- Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087814705
作品紹介・あらすじ
チベットのツアンポー峡谷に挑んだ探険家たちの旅を追い、筆者も谷を踏破。もう一度訪れたいと再び挑むが、想定外の出来事の連続に旅は脱出行と化す。第8回開高健ノンフィクション賞受賞作。
感想・レビュー・書評
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チベットにある外国人が誰もできていない峡谷に単独で挑んだ話。
峡谷のそれまでの歴史がかなり詳しく説明された上で、作者の単独行の話が始まるのでかなり緊張感があった。また文章がかなりかっちりしていることもあり、緊迫感がすごく伝わった。
思った通りに事が進まず大変な状況になっていくんだけど、行き当たりばったりで現地に行っているのでふと振り返るとかなり無茶苦茶なことをしていたのだと感じた詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
エベレストが世界最大の凸デコだとしたら、こちらは最大の凹ボコ…!!
百年間乾くことを知らないベシャベシャの大地は人どころか草木さえも拒み、長い間誰の目にも触れずにそこにあり続ける。
ロマン…!! -
なぜ冒険の旅に出るのか。角幡氏は自問する。こんな死ぬ思いをしにわざわざ旅に出るのか?
それは死ぬかもしれないという瞬間を体験することで、生きている意味を感じられるからと、角幡氏は書いている。生と死のギリギリの淵に立つことで生きている実感を得られるからと。
この漫然としたダラダラと続く日常に、死ぬかもしれないという体験はそうはない。
だから冒険に出る。厳しい自然環境に身を置き、生に挑む。そういう生き方に憧れを抱くのは、私もダラダラとした毎日を過ごしているからなのだろうか。 -
なぜ命をかけてまで冒険するのか。
冒険家は言う、死ぬような思いをしない冒険は面白くないし、死ぬかもしれないと思わない冒険に意味はない。
ああこれは死ぬ。と思える瞬間は、確かに生きていて、生を、命があることを最も実感できるひととき。それを求めて冒険家は困難に挑むのか、と納得させられた本。
久々に読みながらドキドキし、命が脅かされてない自分の状況に感謝したくなりました。
いかに生きるか、困難な状況での判断をいかにするか(途中から目標が踏破ではなく生還に変わる)、選択についても考えるヒントを貰えたノンフィクション。面白かった! -
先日読んだ「極夜行」は本物の夜と太陽に逢う為のグリーンランド行の作品だったけど、更に遡っての著作を読みたくなりました。やはりこちらの方が凄く響いた!下見のあと本番としての2回目のチベット行きの紀行本だが迫真の描写と言い膨大な資料から引用した秘境に纏わる話題と言い興味深く読んだ。冒険家探検家の皆さんの心情はなかなか理解出来ないけど、本当の人生 本当の生き方を求めて止まないようですねぇ♪
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ツアンポー渓谷。チベット高原を横断しインドへ流れ込むツアンポー川(ヤル・ツアンポー、ツアンポーの方が「川」って意味なのだが)がヒマラヤ山脈東端で折れ曲がる屈曲部の渓谷。19世紀までは、そもそもツアンポー川の下流がどこにつながっているかも諸説あり、大滝伝説がある、ほとんど人跡未踏の地であった。「空白の5マイル」とは、1924年にツアンポー渓谷を踏破したフランク・キングドン=ウォードが探検できなった最後の秘境をさす。
著者は早大探検部OB。空白の5マイルとは言っても、1990年代にはあらかた探検されて、大滝伝説もほぼ決着がついていた。また秘境と言っても、元々けっこう近所にまで人が住んでいる。それでもわずかに残された秘境に挑む。いわば遅れてきた探険家であるが故に、「何でそこまでするの?」という問いが否応なく浮かび上がる。装備が不十分だったり、中国政府の許可がなかったり、結構ムチャな単独行。そのムチャに、臨場感というか読み応えがある。個人的にこういうのには弱い。しかし、生きて帰れて本当に良かったですね。
1993年の日本人カヌーイスト遭難の挿話など、ツアンポー渓谷探検史も。 -
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「冒険」とはなんだろう?!同じ挑戦はできないだろうし、したいとも思わない。
ただし、世界にはこんな場所もあるんだとか、人の価値観や人生観にこれほどまでにギャップがあるんだと、まざまざと思い知らされる作品だった。武井さんの話然り、角幡さんの体験にも驚くばかりだ。 -
非常に読み応えのある作品。初めてこの著者の作品を読んだが他も読みたいと思います。