マイク: MIKE (児童単行本)

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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784092906358

作品紹介・あらすじ

人生の岐路に立つ君に贈る「幸せのガイド」

元テニス選手の父の薫陶を受け、U-18王者を目指す15歳のフロイド。ある日の試合中、マイクという青年がコートに現れる。どうやらマイクは、他の人には見えないらしい。動揺するフロイドは両親と共に訪ねた精神科医と話をするうちにマイクの正体を知り、自分の心の奥底の「本当の気持ち」に気づいてしまう……。
英国ウィットブレッド賞受賞の児童文学作家が人生の岐路に立つ君に贈る、自分の心の奥底に触れ、人生の宝物を得るための「幸せへのガイド」。
『いま、ここで輝く。』『ルポ 教育虐待』などの著者で教育ジャーナリストの、おおたとしまささんによる解説も必読です。

【編集担当からのおすすめ情報】
自分にとっての本当の幸せってなんだろう?
自分が本当にやりたいことってなんだろう?

この子の本当の幸せってなんだろう?
この子が本当に好きなことってなんだろう?

人生の岐路に立つ若い人たち、そして子どもの親世代にぜひ手に取っていただきたい本です。
自分の心の声に耳を澄ませ、それに従うこと。世間の評価や、たとえ親の希望であっても、それに惑わされず「自分の本当の人生を生きる」幸せが描かれる物語です。

感想・レビュー・書評

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  • テニスのトーナメント中、コートに入ってきたマイクのために試合を中断しなくてはならなかった15歳のスター選手フロイド。だか駆け寄ってきた父親には、マイクの姿は見えなかった。精神科医のピンナー先生は、フロイドがマイクと「話す」ことで、この問題を解決しようと試みる。目標とする大きな大会が近づき焦るフロイドは、マイクが自分の一部分の投影で、彼が考えることさえ恐れている感情を代弁するために現れたと気づいていく。彼が恐れている考えとは、「彼(=自分)はあんまりテニスに興味がなかった」ことだった。

    テニスプレイヤーにとって心身ともに理想的な環境を用意する両親の元、なんの疑問も不満も抱かずにスタープレイヤーの道を駆け上ってきた少年が、真の気持ちに気づき、葛藤し、選択していく様子を描く物語。





    *******ここからはネタバレ*******

    これは珍しい、少年向けのスピリチュアル作品のように思えます。
    「アルケミスト」や「サラとソロモン」を思い起こしますが、これは、焦点が潜在意識よりもガイドなのでしょうか?
    マイクは初め、フロイドの投影として描かれていましたが、彼が勇気を持ってテニスを止めた後にも現れ、彼を導き続けているのなら、これはもう、ガイド役として考えるべきなのでしょう。

    マイクと出会い、彼の指示通りに生きるフロイドには、驚く成功体験が待っています。
    「これは真実の物語だ」と冒頭にはあるが、あとがきでは、物語自体はフィクションだが、マイクの存在は真実だと書かれている。要は、マイクという存在があって、作者にはその存在とコミュニケーションが取れて、そのメッセージに従うと人生が豊かになるということなのでしょう。
    作者も解説者も、自分のマイクに会ったことがあると言いますが、マイクの存在は否定しないものの、明確に意思疎通したことのない私には、どのくらい本当のことなのか判断ができません。
    ガイドを知っている人に聞いてみたいところです。


    両親の大きな期待の中、「自分の気持ち」以外に、それに従わない理由が見いだせないとき、それでもNOと言うためには大変な勇気を必要とします。それでも、自らの気持ちに気づいた以上、それに嘘をついて生きるほうが辛くなってくるフロイドの気持ちがひしひしと伝わります。
    良い親であればあるほど、子どもも期待に応えようとして、親も気持ちが良いですが、きちんと自分の気持ちにも向かい合わせてあげないと、進路変更する自由な気持ちも持たせてあげないといけないなと、親としても考えさせられました。


    文章は平易ですが、内容理解を考えると高学年以上向きです。

  • 何気なく手に取ったのに、思いがけずサイコセラピー小説のようでびっくり。(スピリチュアルに近い気もするけど。)

    主人公の名がフロイドなのも示唆的だけど、どちらかというとユングのシャドウのようでもあり。いろいろうまく行きすぎなのは否めないけど、主人公がぐだぐだ悩んだり、無用に秘密を隠したりしないで、主治医にも両親にも話すべきときはしっかり話して話がどんどん進んでいくので気持ちよく読めた。

    マイクが出始めたとき、最初に統合を果たす場面がよかったな。(そのあとまた出現するけど)

    無意識にこういう本を選んでしまうあたり、わたしにもマイクが出現しているのかも(笑)

  • 主人公にしか見えないマイクは、なぜ?
    何のために現れるのか?

    「マイクのことは本当だ。完全に、100%真実だ。そう言えるのは、僕がこの目で彼を見、彼の声を聞いたからだし、……。かれが現れたら、その言葉に注意して耳を傾けたほうがいいということも、僕はずいぶんな目に逢いながら学んだ」
    作者の後書きより。

    大円団な最後が心地良い。

    私も自分のマイクに会ってみたい。

    #中高生

  • とりあえず児童書であることを横に置いといて…カモメのジョナサンとかチーズはどこに消えた?とか十二番目の天使とか、この手のいわゆる「神の啓示」ものはちょっと肌に合わないのかもしれないな

  • 読みやすーい。
    解説がいいねー。

  • 特別なテニスの才能を持った主人公がもうひとりの自分(人格)との出会いによって、テニスをやめて本当の自分に出会う話。児童書分類ですが、YA向けかな。迷っている若者に読んでほしい。

  • テニスが得意なフロイドの前に、ある日突然、マイクが現れます。しかし、マイクは周りの人には見えません。しかも、テニスの試合の邪魔をしてきます。なぜマイクは現れたのでしょうか。本当の自分に会えるお話です。
    (YA担当/96line)令和3年2月の特集「外国文学のススメ」

  • 己の声に従えというメッセージと自分の幸せは自分が決めて良いということが伝わるお話でした。
    進路に悩む人、あなたのためを思ってを言ってしまう人に呼んでほしい作品です。
    私の中にもマイクがいると思いました。人生の転換点で違うことなく正しい道を指してくれたと思います、今のところは。私が期待するような宝物ではなかったし、初めに自分が望んでいるつもりだっだのとは少し違うかもしれませんが、私のマイクが示した道は自分がずっと望み続けてきたものに近いと今は思っています。それもまだ途中のような気もしますが。
    おおたとしまささんのあとがきで、この物語で重要な役割を果たしたのは誰?という問いがありました。私が今最も必要としているのはバーリントンみたいです。ライバルであり、自分が選ばなかった道を進む相手。親友。お互いの姿を見て頑張るぞと思える相手。

  • 展開が結構意外性があって面白かった。
    しかし読後感層はただひとつ――羨ましい。私にもマイクがほしい。私のアニマだかアニムスももうちょっと活躍してくれたら良かったのに。

  • テニス選手として将来を期待されているフロイド。ある日突然黒いコートを着たマイクと出会う。しかし、どうやらマイクはフロイド以外には見えないらしい。それを知ったコーチでもある父親は心配して精神科医のピンナー医師と面会させる。ピンナー医師はマイクはフロイドの味方だという。

    両親からテニスのエリート教育を受け、若手のホープとして活躍することに疑問を持っていなかったフロイド。実は、心の奥底で別の人生を望んでいた。それに気づかせるために現れたマイクはフロイド自身なのだ。人間に精神に本当にそんな現象が起こるのかはわからないが、自分が将来を何をやりたいのかを真剣に考える時期の若い人の物語としておもしろかった。少し、すべてがうまく行き過ぎな気もするが。
    フロイドの周囲の大人たちが皆良い人だし、テニスのライバルのバーリントンもいい奴だ。重い話にしなかったのが良いのかどうか。

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著者プロフィール

1947年スコットランド生まれ。アイルランドの大学を卒業し、イングランドで10年間、歴史教師を務めた後、作家活動に専念。テレビのコメディや子ども向けドラマの脚本を数多く手がけるかたわら、児童文学を執筆。『秘密のマシン、アクイラ』(あすなろ書房)でウィットブレッド賞(現コスタ賞)児童書部門を受賞。ほかの作品に『名犬?エリックのおかしな冒険』(金の星社)など。

「2019年 『ぼくにだけ見えるジェシカ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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