AWAY-アウェイ- (1) (フラワーコミックス)

著者 :
  • 小学館
4.05
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本棚登録 : 310
感想 : 29
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (194ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784091670571

作品紹介・あらすじ

萩尾望都ならでは!本格SFストーリー始動

2033年3月末のある朝、中学生・一紀(かずき)と子どもたちは、周囲の大人が消えてしまったことに気づく。子どもだけの世界となり、予想もできない日々が始まるが…?衝撃の本格SFストーリー!
小松左京の短編「お召し」にアイディアを得て、萩尾望都が広く深く世界を描く意欲作です。

感想・レビュー・書評

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  • 読み終えて、「ひゃ~っ!」と叫びそうになってしまった。
    2033年、町中から大人が消えた。突然、18歳を境に世界が分断されてしまう。小松左京の「お召し」が原案とのことだが、勿論、しっかり、萩尾望都ワールド!読む前はイラストの印象からカラッと明るいSFなのかと勝手に思っていたが…あまりのリアルさと怖さに鳥肌が立った。
    何の前触れもなく18歳未満の子供たちだけ取り残されたら!?暮らしは維持できるの?赤ん坊の世話は?防災は?犯罪は?押し寄せてくる様々な疑問。そんな一つ一つの問題を、混乱しながらも乗り越えようとする子供たち。だけど、大人のモラルが存在しない中、それをいいことに誤った方向に走ろうとする者もいる。ショッキングな場面もあるけれど、SFという形を取りながらも、ストーリーがこんなに臨場感たっぷりに迫ってくるのは、あの大震災を彷彿とさせるから。「2011年の震災以来時々悪夢を見ている。」と仰る萩尾さん。その悪夢が形を変えて描かれているのだろうか。そして、ある程度子供たちが自立して動けている背景には、自分の身は自分で守るという「安全教育」がされていること(青年防災団がしっかりと組織されている)、16歳から運転免許が取得可になっているという設定がある。(非常時、車が使えないとどうにもならないものね。)この部分はフィクションといえど…ストーリーではちょこっとしか触れていないが、そこに至るまでに色々大きな出来事があったのだろうということが窺える。その「大きな出来事」がもし本当に起こったらと思っただけでもぞっとする。
    様々な不安が渦巻く中、頼もしいのはヒロインの中学生、一紀。物怖じしないストレートさをしっかり者の従兄・大介にたしなめられることもしょっちゅうだが、困っている人を見たら助けずにいられない、その真っ直ぐさに救われます。
    どこまで理解してくれるかわからないけど、一紀と同世代である中学生の娘にも読ませようかと思う。(私が萩尾デビューしたのも中学生だったし!)一読しただけでは頭がパニックになるけど、読み返すほどに作品の完成度の高さが実感できる。本当に萩尾さん、すごいなぁ!続きが気になって気になって仕方がない。巻末の萩尾さんによる謝辞の終わり「よかったらこれを読んだ皆さんも、この設定環境でどうやって人は生き残れるのか、考えてみてください。平穏な日常を維持していくのは実は大変なことだなあと、つくづくと思います。」との言葉が深く深く沁みる。是非とも幅広い世代に読んでもらいたい。そして、非現実の物語ではなく、現実問題として捉えてみて欲しいと思う。

  • 【デザイナーメモ】メインイラストは連載前の予告カットで、後の連載時とはキャラクターのビジュアルが違っているが、鮮烈なイメージが印象深い。萩尾先生との打ち合わせのさい、イラストのコピーを見ながら「このポーズはAwayの『A』ですか?」ときいたところ、そういう意図はない、とのお答えだったが、その考えを気に入ってくださった先生がその場でコピーの上に鉛筆で「A」を描いた。それがこのカバーのもとになった。

    白地を大きくとってマットPP貼り。絵の存在感が強いので下手に弱い色を置くと画面に混ざってしまい、イラストをかえって汚してしまう。そのため題字はToka Viva DX190 + マゼンタ20%のケミカルなピンクとしている。

    この仕事に先立って連載時のカラートビラを担当していたときから「強い色しか置けない」という印象が強く、黄色や寒色を多用されるので打ち合わせ時に「いつもピンクと赤を残して描いてるんですか?」と聞いてみたが、特にそういう意図はないとのことだった。そのときどきの好みということらしい。(カバー、表紙、帯、総扉、目次その他を担当)

  • 1

  • 萩尾望都の最新連載!コミックス出たら買おうと楽しみにしてたのに2か月忘れてた・・・

    原案は小松左京の「お召し」という短編だそうで、ある日突然、大人が消えてしまい残された子供たち(18歳未満)だけの世界のお話。

    世界規模の漂流教室というか、個人的には昔キンキキッズがやってたドラマ「未満都市」(これは二十歳になると死んじゃうウイルスが蔓延した都市で子供たちだけになる話)を思い出しました。

    つまり設定自体は一見斬新なようで実はそんなに目新しさなく、それが異世界にせよ無人島にせよ閉鎖された都市や村にせよ、子供たちだけになってしまった世界で彼らがどうするか、という話は結構たくさんあります。

    つまり設定そのものより、そのとき彼らはどうするか、という、その描き方自体がキモになるのでしょう。そしてそこは萩尾望都、文句なく面白い!

    そして類似設定の他作品とちょっと違う点は、大人が消えて子供だけが残された世界とは別に、子供が消えてしまった大人だけの世界、が並行して存在していること。18歳になったら子供は死ぬのではなく大人のいる側の世界(ホーム)に移行し、大人の側の世界で生まれた赤ん坊は子供たちだけの世界(アウェイ)に移行してしまうという、この二つの世界を行き来できるという設定が今後どう生かされてくるのかが楽しみです。

  • 最初の頁から物語の導入がピークで一瞬乱丁?かと思った


    原作は小松左京の「お召し」だとか
    読んでみたい

  • ロボットアニメとか児童小説とかでは、何らかの理由で大人がいないか極端に少なくなり、子どもたちだけの力で難局を乗り越える、という筋立てはよく見かけるのだけれど
    その子どもたち、大概は幼くても3~4歳で、言葉は通じるし自力で食事も排泄も出来て(まあトイレの場面はないんだけどさ)、赤ちゃんとか病児への対応は考慮せずに物語は進んでいった
    この作品でも、設定を近未来にすることで、エネルギーインフラが人間の手を経なくても途絶えなかったり、中高生が運転や消火活動が出来たりと、ファンタジックな側面はあるのだけれど
    実際に、今この現代地球でそんなことが起こったら、とリアルに想像できてしまうところが怖い
    殺人と赤ちゃん死亡はショッキングだった
    HOME側の大人たちの立場は、怖すぎて想像のソの字もできない
    (2019-12-24L)

  • 小松左京の「お召し」に着想を得たパラレルワールドSF第1巻。満18才以下の子供しか居ない世界と大人しか居ない世界に分断されてしまった子供側のサバイバルと子供側から18歳を迎えて大人側に行った青年の謎解きと。子供の世界はパワフルだ。

  • 小松左京「お召し」を原案としたSF。舞台は東京大震災から10年後の2033年。ある日突然、世界から大人がいなくなった。そして、子供がいなくなったパラレルワールドの存在がわかり…。17歳以下の子供達だけの世界に起こる無秩序な事件。想像すると恐ろしい。あり得ないことがあり得なくないと思える、そんな萩尾望都の真骨頂に、わくわくしながら次巻へ続く。

  • 最初の20ページくらいは、やけに登場キャラが説明口調で自己紹介するので、「コレはハズレかな?」と思っていたけど、だんだんと状況が飲み込めていくにつれて、ハマっていってしまう。
    面白かった。

    萩尾望都先生のあとがきにもあった「子供だけの世界になったら?」を表現している点も高評価です。

  • これ読んでみたいー。
    (読めたらここは感想に書き換えます)

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著者プロフィール

漫画家。1976年『ポーの一族』『11人いる!』で小学館漫画賞、2006年『バルバラ異界』で日本SF大賞、2012年に少女漫画家として初の紫綬褒章、2017年朝日賞など受賞歴多数。

「2022年 『百億の昼と千億の夜 完全版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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