Shrink~精神科医ヨワイ~ 4 (ヤングジャンプコミックス)

著者 :
  • 集英社
4.50
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本棚登録 : 310
感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784088917962

作品紹介・あらすじ

被災者の「心」の復興を。
度重なるパニック発作や不眠の症状で苦しむ青年・冬室涼。彼の出身地は、福島県相馬市だった。歳月を経ても、3・11──東日本大震災の傷は癒えぬまま、彼の心を侵食し続けていた。他者と分かち合えないトラウマからの回復を描く震災PTSD編、感動の完結!!
さらに、奔放な異性関係や自傷行為で周囲を翻弄するバー店員を描くパーソナリティー障害編、開幕──!!

感想・レビュー・書評

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  • 「PTSD」と「パーソナリティー障害」がテーマ。
    同時に弱井先生の過去も少しずつ明かされる。
    精神科医として、一個人として、心の問題と向き合う姿が印象的。どんな過去があり、そこから彼はどう進んだのか、個人としてのDr.弱井に関心が強くなる。コミックは読書には入らない、と、時々耳にするけれど、いやいや、個人的には、全く違いますよ、と言いたい。特に、これは、ね。
    精神を病んだことのある人間ならわかると思うが、その只中にある時、長々とした文字などはとても追えないもの。パラパラとめくれるような何か、優しい絵なら、少しの間はみていられる。
    説教もごめん、解説もごめん、、そんな中、これはバイブル的な癒しであり、支えだ。一度、わずらったなら、二度、三度はよくある。かくいう自身がそうだ。だからこそ、自分の取り扱い説明書は必要。元には戻らない以上、うまく自分とつきあっていくしかないのだ。そして、時間とともに扱いになれ、自分を愛せるように、なる。必ず。容易くではないけれど。。苦しみぬく私にも貴方にも送る、優しい指南書。きっと、永く寄り添ってくれるだろう。

  • 3巻から続くPTSD編は東日本大震災の被災者・冬室涼がトラウマと向き合っていく物語。PTSDという言葉は聞いたことがあっても、実際の症状や治療のことは知らなかったので勉強になった。EMDRなんて説明されてもオカルト?って最初は思っちゃうかも(笑) 実際にエビデンスがあって、痛みもない安全な治療だからすごいよね。

    そういう専門的な治療も、安全で安心な空間を作ってこそ効果が出る。弱井先生の患者へと寄り添う言葉はぼくの心にも響いてくる。
    「理解できたからといって 心が平気なわけではありませんよ」
    ぼくは全般性不安障害があって、不安になるたびに病気を調べたり、心理学や医学系の本を読んだりしてきた。自分の病気を理解はしているつもりだけど、それで心が平気になるわけじゃないんだよね。ここを共感して言葉をかけてくれる弱井先生が素敵だなと。
    「…今まで 本当によく耐えてきましたね…」
    ボロボロな自分を認めてくれる弱井先生たちの一言にどれほど癒されたか。読みながら自分の心も洗い流されていくようだった。

    今回は実際に相馬市の精神医療に携わっている蟻塚先生や須藤先生が実名で登場し、弱井先生と意見を交わしてくれる。現地で行われているアウトリーチ事業は精神医療を身近にする画期的な取り組みだなと。災害時はもちろん、平時であってもこうした取り組みで治療が必要な人を救えるようになったらいいのにね。

    新章のパーソナリティー障害編もかなり読み応えがある話になりそうで楽しみ。精神科医は患者にとっての灯台。道を進むためには大切な存在だけど、病気と向き合っていく主人公はあくまで患者自身。風花は変わることができるのか。

  • 2階マンガコーナー : WM075/NAN/4 : https://opac.lib.kagawa-u.ac.jp/opac/search?barcode=3410167612

  • 3.11によってPTSDを抱える患者がメイン。
    対話の力。人との交流が人を癒す。福島モデル。

  • 星10!

    当事者の人、ご家族、医療関係者、そして多くの人に読んでいただきたい。病気への理解が広がりますように。

  • 493.7/ナ/4

  • 安全で安心できると感じた場所で記憶を語ることによって初めて、トラウマは過去のものになる

    記憶の整理は思い出を「忘れる」ために行うのではありません。自分の意思で自由に記憶を思い出したり、しまったりできる力を手に入れるためにやるんです。

  • こんなクリニックあったら通いたい。
    ほとんどカウンセリングの領域ってくらい長く話を聞いてくれる。弱井先生がとにかく素敵で、読んでいるだけで癒し効果がある。
    4巻は特に深くて読みごたえがあった。
    「過去は変えられないよ」「過去ばかり見ていても何も変わらないよ」とよく言われるけれど、今とこれからを生きるために、過去と向き合う作業が必要なこともあるんだよ。ということを描いてくれている。
    次のパーソナリティ障害編の女性もなかなかこじらせていそうで、弱井先生がどんなふうに寄り添っていくのか興味深い。

  • この巻のPTSDは福島県相馬市出身の東日本大震災の被害者だった。県内に住んでいる私だからなのか、とても身近に感じた。4巻目にして気づいたが、ひとつの〇〇編が巻をまたいでいるってこと。できれば1冊でこの巻はPTSD編という形の方が私は好きだ。

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著者プロフィール

5月14日生まれ。岩手県出身。
2000年に「別冊ヤングマガジン」にてデビュー。その後「モーニング・ツー」にて『彼女とカメラと彼女の季節』を連載。現在「ハツキス」にて『バツコイ』、「月刊!スピリッツ」(小学館)にて『最果てにサーカス』連載中。

「2015年 『つるつるとザラザラの間(4)<完>』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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