メランコリア 下 (ヤングジャンプコミックス)

著者 :
  • 集英社
4.53
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本棚登録 : 188
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784088912417

作品紹介・あらすじ

ストーリーギミックマイスター・道満晴明の描くメランコリックスオムニバスついに完結! 彗星・メランコリアの地球衝突まであと少し。喜びと哀しみの中で、人々はどんな週末を迎えるのか――…。憂いは時に喜びとなり、幸せは時に憂いへ変化し、無秩序の中で生まれる「憂鬱」が最高に甘美な感覚を目覚めさせる!! ※このマンガを読みだすと、ループして続み続けてしまうのでお気をつけください。

感想・レビュー・書評

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  • それぞれのストーリーが収束し、一本化したときに、気持ちよくて、美しくて、ぼろっぼろ泣ける稀有な短編集。
    漫画好きを自称する全人類に読んでいただきたい。

  • 複雑に軽やかに円環を成す構成が秀逸。下巻まで通して読んで、始めて全体が見渡せるけれど、まだまだ張り巡らされた伏線を理解し切れていない気がする。裏表紙に書いてあるように、ループして、また上巻から読み直したくなる。

  • お見事

  • ピタゴラ◯イッチか、なるほど……。パンケーキは焼けたんだろうか。
    葛飾応為の話が面白かったです。

  • ある日10年引きこもってた部屋からベランダに出たら、まさに世界が終わろうとしてる、というストーリーから始まる連作短編。こちらの人があちらに、こちらの仕掛けがあちらに、というのを探す楽しみもあるけれど。数多あるもし世界が終わるとしたらストーリーの中にあっても、飄々としているというか、めちゃくちゃなようで筋が通っているというか。

    最初に登場したサトミが猫を助けて死んだところから物語の輪は始まり、最後にサトミの空想の中で地球は救われ、その過程で地球を愛する仲間を失った宇宙からやってきた猫が、今度はサトミに挨拶してからはねられるという輪の閉じかた。その間に、サトミの姉は、自分の体を売った母を殺し、妹を救うことを願い、それを殺し屋に依頼してから死に。その殺し屋はアイドルのマネージャーで、サトミが昏睡している様を見守り。殺し屋がついてるマネージャーは、恋愛依存の女子高生が憧れている読モの早坂先輩で。早坂先輩が誘拐されたときに、自分のミスで逆探知に失敗して失踪した元警察官は、死期が近い少女と登山することで彼女の精神を救い、自殺しようとしてた女の子を説得したことでのちに、地球を救うヒーローを手助けし。天才チェス少年は、クラスメイトの神原少年にいじめられるが、彼が天才少年を好きなことをクラスの三分の一は気づいており、彼は女装男子となり、それをあたたかく見守る宮原君の友情は篤く、また神原君とお参りした少年は、同級生の女子に内臓を抜かれるも、のちに地球を救うヒーロー「キッドナップ」になる。治験のバイトに申し込んだ青年は、そのバイトが吸血鬼の企みと知るが、追い込みをかけられていたチンピラを始末してくれたことで感謝の念を抱き、のちに少年と暮らし、シェルターにいくも結局は引き返し、地球の滅亡を、治験のバイトに引き込んだ吸血鬼が砂に還る様と共に眺めることに。死んだ作家に軟禁されたメイドは、人気シリーズを書き上げる人気作家となり、その挿絵作家やそれを読んだ女子高生の人生に影響を与え。悪いツチノコと良いツチノコが世界の連環を競い合い。地球を見守る地球外生物の猫は、地球に干渉せず、地球を救う任務が失敗するたびに時間を巻き戻し。「ドミノが倒れなきゃパンケーキは焼けない」の草野君の姉の、地球が滅亡するとき、その問いを最愛の人にして、その人が言ったことを叶える、それがパンダを見ることなら上野動物園にカチコミにかけ、月に行くことならソユーズを命がけでハイジャックするというセリフにグッとくる。連環が連環を重ねてぐるりと繋がって物語が閉じられる心地よさ。

  • シンプルに表現するなら、とんでもない
    道満先生のファンでなきゃ感じ取れない凄さがある、と言い切っちゃっても、他のファンから抗議は来ないと思う
    恥ずかしい事に、全ての作品を網羅している訳じゃないんですが、それでも、これまで読んで来た、道満先生の作品で、最も面白かったです
    これまでは、他の漫画読みに、道満先生の作品をお勧めする時は、『ぱらいぞ』だったんですが、これからは、この『メランコリア』にしよう、と思います
    あくまで、私個人は、ですが、この『メランコリア』は上下巻を一気に読んだ方が、面白さを噛み締められる、と言うか、多少は飲み込めると思います
    先程も書きましたけど、ほんと、道満イズムに触れた事がある人間でないと、この良さは感じ取れないかもしれません
    残酷な描写がある訳じゃないんですが、生理的にアウトな表現が皆無じゃないんで、道満イズムに毒されてない、幸福な人間が読んじゃうと、理性が崩壊する可能性もあったりなかったり
    そんな危ない作品を、未読の人間に勧める気か、と怒られそうですが、それを承知でお勧めしたくなるのが、漫画読みであり、道満信者
    どんな内容なのか、それを説明するのが難しいのも、この『メランコリア』の魅力です
    笑える、泣ける、イライラさせられる、ドキドキさせられる、深く考えさせられる、自分を大事にしたくなる、他人を信用する気持ちが揺らぐ、救いを得た錯覚がある、絶望に引きずり込まれる、綺麗に死にたくなる、みっともなくてもいいから生きていたくなる、と表現しても、やはり、未読の人間には、ピンと来ないんでしょうねぇ
    この『メランコリア』でしか通用しない表現をしても構わないのであれば、ルーブ・ゴールドバーグ装置的である・・・ぬっ、今、この『メランコリア』のファンから、そのまんまじゃねぇか、とツッコまれた気がする
    この『メランコリア』が未読で、道満先生の作品を読んだ事が無い人間でも、『外天楼』(石黒正数)、もしくは、『金剛寺さんは面倒臭い』(とよ田みのる)が好きな人なら、ある程度は、面白い、と感じる事が出来るはずだ・・・と信じたい
    改めて言うが、道満清明って漫画家は、凄い
    さすがに、藤田和日郎先生や羽海野チカ先生たちには勝てないにしろ、江口夏実先生や十五夜先生と、同じステージに立てる漫画家だ
    (上)でのお気に入りは、Flgure.8「Handspinner・・・・・・・・・[ハンドスピナー]」
    ざっくり言うと、人は他人を救えないし、起きた事は変えられない、って身も蓋も無く、にべもなく、手の打ちようがない、しょっぱい話
    (下)でのお気に入りは、Flgure.15「Oui・・・・・・・・・[応為]」
    いつの時代でも、男らの心を支えるのは、攻めた「エロい」であり、いつの時代にも、「エロい」を過剰に取り締まる存在がいやがるってこと
    この台詞を引用に選んだのは、グッと来たので
    読んでない人間からしたら、私が異常者のように感じるだろう、きっと
    道満先生のファンにしても、同意かつ共感してくれるのも全員じゃないかも
    けど、周りはどうであれ、私が、この台詞に、道満先生らしさを感じたのが事実だ
    実際にやられたくはないのに、これくらい愛されたい、と思う自分もいる
    好きな人の外見だけじゃなく、中身も好きってのは、これくらいやってから言っていい言葉なのかもしれない
    「あなたに言われる筋合いはないわ。河瀬くんは、可愛い。どうしても、告白する勇気がないのなら、せめて、好きな人の臓器を手元に置いておくくらい、いいでしょ?」(by生徒会長 上巻 Flgure.9『Internal organs [内臓]』より)

  • メランコリア(彗星)が地球に衝突する世界を描いた作品です。

    たくさんのキャラクターがそれぞれ目的を持ちながら滅びてゆこうとしている世界で同じ時間を過ごしているのがとても魅力的です。
    この作品を気に入った方はぜひ同じ作者の方が描かれたヴォイニッチホテルを手に取ることをお勧めします。

  • 4.6

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