迷子のアリたち (SUPER!YA)

  • 小学館
4.00
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本棚登録 : 114
感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784092905658

作品紹介・あらすじ

とんでもない事件を巻き起こし、家出して来た少年サムが、転がり込んだアパートは、これまたとんでもない人たちが暮らしていた。そこで出会った小さな少女ボーとのふれあいの中で、サムは、大切なものを思い出す。心にジーンと響く友情と家族の物語。ブックトラスト・ティーンエイジ賞、カーネギー賞候補作品。

感想・レビュー・書評

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  • いつかしたこと、いまのわたし

    繋がっていて、断ち切ろうとしても、消えようとしても、いるんだよ。私がいるからいつかの過ちもいるんだよ。逃げるのもひとつの選択肢だけど、いつかは、あの日のわたしと、向き合わなきゃね。
    精算できるかなあ。
    きっとできる。コロニーはきっと繋がっているから。

  • 子供は、成長していくわね

  • 自分を消したいという思いでウェールズの田舎からロンドンへ家出してきた17歳の少年。なぜ彼がそれまでの自分を消したいと思ったのかは、最後のほうで明らかになる。それで、住むことになったアパートのそれぞれにちょっと変わった住人たちとの交流というか、出来事というか(母親に放置され気味の10歳の女の子ボヘミアがすっごく可愛い!)。
    いいなぁ、こういうの。おとぎ話的だけど、いい。希望があって心が浮き立つよね。
    でも、変わった僕を見てくれ、って言ったって、起きてしまったことを戻せはしないし、マックスの体が元通りになるわけでもないわけで、その辺どうなんだろう。そう簡単に許される(自分にも他人にも)ものだろうか、とは思った。
    「ヴァイオレットがぼくに残してくれたもの」よりはストレートで、書きたいことがしっかり伝わってきた。テーマがちょっと重めなので筆致は押さえ気味。 悩み多き中高生くらいに読んでほしいな。

  • 皆が一人のために、一人が皆のために

  • 田舎からロンドンへと家出をしてきた17歳の少年と、そこで出会った10歳の少女の友情を中心とした、ふたりが暮らすアパートの住人たちの物語。ちぐはぐで、少しいびつだけれど、あたたかい人間模様が描かれる。

  • 私たちはみな、アリの巣のアリなのだ。

    イギリスのYA作家ジェニー・ヴァレンタインの作品。彼女の作品は初めてだが、とてもよかった。この作家に出会えてよかった。小学館のsuper! YAシリーズのひとつだけど、表紙の絵も、いかにも海外YAで雰囲気に合っている。

    田舎からロンドンへ家出してきた17歳のサムと、依存症気味の母親と二人で家を転々とする10歳のボー(ボヘミア)が、交代に語る物語。サムがマックスに対してしたことは、決して許されるものではないだろうが、ひょっとするとあんな残酷なことを自分も出来るかもしれないと思うティーンエイジャーは多いだろう。学校にも通っていない、明らかに母親失格のチェリーを、ひたすらに愛しているボーの強さは、自分に備わっていると自信を持っていうのは難しい類の強さだ。スティーヴのアパートに偶然集まった人たちは、背景を詳しく書かれていない人も含めて、皆、弱い存在である。アリのように、絶対的上位の存在(たとえば人間)の気まぐれで、道を邪魔されたら、そのまま戸惑い迷い途方に暮れるしかない。けれど、勇気ある一人が立ち上がり、皆が続くことで、その集団は強いものへと変わっていける。

  • 17歳の家出少年と10歳の女の子との友情の物語というより、このふたりが住んでいるアパートの住人たちの物語として読んだ。社会からちょっとはみ出た人たちが集まって暮らすアパートは、家族のようである。
    原題は『The Ant Colony』(アリの巣)。敵対しない複数の巣の集まりをスーパーコロニーというそうだ。そんなコロニーがたくさんできればいいと思う。

  • 資料番号:020226106
    請求記号:933ヴ

  • 原題"The Ant Colony" 小学館のSUPER!YAシリーズ~17歳の家出少年サムは田舎からロンドンに出てきたが,スーパーのアルバイトをみつけアパートも格安物件をみつけて入居した。持ってきたのは数枚の着替えとマックスから貰った2冊のアリの生態に関する本で,人と係わりを持たずに自分を消してしまいと考えているが,おしっこ犬・ドアマットを飼っているおせっかいばあさんのイザベルがアパートの住人と引き合わせようとし,10歳の赤毛の女の子・ボヘミアがうるさくまとわりついてくる。停電をきっかけにサムとボヘミアは接近し,ボヘミアの母親・チェリーが男や酒やドラッグの問題を抱え娘を学校にも通わせていないことを知ると,サムも少しずつ自分の事を話さざるをえない。家出の理由をうるさく訊かれたサムがボヘミアを傷つける発言をして遠ざけるとボヘミアはアパートから姿を消してしまう。大家のスティーヴもチェリーとくっついたミックもボヘミアを心配するが,金を持たずに家出したボヘミアは帰宅せず,警察にも連絡できず,チェリーは憔悴している。家出の理由を訊かれたサムは,友達だったマックスにやらかした非道いことの数々を語り,マックスがポンコツをリペアした車を共有地で乗り回した挙げ句に衝突させてマックスが首を折って重傷を負った経緯を喋らざるを得なかった。家出したボヘミアがアリの本を持ち出し,その本の中にへそくりの200ポンドがあったことが判り,どこにでも行ける可能性に心配は増す。イザベルの滅多に鳴らない電話はサムの母親からの呼び出し音だった~最初は静かな立ち上がりで,サムの家出の理由を知りたかったが,だぶだぶのトレーナーに犬を抱えた赤毛の女の子がアクセントになっていて厭きさせない。少女の家出からは急展開。緩・緩・緩・急急急・・・ハッピーエンド! やっぱり幸せな結末が待っている方が良い。地球上の全てのアリを集めると,その重量は全人類の重量を上回る・・・というのは面白い。緻密な計算(構造)を持つ小説だった

  • ★★★★☆
    自分の居場所を見失った少年が、田舎からロンドンに家出する。
    この世界から消えてしまいたいと願った少年が住むようになったのは、変わった人たちが住む古いアパート。
    (まっきー)

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