- Amazon.co.jp ・本 (128ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087746839
作品紹介・あらすじ
舌を二つに裂き続ける少女。神の名を持つ異形の青年達。暗い時代を生き抜く若者の、受難と喪失の物語。第27回すばる文学賞、第130回芥川賞受賞作。
感想・レビュー・書評
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主人公の少女は、痛みとともに舌ピアスを次々に拡張してゆく。
描写が結構すごい。過激だが、物語に引き込まれ一気に読み切った。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
歳をとらないと深く理解できない小説があるように、歳をとってしまうと深く理解できない小説がある。金原ひとみの『蛇にピアス』は後者に属する小説だと思っている。『蛇にピアス』はスプリットタンや舌ピアス、タトゥなどの身体改造を通じて、生きていることの痛みや切実さを描いている。僕は10代の時にこの小説を読んだが、この時期に読むことができて本当に良かったと思う。今読み返しても、10代の時ほど生きることの痛みの切実さが感じられないんじゃないかかなと思っている。
『蛇にピアス』でモチーフとして扱われているのは、タイトルにある様にピアスやスプリットタン、タトゥといった身体改造だ。主人公のルイは、アマと同棲しながらも、サディストの彫り師シバとも関係を持っている。アマは舌にピアスを入れており、舌先が二つに別れたスプリットタンになっている。ルイはアマのスプリットタンに影響を受けて、自らも舌にピアスを入れ、タトゥを彫り、どんどんと「身体改造」にはまっていく。痛みを通じてしか生きることの実感を得られないアマの痛みと快楽、愛と絶望が描かれている。
アマやルイ、シバたちは、ピアス・タトゥーといった身体改造を通じて、アンダーグラウンドで生きるということを身に深く刻み込む。身体性や痛みを通じてでしか、生の実感をえられず、死や暴力的なものを渇望する。『蛇にピアス』は、若さ特有の毒で溢れている。頭で考えながら読む小説というよりかは、考えずに身体で感じる小説だ。 -
芥川賞を受賞されたとき、同時受賞の綿矢りささんとあまりにも対照的でそれが印象的だった。内容は過激だった(自分には知らない世界の内容だった気がする)。奥が深そうだった。
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行きつけの心療内科に置いてあった本です。
舌にピアスをしてスプリットタンにしたり、入墨を掘ったりと、自分の身体を傷つける様な女性主人公が、二人の男に抱かれながら進む本。
淡々と書かれた文章で、あまり気持ちの良い内容ではないです。 -
中三春、読了。
友達に勧められて読んでみると、意外と面白かったです。ページ数が少ないので、すぐ読めました!
映画ではどこまで映してるんだろう... -
え~~、、、舌を蛇やトカゲのように二股にする、、、わたしはピアス穴あけも嫌なのに、、、悲鳴をこらえながらの読み始めはつらかったが、スピードのある才能がキラキラしている巧な文章で、なかなかおもしろい、あっという間に読了、終わってみればSMの世界にとっぷり漬かっていたらしい。引きずり込まれてしまったというか、サディスティックにしろマゾヒズムしろ、文学的世界に身近な人生が関わってくるのかもしれない。金原ひとみさんの次作を読んでみたくなった。
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再読。こんなかんじだったっけ。
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読んでいる間は楽しみながら読んでいたが、読み終わると悲しく、胸がちくちく痛んだ。わたしももうすぐ成人という歳のため、自分とは全く違う境遇とはいえ、登場人物に少なからず自分と同じようなところを見つけ重ね合わせた。
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一時めっちゃ有名だったし、作者もテレビに出てたから気になってはいたけど、まさかこんな話だと思わなかった。笑笑
なんだろう。一言でいうと。
若者の惰性と性生活。であろうか。
笑笑!ピアス、酒、刺青、ギャル、パンク、歯。
芥川龍之介がいたら称賛するような本なんだろうな。いや、わからんが。芥川龍之介ってどんな本書いてたっけ?と思うくらいに、なんとも惰性の先の惰性のその上の惰性のようななんとも言えない脱力感。
それでも、一応犯人は?みたいなのも根底にあるから、そんな感じなのかなぁ。わからん。わたしにはわからんけど、なんか胃もたれのような読後感です。
泣けも笑いもスッキリもホッコリもしないで、ただひたすらなんとなく胃の奥がムカムカするようななんとも言えない感じ。読んで。読んだらわかるはず。
読書初心者でも読めるくらいに読みやすいし!でも、なんとも言えない読後なんだけどね。