S倉迷妄通信

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 45
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087746051

作品紹介・あらすじ

本当の本当の本当とは何か。芥川賞作家の「猫人生」その後-。私的猫写真77枚掲載。

感想・レビュー・書評

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  • 「S倉迷妄通信」「S倉妄神参道」「S倉迷宮完結」の3部構成。猫写真満載。

    四匹の猫ルウルウ、ギドウ、モイラ、ドーラを連れて千葉県S倉市の戸建てに引っ越してきた作者。「S倉迷妄通信」では引っ越しの経緯やご近所づきあいも含めた猫話が中心。『愛別外猫雑記』その後といった感じ?

    「S倉妄神参道」になって、風水や神様の話に。作品としては「太陽の巫女」や「金毘羅」あたりが確かその手の話だったと思うけれど、伊勢出身ゆえ、伊勢神宮やサルタヒコを「担当」としていた筆者が引っ越しによって担当代え、千葉ではスクナヒコナが守護神になるらしい。最近の作品だとなんかもうもっといろいろ紆余曲折して「荒神様」信仰になってたっけ・・・。まあご本人もおっしゃってるように風水も神様も自分都合解釈の後付、信じたい部分だけ都合よく解釈する自己流神話。

    「S倉迷宮完結」にいたって、ここまでの一人称「私」が笙野頼子ではなく沢野千本だったことが判明。沢野千本による小説内小説で、ド-ラを棄てた元飼い主の生き肝をとって食えばその寿命を貰い受けられるという化け猫ルウルウに導かれ、夜の高速を私は駆け抜ける。この小説内小説が一番面白かった。「いない夫の呪い」「いない夫がいる祟り」は他人事ではない気がする。まあ見知らぬ年配の女性に対しての呼びかけとして「おばさん」よりは「奥さん」のほうが角が立たないだろうというのは一種の配慮のような気もするけれど。

  • 「愛別外猫雑記」の続編のような小説。
    千葉での生活や4匹の猫のその後を描く…
    と思いきや、作者の宗教の話になったり、小説内小説の中でファンタジーのような展開になったり、と中盤からはかなり自由な展開になる。
    後の「金毘羅」などに続く作者の宗教観を見ることができて面白かった。

  • (後で書きます。水晶内制度〜だいにっほん三部作までの裏テキスト? 猫語の的確さと呪殺のしんどさがすごい)

  • 猫4匹をつれてS倉の郊外一軒家に引っ越した「沢野千本」の心の動きをそのまま綴っているうち、幻想や殺人観、夢、極私的信仰に触れた、「非現実に見えて実は理性の彼方で白熱している実際の切実な心の動きをありのままに」書いた心境小説。「知り合いの190cmの美人女優人形を作った優しい耽美人形作家」って誰?思い浮かばない…。

  • S倉に越してきた猫好きな作者の生活が、独特な作風で描かれています。このS倉はおそらく佐倉だと思われます。著者の笙野氏は、平成6年に芥川賞を受賞され、他にもたくさんの著作があります。

  • 2009/10/1購入

  • 愛別外猫雑記のその後。<br>
    小説内小説「s倉迷宮完結」で、化け猫“ルル”が選んだツールが<br>電話だったのが、可愛くて好き。そしてルルにいろいろと共感?した。<br>…化け猫に共感て

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著者プロフィール

笙野頼子(しょうの よりこ)
1956年三重県生まれ。立命館大学法学部卒業。
81年「極楽」で群像新人文学賞受賞。91年『なにもしてない』で野間文芸新人賞、94年『二百回忌』で三島由紀夫賞、同年「タイムスリップ・コンビナート」で芥川龍之介賞、2001年『幽界森娘異聞』で泉鏡花文学賞、04年『水晶内制度』でセンス・オブ・ジェンダー大賞、05年『金毘羅』で伊藤整文学賞、14年『未闘病記―膠原病、「混合性結合組織病」の』で野間文芸賞をそれぞれ受賞。
著書に『ひょうすべの国―植民人喰い条約』『さあ、文学で戦争を止めよう 猫キッチン荒神』『ウラミズモ奴隷選挙』『会いに行って 静流藤娘紀行』『猫沼』『笙野頼子発禁小説集』『女肉男食 ジェンダーの怖い話』など多数。11年から16年まで立教大学大学院特任教授。

「2024年 『解禁随筆集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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