- Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
- / ISBN・EAN: 9784093665438
作品紹介・あらすじ
水と風と光、人と魚、それだけのエッセイ。
「ちょっと急用ができた。行ってくる。夕方には戻る」玄関口で声を張り上げ、 家を飛び出した。我ながら堂々として素早い動きであった。
岩手の名だたる釣り師も、「また行くんですか」の家人の声には弱い。顔色をうかがいつつ、時に敏捷に、時にフェイントをかけて川に赴くと、そこには、ごつごつした風貌のイワナや、パーマークの美しいヤマメが待っている!
まだ時折雪が吹き付ける三月のヒカリ釣り、芽吹きの時期の山吹ヤマメ、夏のキャンプ地での少年の釣果、伝説の雫石一本毛鉤、そして釣りの後の川辺でのコーヒー、妻に持ち帰る一枝のヤブ椿…。
竿で魚を釣り、筆で人のぬくもりをすくい取る、手練のエッセイ。
【編集担当からのおすすめ情報】
高名な釣り師といえども、家人には気を遣うもの。ほのぼのとした駆け引きが、人間くさくて、いいです。釣りエッセイではありますが、釣りをしない方にも十分味わってもらえます。でも、この本を読んだ後は、きっと釣り師になってしまいそう…。
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
本物の釣り好きなんだろうなと感じるこの作者のことはよく存じ上げませんが、あくまでも大袈裟にせず、淡々と情景を綴る作風が、その現場に居合わせるような錯覚に陥れてくれる不思議な作品でした。特に「少年釣り師」と「小さな嘘」のエッセーは、小さな男の子を持つ親としては一瞬ウルっときます。
-
岩手県一関市在住の村田久氏のFlyFisherに連載されていたエッセイ集。
東北方面の釣行記が多く、「気仙沼市から陸前高田市を通り、海岸線をたどっていく。海辺の町中を走ると、ちらほら咲き出した紅色の桜の姿が目についた」など、震災で大きな被害を受けた地域も登場してきます。
東日本エリアでの復興が進み、ゆっくりと釣りのできるような環境になることが待ち望まれます。