- Amazon.co.jp ・マンガ (266ページ)
- / ISBN・EAN: 9784091886859
作品紹介・あらすじ
松本大洋描く少年期作品の金字塔堂々完結!
星の子学園――親と離れて生きざるを得ない子供たち。親への思慕。親への反発。
新たな親の出現。その中で成長していく彼らの姿を、園の片隅で見つめてきたポンコツサニーだったが、やがて「別れ」の季節がやってきた。
渾身作、堂々完結!!
【編集担当からのおすすめ情報】
■夏休みに帰る場所を持たない春男と静。そんなとき、静が新たな「家族」を見つける。それは一匹のカエルだった…。(第31話)
■園のみんなで、楽しい遊園地。しかし、そこには、楽しすぎる景色や、楽しすぎる思い出がいっぱいだった。(第32話)
■中学校の社会科見学。行こうとしないエロケン。行かせようとするつとむ。そして、行かせてやりたいと思った人物が……いた。(第33話)
■園の子とウチの子……その間には、深くて広い川が横たわっている…?いや、飛び込んでみたら、意外と浅くて狭い川だった…??(第34話)
■園の「親」として日夜奮闘する足立。しかし、それはあまりに途方もなく、いつ果てるとも知れぬ戦いでもあった。(第35話)
■園を抜け出して、親の元に帰るんだ!! 春男はついに実力行使に出た。そして、その思いを知った静もまた…!!「おかえり。」その一言を耳にするため、子どもたちは家に向かって”全力疾走”していた!!(第36話)
■春男と静の脱走劇から月日が経ち…子どもたちに別れの日がやってくる。それはポンコツサニーが目に焼き付けた最後の景色でもあった…!!(最終話)
感想・レビュー・書評
-
読んでる間、ずっと微笑ましさと応援したい気持ちに包まれる。絵が美しい。
昭和世代は郷愁に満たされること必定。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
なかなかに考えさせられるところの漫画やった。
-
よし、僕も、前向いて、変化して、がんばろう。
-
やっぱり好きです。紙でほしい。
-
ヒラマツの一件で、せいとはるおはケンカしなかったんだろうか?余計な説明がない分、想像力がかきたてられる。
くみちゃん、いい存在。家があっても、居場所がない子もいるし。
とりあえず、はるおにあう居場所があってよかった。 -
最終巻こそちょっとハマりきれない思いを感じたけど、シリーズ通してじんわりと感動できる名作でした。松本大洋ではこの本がダントツで好き
-
2015-12-3
-
仕事上の必要があって、松本大洋の『Sunny』を一気読み。
いやー、これは素晴らしい作品だ。「松本大洋の最高傑作」と評する人も多いようだが、それもうなずける。
松本大洋の作品には強いクセ、アクがあって、それが苦手な人も多いと思う。私もじつは苦手で、優れたマンガ家であることは認めつつも、積極的に作品を追いかけてはこなかった。
しかしこの『Sunny』は、絵柄もストーリーも、これまでの作品でいちばんクセがない。「松本大洋が苦手なマンガ好き」にも、すんなり受け入れられると思う。
さりとて、「独創性が薄れた」ということではなく、松本にしか描けない作品なのである。鉄壁の個性は守りつつ、作品の間口が広がっている。
児童養護施設「星の子学園」を舞台にしたマンガである。
タイトルの『Sunny』とは、施設の庭に打ち捨てられた廃車の日産サニーのこと。子どもたちはときどきこのサニーの中に座って、自分だけの世界を作る。サニーは彼らの“聖域”なのである。
一話ごとに、施設の子どもやスタッフなど、1人のキャラに光が当てられる。
家庭の事情で親元を離れて暮らす子どもたちの心の揺れ動きが、すこぶるリアル。一人ひとりのキャラに血が通っている。「頭で作ったキャラ」という感じが皆無なのだ。
それもそのはずで、松本大洋は小学生時代の大半を児童養護施設で暮らしたのだという。自らの体験をベースにした自伝的作品なのである。
ハッと胸をつかれる哀切な場面が随所にあるものの、あざとい「泣かせ」はなく、静謐であたたかい印象の物語。
選びぬかれた言葉は時に詩のようであり、味わい深い絵柄は上質な絵本のようだ。
何より素晴らしいのは、わざとらしいセリフや言わずもがなの説明が一切なく、最小限のセリフと絵だけで心の動きを表現しきっていること。物語の「行間」は、読者がおのずと察するように作られている。絵がうまいのはもちろんだが、構成と演出がすごく巧みなのだ。
それに、物語の舞台が1970年代後半である(はっきり特定されてはいないが、出てくる歌や流行りモノからそう推察できる)ため、私自身の子ども時代と重なって、いっそう味わい深い。 -
子どもたちに声援を送りたい気持ちになりました。