天頂より少し下って

著者 :
  • 小学館
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本棚登録 : 749
感想 : 152
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  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093863049

作品紹介・あらすじ

奇妙な味とユーモア、そしてやわらかな幸福感-川上マジックが冴えわたる、極上の恋愛小説全7篇。

感想・レビュー・書評

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  • 最近川上弘美さんの短編集を続けて何冊か読んでいて、どれもよかったけれど、これについては全話いいな、と思った。
    中でも特に好きなのは「金と銀」「夜のドライブ」。

    表題の「天頂より少し下って」に何度か出てくる、埒もあかないぐるぐる思考、自分にもあるなあ。そのうち一部をあえて声に出す、っていうのも、あるなあ〜と思った。
    生きてゆくことって、男女問わず、年齢問わず、いろいろな人との関わりから逃れることはできないんだな、それが幸せか不幸せかはわからないな、でもわからなくても、わからないなりに考えながらどうにか日々を過ごしていくしかないんだよな、みたいなことも感じた。

  • 短編集。恋愛小説、にカテゴライズされてるけども、母親や息子、友人の話に、恋愛をちょいと絡めている感じでした。
    『エイコちゃんのしっぽ』は女友達と恋愛話。最後が笑えます。
    『夜のドライブ』は、母とドライブする話。昔に比べてなんだか優しくなった母。自分の母親と被る部分があり、なんだかしんみりしました。
    『天頂より少し下って』は、若い恋人のいる母親の話。息子(成人)との関係がなんかいい。息子と恋バナをする、ていうのに、憧れる。

  • 単純ではない主に恋愛関係の短編集。タイトルに惹かれて手に取った。
    「壁を登る」のときどき妙なものを連れてくる綾子さんという設定がなかなか変わっていて面白かった。
    表題作の「天頂より少し下って」は、きっと幸せな気持ちは過ぎた後にならないと認識できない、というような喩えだと思うのだが、それが素敵に描かれているなと感じた。
    全体としては不思議さ少なめで理解できる雰囲気という感じで、川上弘美らしさちょっと控えめかなと感じた。

  • 後半に読み進めるに従って好みの話になっていった。
    前半二篇はたぶん語り手が若すぎるのとそのはしゃいだ感じというか軽はずみな感じが苦手だったんだと思う。
    老いていく母を少しくるしいくらいいとしく感じるような「夜のドライブ」や、恋の話をしているようで息子へのさびしさといとしさとくやしさを散りばめた「天頂より少し下って」は、息子が生まれ、三十代を生きる私にとっては強く共鳴するものがあった。

  • 2004年から2010年の短編集。川上弘美は、大好きな作家のひとりなのだが、今作はなぜか今一つに感じる。「夜のドライブ」と「壁を登る」は良かったのだが、最後のタイトル作品はなぜかしっくり来ず。再読してみます。

  • 表題作「天頂より少し下って」がとくによかった。
    伝わってくる雰囲気が作り物っぽくなくて、言葉の使い方も上手。わたし好み。

  • 2013.08.18読了

  • ふわふわと漂うような短編集。
    物事を考える時、人はとかく難しく考えすぎている。
    そんな我々に、もうちょっと肩の力を抜いてみたら、と川上さんから諭されたような気がした。

    『夜のドライブ』と表題作が良かった。
    年老いた母と娘の二人っきりの夜のドライブや、成人した息子と母が夜中にウィスキーを静かに呑みながら互いの恋について語る様は、なんだかしみじみとしてていい。
    親子ってある程度年を重ねると立場が逆転するみたい。
    そして『金と銀』のインパクトのあるセリフ
    「女の子ってさ、突然わあっと叫んで、隣町まで駆けていったりしたくなること、ない?」
    この問い掛けに対し主人公の暎子はないと答えていたけれど…私はある(あった)。

  • 装丁は好みじゃなかったけど面白かったです。年齢層も相手も状況も全然違う、「人を好きになること」をテーマにした7つの短編集。帯には「恋愛小説」と書いてあるけど、もう少し恋愛の周辺のことどもが書いてあるし、むしろ恋愛を鏡にしてその鏡に映る恋愛以外のことを書いたお話、と思いました。

  • 恋愛をする時は誰でも怖いものなんだなあ、と思わせてくれました。

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著者プロフィール

作家。
1958年東京生まれ。1994年「神様」で第1回パスカル短編文学新人賞を受賞しデビュー。この文学賞に応募したパソコン通信仲間に誘われ俳句をつくり始める。句集に『機嫌のいい犬』。小説「蛇を踏む」(芥川賞)『神様』(紫式部文学賞、Bunkamuraドゥマゴ文学賞)『溺レる』(伊藤整文学賞、女流文学賞)『センセイの鞄』(谷崎潤一郎賞)『真鶴』(芸術選奨文部科学大臣賞)『水声』(読売文学賞)『大きな鳥にさらわれないよう』(泉鏡花賞)などのほか著書多数。2019年紫綬褒章を受章。

「2020年 『わたしの好きな季語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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