はぐれ雀

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  • Amazon.co.jp ・本 (203ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093863797

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  • 豊臣秀吉の文禄慶長の役で日本に拉致され日本に住む事を余儀なくされた朝鮮人。
    ほんの子供の時に拉致され差別と抑圧の中で生きる千代と、徳川家康から丁重に扱われ家康の死後も庇護されて生きるジュリア。
    千代が狂言廻しの如く、日本での40年間を語る。島原の乱を経て小西行長の血統を受け継ぐ須美の世話をすることとなる千代。
    朝鮮人であること、キリシタンであること、2重の差別を受けながら「お約束」を順守しようとする千代とジュリア。
    暗くて重くて悲惨な話が続く。救いは千代が明るく逆境にめげない飄々としたところか。
    最後は「お約束」を果たすため、須美を朝鮮に送り届けようとするジュリア、千代、甲賀忍者。小説の最初の方から出ていた甲賀忍者の扱いが捻りがあって面白い。
    須美は甲賀者の活躍もあって無事に朝鮮に辿り着き千代も風の便りでそれを知り涙する。
    文禄慶長の役に隠れた日本の暗部を描く。重たいけど読み応えあります。

著者プロフィール

1952年、長野県生まれ。早稲田大学教育・総合科学学術院教授。西鶴などの江戸時代文学を専門とする。主な研究書・注釈書に『西鶴と元禄メディア その戦略と展開』(NHKブックス、1994年/笠間書院、2011年新版)、『初期浮世草子の展開』(若草書房、1996年)、『西鶴と元禄文芸』(若草書房、2003年)、『都の錦集』(国書刊行会、1989年)、『世間子息気質・世間娘容気』(社会思想社、1990年)、『八文字屋本全集』(共編、汲古書院、1992〜2013年)、『浮世祝言揃』(太平書屋、2010年)など。小説に『廓の与右衛門 控え帳』(2007年、第8回小学館文庫小説賞受賞)、『はぐれ雀』(小学館、2014年)。

「2023年 『西鶴『誹諧独吟一日千句』研究と註解』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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