- Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
- / ISBN・EAN: 9784091916167
作品紹介・あらすじ
愛と憎悪、複雑な人間の感情を描く感動巨編
感想・レビュー・書評
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6
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再読
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イアンとジェルミが・・・
この先どうなるんだろう? -
ようやくグレッグから解放されたはずなのに、どんどん堕落してゆくジェルミ。殺人の罪悪感なのか、それともサンドラのために耐えたはずがすべて無意味だったことへの絶望なのか。ナディア一家も病んでる感満載で不安が募る・・・
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踊るマージョリー
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いつになったら、みんな救われるの〜
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アメリカで男娼をしていたジェルミ。薬にも手を出し、とことんすさみ、落ちぶれています。
そんな彼をほおっておけず、ジェルミをイギリスのハムステッドに連れ帰ったイアン。
家族として、そして父親の犯した罪の償いとして、できるだけのケアをしていこうと、彼にカウンセリングを受けさせますが、彼の抱える闇はあまりに深く、なかなかうまくいきません。
個人カウンセリングから集団カウンセリングを受けたときに、ジェルミはナディアの妹の、マージョリーと出会います。
自殺癖があるけれど、天真爛漫の彼女の登場で、重苦しいストーリーが少し明るくなった気がしました。
ジェルミに対して、どう向かっていいのかわからないイアン。
お互いが、うまくわかり会えていないままに、ジェルミの挑発で身体を重ねてしまいます。
これが、傷を深めることになるのか、癒しへと繋がっていくのか。
わからずに、混乱し続ける二人の心理とともに、混沌とした話は進んでいきます。 -
グレッグ氏がやった罪を認めたイアンがジェルミをボストンの男娼街のアパートで見つけるところから、ハムステッドでも生活を改めないジェルミに怒り、犯してしまい、ハマってしまうところまで。
ジェルミは魔性だ。
自暴自棄になる人間に、なぜ人はあんなにも惹かれてしまうのだろう…。 -
母が再婚した男から性的虐待を受ける主人公。そして、その義理の兄。結局は主人公だけでなく、兄を含めた二人の成長の物語だったように思う。が、考えさせられる。もーさまの作品はいつもそうだ。読んだ時にもそれなりに受け止めているんだけど、時間がたってふいに自分の中に流れ込んでくるように「意味」がわかる。
なので、これもきっと10年ぐらい(<おい)して、ある朝ふいに「あああ」って思うのだろう。
解説の中で「トーマの心臓」になぞらえてるものがあった。それも複数。でも私は「訪問者」を考えていた。雪の上をたどって神様が罰を与えにくる。そのモチーフが頭の中をぐるぐるしていた。
罪、罰、犠牲、人はどうして、そんなものを必要としてしまうのだろうか?
そして物語は、真のカタルシスもなく終る。そして、そのことこそが萩尾望都の言わんとするところを示しているのではないだろうか。つまり、痛みは消え失せることはないから、人はそれを抱えて生きていかなければならないと。
萩尾望都が読める今、生きててよかった。 -
「あんたにはやれないだろ…ぼくのとこまで堕ちてこれないだろ!」
うわああああー…震える。ジェルミに引きずり込まれるように、イアンも崩れていくのか。
ジェルミを助けたいのに、彼の闇が大きすぎてどうしたらいいかわからず、読みながらわたしもイアンとともに苦悩している。