トーマの心臓1 萩尾望都Perfect Selection 1 (フラワーコミックススペシャル)
- 小学館 (2007年7月26日発売)
- Amazon.co.jp ・マンガ (326ページ)
- / ISBN・EAN: 9784091311191
作品紹介・あらすじ
冬の終わりのその朝、1人の少年が死んだ。トーマ・ヴェルナー。そして、ユーリに残された1通の手紙。「これがぼくの愛、これがぼくの心臓の音」。信仰の暗い淵でもがくユーリ、父とユーリへの想いを秘めるオスカー、トーマに生き写しの転入生エーリク……。透明な季節を過ごすギムナジウムの少年たちに投げかけられた愛と試練と恩籠。今もなお光彩を放ち続ける萩尾望都初期の大傑作。
感想・レビュー・書評
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冬になるといつも手に取る。
恋には遠く、友情では狂おしすぎる。
性別無き時代って確かにあった気がする。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
天使のような子、トーマが自殺した。彼に愛を告白されていたユーリは、トーマからの遺書によって自分の中の問題と向き合わざるを得なくなる。そんな折、トーマそっくりの顔をした活発な少年、エーリクが転入してくる。トーマのこと、自分の問題に対して向き合いたくないユーリは、思いがけぬエーリクの登場によってさらに心掻き乱される。
とりあえず、「オスカー!!!!!!」ってなりました。オスカーが良い子過ぎて胸が痛い。ああいうもどかしいキャラクターが大好きで仕方ありません。
実は、『風と木の詩』の救済(?)として『トーマの心臓』を知ったのですが、なるほど、これはラストに少し明るいものが待っていそうです。よかった……。
それにしても、メインはたぶんユーリとエーリク(トーマも?)なんでしょうけど、脇役であるはずのオスカーがすっごく作りこまれているというか、なんだろう……むしろオスカーがいることで、より魅力UPにつながっている印象があります。オスカーが主人公だったら、こうはいかないのかなあ、とも。
タイトルもすごいですよね。『トーマの心臓』ですよ? わたし、内容を最近まで知らなかったもんですから、ずっと医療漫画とかそういう系なのかと思ってました。アホみたいですね。でも、最初っから突っ走るポエミーな文章や、トーマの遺書から察するに、やっぱ「愛」のひとつの形を指すんですかね。どうなんだろ。
ユーリもすごい子だなあ、って感心しました。昔の古傷さえなければ、少女漫画のヒーローみたいなやつじゃないですか! ううむ、綺麗なものを汚そうとする奴が、話の展開上必要なのは承知ですが、許せない気持ちが抑えられませんね……。 -
僕が大好きな作家さんが、大好きな作品。
僕が多大な影響を受けた作家さんが、多大な影響を受けた作家さん。 -
愛情と呼ぶには幼くて
友情と呼ぶには狂おしい
性のない愛
もうきっと二度と手にすることはないでしょう -
【経緯】
ぺりこさんオススメ
【書き出し】
ぼくはほぼ半年のあいだ
ずっと考え続けていた
ぼくの生と死と
それからひとりの友人について
【感想】
男でも女でもない「少年期」。
女も「少年期」を持ちうるのだと思っている。「っポイ!」のなるちゃんとかね。そして「少女期」なるものもしかりなんだろうな。純粋な目で見た「マリアさまが見てる」ですね。
【引用】
ぼくは成熟しただけの子どもだということはじゅうぶん 分かっているし
だからこそ
この「少年の時」としての愛が
なにか透明なものへ向かって
(性もなく正体も分からない)
…投げ出されるのだということも
知っている -
透明で美しい物語。
通して一編の詩のような世界。
これがぼくの愛
これがぼくの心臓の音 -
青春と人間愛。
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最初のページを見た瞬間から、これはヤバいと思った。
絵の古さなんて問題なかった。
この本の伝えようとする愛は、
キャラクターたちの伝えようとする色々な思いは時代を感じさせない。
むしろ、そんな古さが世界観の一部になっている。 -
たしかに名著。
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箔押し