- Amazon.co.jp ・本 (536ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087752120
作品紹介・あらすじ
オマエハヒトヲフコウニスル。その呪われた言葉から逃れられない…。NYと広大なアリゾナを舞台に繰り広げる自由と哀しみの物語。
感想・レビュー・書評
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読んでいるあいだ、真冬(マフィ)が常にわたしのなかにいた。
真冬のいる世界に、わたしもいるような気がしていた。
わるいことが起こって、
ひとつでも心が壊れそうになっているのに
続けて起こることがある。
続けばどう立ち上がればいいのかすら忘れかける。
そんなとき糧になる存在(ものでもひとでも)の有無は
明日の朝日の明るさを確実に変える。
真冬はもちろんひとりで立ち上がったのではないけれど
とても立派だ。
・・・・・・最後まで本当に立派だった。
「くたびれた?」と真冬がまだ小さいティムに訊くと
ティムは「くたびれた」の意味がわからなかった。
真冬が説明すると、ティムは真冬の額に自分の額をつける。
何してるのと訊く真冬に「元気わけてんの」というティム。
そのくだりがとても好きだ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ニューヨークにいる日本人真冬の話。日本人でありながらアメリカ育ちのアイデンティティでの苦しみ、母からの呪いの言葉に囚われていた彼女がなんとか生きていこうとする。同じく白人とナバホのアイデンティティに苦しんできた人等と心を通わせる。幸せに育った人には、そうでない人のことは、どんなに愛していても、どうやっても理解できない、精一杯想像するだけだ。個人的に馴染みあるアメリカが舞台であることもあり、とても面白かった。
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分厚い割には読み易かった。でもちょっと各登場人物が”人種のステレオタイプ典型例”っぽ過ぎたかなあ…。あと最後の方のあの家族のあの方向性には「あそこまで行くかなあ?」とちょっと疑問。
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これくらいの重みのある物語は大好物。
やっぱり村山さんはいいなぁ、そんでもって
情景描写が素晴らしい、この方が書いた場所は行きたくなってしまう。
後半から真冬の葛藤とネイティブアメリカンと白人のハーフのブルースの
少しずつ共感し、心を通わせていく感じもせつなくていいし
ティムとの3人でいる微笑ましい関係も心温まる。
悲しい別れもあったけど、ラストもよかったし大満足の一冊でした。 -
私としてはあまり納得がいかない。ひとつ言えるのは、書き手と主人公が「オンナ」だったなあ、ということ。こういう人は、ホントにリアルにいる。
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かなり前にイイという評判は耳にしていたが‥スッゴく平たく感じたのは真冬の成長記。良くも悪しくも。最近村山由佳を続けて読み過ぎたかなぁ。つまらなくは無いんだけどスラスラページが進む程には面白く無かった。ちょっと離れようかな‥
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人種差別(主にインディアン)をテーマに壮大なスケールで描き上げた長編大作。ニューヨークからアリゾナまでアメリカ大陸を横断。度重なる不幸を背負いながらも、成長していく日本人女性。ナヴァホ・インディアンの伝統や言い伝えなど、とても興味深かった。生きるとは…、幸せとは…、そして、愛とは…、読後感はすっきり。
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『天使の卵』で有名な著者の作品。とてもボリュームがありますが、けっこう一気読み。
アリゾナが舞台のある日本人女性と彼女の恋人・その家族の話。この作品を読んでアメリカインディアンやインディアンジュエリーに興味を持ちました。
哀しくてでも自由な作品。忘れられない1冊です。