃する。彼の奥さんのために生前に彼とデートしていたところに行き写真を撮って彼の死を受け入れるきっかけを作っていく。 -
4つの感動的な短編からなる佳品集です。いずれも精神的にセンシティブな人たちの少し異常な行動とその悲しさを描き、透明感あふれる美しいお話です。特に「うつろな恋人」の少女と小父さんの物語は何が現実なのか、不思議な感じに囚われますが、明るい喫茶、そこに描かれた絵とヴェルレーヌの洗練されたイメージに読後心洗われる思いがします。「喪われゆく君に」の青年の憧れはいろいろな花々の溢れる公園と図書館の彫刻。「とりあえず、愛」の夫婦の悲しいすれ違い・・・。いずれも名作「永遠の仔」に通じるものがあります。
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再読。中篇集。最初の『とりあえず、愛』は乳幼児のいる子育て世代にはホラー以外の何者でもない。読んでて心が震える。嫁に感謝m(_ _)m 閑話休題。タイトルをいつも『ありふれた愛』と誤読してしまい、内容の崇高さと深さを己の中で損なってしまう‥
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以前、読んだ本