- Amazon.co.jp ・本 (349ページ)
- / ISBN・EAN: 9784092905733
作品紹介・あらすじ
パティシエ少女のハードでおいしい物語
SUPER!YAシリーズの新作。『靴を売るシンデレラ』の作者ジョーン・バウアーの注目の作品です。前作品は、多くの都道府県の中学生の部の推薦本にも選定されるなど大好評でした。本書も、いろいろな問題を抱えるけれども、ひたむきに頑張る女の子が主人公のさわやかな感動作品です。アメリカの各書評誌でも絶賛されています。作者ジョーン・バウアーは、アメリカのニューベリー賞オナーを受賞している人気作家の一人です。
お菓子作りの大好きなフォスターは、毎日必ずケーキを焼くことにしています。なぜって、そうすれば、いつでもどこでもおいしいものが食べられるから。ある日、ママとといっしょに家を出て、新しい生活を送ることになります。フォスターを待ち受けているのは…・?
「学校では、いいところが全然ないおちこぼれでした。でも、料理をしているときは、世界に立ち向かえるっていう、そんな気になれたんです」と物語の中で語るフォスター。
持ち前の明るさで、フォスターは、自分の未来を切り開けるのか?
カップケーキのように甘くはないけど、心までとろけちゃうおいしい物語。
【編集担当からのおすすめ情報】
前の作品『靴を売るシンデレラ』の中でも、心に響く名言がたくさんありましたが、今作品も、何度読んでもぐぐっとくる言葉にあふれています。
「みんな、だれだって悲しい日はあるよね? 悲しい日だって人生の一部だもん。だから悲しい日もうれしい日も、せいいっぱいその一日にとり組めば、それでいいんだと思うな」
「大きな問題に立ち向かうときには、どこでもいいから、まずスタートすることが大事よ」
「きみらしくやればいいんだ。それが一番だよ」
特にティーンエージャーの読者は、この本に励まされること間違いありません。
感想・レビュー・書評
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ケーキのショーウィンドーみたいにワクワクする言葉がたくさん詰まってました。
フォスターとママは、エルビス・プレスリーのものまね芸人から逃げ出し、崖から落っこちかけながらも、小さな町に辿り着きました。
そこは寂れた町でしたが、フォスターのカップケーキが人々に元気づけていきます。
誰だって、毎日焼きたての美味しいカップケーキが食べられるなら、不幸のままでいられるわけないものね。
フォスターは識字障害を持っていて、学校や勉強に苦手意識を持っています。でも、まわりの人が少しずつ手助けしてくれて、やがて彼女のヒーローにファンレターを書くことが出来るまでに。
どの登場人物にも、自分はこんなところ持ってるよね…というデジャヴを感じる。
明日は少しなんかチャレンジしてみよう、この世は捨てたもんじゃないよねという読後感に包まれました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「ある人にとって、読むことはとても自然なことだ。でも別のある人は何倍も努力しないといけない。ものを学ぶのには、いろいろな道があるから、どの道が悪いということはない。悪いのは、ちがった方法をとる人を、まちがっていると言って非難することだ」
なぜ?どうして?とたずねられても、こたえられないこともある。なぜなら、自分でもわからないのだから。なぜ?と責めるのではなく、どうしてだろう?なぜなのだろう?と相手に対して想像を働かせたい。 -
フォスターはケーキ作りが得意な女の子。ママとふたり、ママの元彼ハックの暴力から逃れるためにやってきたカルペパーの町で、絶品カップケーキを武器に町のひとたちの胃袋をわしづかみにした。親切な人たちやドキュメンタリー映画監督をめざすチビのメイコン、気難しい元ハリウッド女優、そしてイケメンのランナーなどなど、個性的な登場人物が続々と登場します。一方、町が抱える問題や、ハックの黒い影、そしてフォスター自身の秘密など、ドキドキする要素もいっぱい。そのすべてが甘いカップケーキで解決するかも? 最後まで目が離せない物語です。
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大きな問題に立ち向かう時はまずスタートから
表紙が色とりどりのカップケーキでかわいらしい。
裏表紙にはバニラカップケーキのレシピ。
パティシエになるためにがんばる女の子の話だが、憧れやいいことばかりではない。
むしろ、困難に立ち向かう強さを引き出す物語だ。
主人公のフォスターはLD、文字が読めないし書けない。
しかし知能の発達が遅れているわけではない。
そのために学校という存在が好きではなく、また人にそれを知られるのを恐れている。
また、バカだといわれるのではないか、呆れられるのではないか、と。
その一方で、料理の腕は、特にカップケーキに関してはたいそう優れている。
人を「むむむ」と唸らせ、美味しい!といわれることが嬉しくてたまらない。
フォスター(とそのカップケーキ)は魅力的だ。
メンフィスからウエストヴァージニアへとやって来た母と子。
父はイラク戦争で亡くなった。
母のボーイフレンドはエルビスのモノマネで稼いでおり、暴力を振るう最低男。
行く手は困難だらけだ。
けれども、フォスターは「よいシェフなら、とんでもない取り合わせからでも、最高の食事を用意できるのだ」と結ぶ。
そう、人生はなかなか思い通りに行かない。
わかっている。
逃げ出したくなる時も、本当に逃げてしまうこともある。
逃げてばかりだと嘆きながらも未来を信じたい、夢を叶えたいとも思う。
本書はフォスターがアメリカンドリームを叶えるところまでは描かれていない。
そのずっと手前、歩き出そうとしているところで終わる。
物足りない、そう感じた。
だが、よく考えてみれば、「辛いこともあったけど今はこうして成功しています」まで必要だろうか?
いや、そうではない。
もしかしたら、夢を完璧に叶えられないかもしれないけれど、あのとき乗り越えたことが自分の支えになる、そんなメッセージの方が強いのではないか。
対象がヤングアダルト、10代であることを考えればそちらの方がしっくりくる。
なんといっても、『負けない』のだから。
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母の恋人が暴力をふるったことをきっかけに、町を逃げ出したフォスターとママ。
さまよう内、車が崖から落ちそうになっていたところを、ある夫婦のレッカー車に助けてもらい、その夫婦の庭のキャンピングカーに住まわせてもらうことに。
その町には、教会を売り地にする人や、住民を騙す形で建った刑務所、わがままな女優など、ちょっとした問題があり、暮らしていくうちにフォスターもその問題に関わることになります。
12歳の少女フォスターは難読症のため、これまで子供にも教師にも馬鹿にされ見放されています。
それでもお菓子作りが得意で、パティシエになることを夢見て、自分で作ったカップケーキをレストランに自分から売り込みに行くほど頑張っています。
体は小さいが映画作りを夢見る少年や、フォスターと同じく難読症だった女優と関わりつつ、これまで背を向けていた「字が読めない」という自分の問題と向き合っていくフォスター。
バウアーさんのローティーンが主人公の作品は初めて読みましたが、この方の描く女の子の清々しい強さと、思わず応援したくなる健気さは健在です。
DV問題も絡めつつ、暴力や困難に負けずに、胸を張って夢に向かっていくフォスターの姿には胸を打たれます。 -
「お菓子作りの大好きなフォスターは、毎日必ずケーキを焼くことにしています。なぜって、そうすれば、いつでもどこでもおいしいものが食べられるから。ある日、ママとといっしょに家を出て、新しい生活を送ることになります。フォスターを待ち受けているのは…・?
「学校では、いいところが全然ないおちこぼれでした。でも、料理をしているときは、世界に立ち向かえるっていう、そんな気になれたんです」と物語の中で語るフォスター。持ち前の明るさで、フォスターは、自分の未来を切り開けるのか?
カップケーキのように甘くはないけど、心までとろけちゃうおいしい物語。」 -
自分がティーンエンジャーの頃に戻った様に読めた。
あの頃って子どもと大人の間で色々と感じる時。
自分の事も懐かしく思いながら読めた一冊。 -
翻訳YAの魅力ぎっしり。
父の戦死、母の恋人の暴力からの逃避行、識字障がい。フォスターには悩みが尽きない。それでも彼女は毎日ケーキを作る。
ケーキ作りが彼女を支えて新しい世界へと導き、周りの人々にも一歩進む勇気を与える。 -
字が読めない、書けない。問題を抱えている少女フォスターが主人公です。
お父さんが戦争で死んでしまい、お母さんがモノマネ芸人のハックをボーイフレンドにしました。でも、ハックはお母さんが別れてほしいと言ったら襲ってきたのです。フォスターとお母さんは荷物を急いで詰めて車で逃げました。そして、車が崖のふちぎりぎりにとまって落ちそうだったのです。それを助けてくれたのが「おまかせレッカー車」のキティとレスターだったのです。そしてこれからが冒険の始まりです。
有名な女優のチャリーナさんに読み方を教えてもらったりします。
お母さんがお父さんの物が詰まった枕カバーを取りに行った時にドキドキしました。
元気が出るお話です!