- Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087746563
作品紹介・あらすじ
物事はすべてあるがままですでに凝縮されている。絶妙に溶け合う60の記憶とことば。
感想・レビュー・書評
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日常のありふれたものに対して江國香織さんが感じていることを記したエッセイで、何とも言えない味わいがありました。
同じような感覚で接しているものには「そうだよね!」と共感し、そんな風に感じたことがないものには「そこにこだわる?」と思ったり。
共感度が高かったのは、「輪ゴム」「カクテルの名前」「鉛筆とシャープペンシル」「石けん」「日がながくなること」あたりでしょうか。
「輪ゴム」
・・・。特に何に必要ということはないのだが、輪ゴムを使おうと思ったときにもしも手近になかったら、私はひどい失敗をした気持ちになると思う。・・・
「石けん」
石けんを水やお湯で濡らし、両手で包んでするすると転がす。そのときの、手の中で石けんのすべる感触には、ほとんど官能的なまでの愛らしさがあると思う。・・・
こんな雰囲気で日常の「とるにたらないものもの」への想いが綴られています。
それぞれ2ページ程のショートエッセイということもあり、すきま時間に楽しく読めました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
タイトルどおり、日常に何気なくあるけれど、愛おしく感じるもの、なぜか惹かれてしまうもの、手放せないものなどのことを綴った1篇3ページの短いエッセイを集めた本です。
江國さんの手にかかると、普段は我が家のすみに転がっている輪ゴムや、引き出しの奥に眠っているレモンしぼり機にも、とろんとした蜜をかけたような甘やかさが宿るのです。
私も下敷きが必需品なので、いいデザインのものがほんとうに少ないと嘆く江國さんに共感。
参考書用の赤シートも兼ねられるものや、キャラクターの絵がついてるものではない「大人の下敷き」、ほしいです。
「けり」という詠嘆の過去助動詞をよく使うという江國さんにきゅんとしました。
ついお菓子を食べすぎてしまったあとに、「ああ、またしても食べにけり」とつぶやく大人の女性は、可愛らしさと甘美さが同居していて、少し色っぽい。 -
「すばる」に連載されていた江國香織さんのエッセイ集。
エッセイって、その作家さんの色がすごく一冊に渡って広がっていて
顔も声も知らない作家さんなのに、その人のことを知ったような気になるから不思議だ。
江國香織さんのこの本は私的には、
夜空に広がる淡い桃色の天の川のイメージ。
←そんなん見たことないけど笑
大人しく派手さはないのに、可愛らしくて、でもあくまで淡い桃色。
濃い色やキラキラじゃない。
女らしすぎないけれど、儚さのある彼女の魅力あふれる本だった。 -
ごく短い日常の気づきが、それだけで一粒の上等なゼリー菓子のようにきらきらしている、大好きなエッセイ。
久々に読み返してやっぱり素敵だなと。
トライアングルやフレンチトーストへの秀逸な愛情表現。
江國さんのは小説よりエッセイの方が好きかも。 -
日常の中で何気なくいつも選んでしまうもの、気づいたら好きになってたもの。だいすきなものとの思い出が綴ってあるエッセイ。私も自分のすきなものってなんだろうって考えちゃいました。
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P39『食器棚』たぶん、なにもかも嘘なのだ。夜中の台所で私はそう考える。結婚も夫も、たぶん実在しないのだ。私の空想の産物なのだ。そういえば昔から、私は一人遊びが好きだった。
最後のいいのだ、ということがよかった -
江國さんのエッセイが好きなので続けて読んでいる。年代が同じせいか、共感することが多い。
豊かな感性を、適切な言葉で表現できるすばらしさを思う。 -
とるにたらないものもの、についての短編エッセイ集。
そうそう、それ私も思ってた!というようなことが沢山、繊細で的確な表現で綴られていて、読んでいてすごく楽しかったです。自分の中にぼんやりとした形であった考えや思いを、江國さんが美しく具現化してくれたという感じ。
特に好きで激しく共感したのが、「輪ゴム」。笑
好きかそうでないか分かれる(特に男女で)作品ではないかと思いますが、私は江國作品の中で一番好きです。 -
仕度、まめご、フレンチトースト、
大笑いは小さな狂気 -
久しぶりに江國香織さんの本を読んだ。
言葉が本当に素敵で、やっぱり大好きだと再確認した。
平凡な私でも日々感じていることが多くて共感するところが多々ありました。
自分では表現しきれないところを江國さんの言葉が表現してくれていて、それがすとんっと自分の中に落ちていく感じ。
とても良かった。図書館で借りて読んだけど手元に置いておきたいので買いに行こうと思います。