ぼくの死体をよろしくたのむ

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著者 : 川上弘美
  • 小学館 (2017年2月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (251ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093864558

ぼくの死体をよろしくたのむの感想・レビュー・書評

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  • 18話の短編が収録されている。「鍵」で登場する七生(ナナオ)が持っている鍵が関係しているのかわからないけど、ふわふわとした不思議な川上ワールドが展開されていて、「鍵」で始まり「廊下」で終わる。見慣れない動物が出てきたり、小人がいたり、七生が再び登場したり…白昼夢のような、異世界を旅をしたかのような気持ちになった。玄関、入り口から廊下までワープしたみたい。

    『猫を拾いに』に似たような雰囲気でした。短編いっぱいって面白くて好きだけど、短編集って内容を忘れやすくて、その割に変にまだらに覚えていて「あれ、あの話…どの作家さんのどの作品だっけ…」となると、もやもやっと迷路みたいに回って、(私の場合…)ほぼ思いだせずに終わるので、それがとてもつらい。メモもつらいし。。。困る。

    この中では「大聖堂」とか「ずっと雨が降っていたような気がしたけれど」、「バタフライ・エフェクト」「いいラクダを得る」「土曜日には映画を見に」「スミレ」が好き。

  • 『いろんなことが目の前を流れてゆくけれど、どれもわたしからは少し遠いものだ。(好物じゃないネタの回転寿司のお皿が流れ去る、みたいな感じだな)』―『いいラクダを得る』

    川上弘美の短篇は少しだけ星新一のショートショートに似ている。予想を常に裏切るところ、とか。でも川上弘美の話には星新一と違ってきれいな起承転結は大概のところ、ない。そのせいか、もやもやとした気分が残る。恐らく、そのもやもやした気分を味わいたくて川上弘美を読むのだと思う。

    独特な比喩もまた川上弘美の特徴だと思うけれど、その思考の裏側で働くものは生物学的な観察眼じゃないかなと最近思うようになった。物理や数学のように定義や法則から積み上げていくものとは違って、生物学の基礎は分類だ。もちろん最先端の生物学は違うと思うけれど、リンネの分類とか昔は習ったものだし。分類の基本は比較、つまりは似ているか似ていないかを見極めること。そんなことを繰り返していると、ああこれはあれに似ているな、という誰からも理解されない類似例を大量にストックすることになる。あるいは逆にそういう思考の癖のある人が生物学を学ぶのかも知れない。同じ学問の分類で言えば間違いなく生物学と同様に博物学的範疇に入る地質学を専攻したものとして、川上弘美の比喩は妙にツボにはまる。

    それにしても偶に思うのだが、いつから川上弘美はこんなに固有名詞はっきりと使うようになったのだろう。初期の彼女の作品には、人称代名詞が多用されていて、どこにも属さない空間を形造る効果があったように記憶しているのだが。あるいは、あわあわとした、などと評されることの多かった作家の本質は、案外理屈っぽく緻密な思考に支えられていて、固有名詞の少なさに論理の一般化を志向する性癖が表れているのかと勘繰ったりしたのだが。 主にクウネルに掲載された作品を集めたこの短篇集には、独特の名を持つ主人公達が登場する。そしてそれもまたいつの間にか川上弘美らしい世界観を形造るのに一役買っているのに気付いて、はっとするのだ。

    固有名詞は符丁となり絡み合う世界の四次元的構造を読み解く道標となる。例えば、Monkeyに連載されていた短篇を集めた「このあたりの人たち」に登場する人々の名前のように。この短篇集でも幾つかの名前は拡がりを想起するように配置されている。そのことを無意識に作家が行う筈もないが、尋ねられれば、名前を考えるのが面倒で、等と答えるに違いない。その時、作家が心の内で舌を出して見せているのを見逃してはならないのだ。

  • ここ最近の弘美さんは「うそこ」話のスケールが小さくなった…時々人でないものも出て来たりするのだがその大半はより身近にそうツイッターで誰の目にも触れられずただ流れていくだけのようなありふれた話。
    それでもどこそこに隠れ扉が仕掛けてありそこを開けば川上ワールドの入り口になるのだから短編集ながら読み応えはたっぷり。
    3.11 からだと思うが作品のなかでより人と人との繋がりの色が濃くなった、そしてあちらとこちらの往き来もよく描かれるようになった…
    独特のふんわりした表現ながら真摯に「命」を追い求めるメッセージは強く心に響く

  • +++
    彼の筋肉の美しさに恋をした“わたし”、魔法を使う子供、猫にさらわれた“小さい人”、緑の箱の中の死体、解散した家族。恋愛小説?ファンタジー?SF?ジャンル分け不能、ちょっと奇妙で愛しい物語の玉手箱。
    +++

    一般的な現実世界とは、薄膜一枚ほど隔たったちょっぴり不思議な世界の物語といった趣である。登場人物も、描かれる題材も、一筋縄ではいかない。奇妙というほどではなく、非常識とも言い切れず、しかし現実からはほんの5mm浮いている感じ。だがどの物語を読んでもやさしい気持ちになれるのは、どの登場人物も著者に愛しまれているのが伝わってくるからかもしれない。少しだけ自分がやさしくなれたような気がする一冊でもある。

  • ご無沙汰です。すごくおもしろかった。好きなタイプの川上弘美。(川上弘美の感想は、好きなタイプかそうでないか、を絶対思う。そして「川上さん」にはならないの、「川上弘美」。バンド名みたいな感じで。

  • (読んだ人が帯に書いたコメントより)
    一つ一つに出会いのこもった短編集。

  • H29/11/29

  • 今までたいしてたくさん本を読んできたわけではないけど、一話完結の短いお話でこんなにも気持ちが掻き立てられるものなのかと感動しました。

    そして私のだいすきな杏子ちゃんも登場し、胸がいっぱいになりました。

  • なに?これ?

     なんだか、さっぱり訳が分からないままのファンタジー短編集。どれも結論的なものはなく、なんだかすっきりしないから途中でギブアップ。

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ぼくの死体をよろしくたのむの作品紹介

ちょっと奇妙で愛しい物語の玉手箱

ヴァラエティ豊かな18篇からほんの一部をご紹介――

「大聖堂」
家賃は格安で2万円。そのかわり、一匹だけ扶養義務を負うというのがこのアパートの決まり。動物は三種(猫と兎とぼくの知らない小さな生き物)。そのなかからぼくは三番目を選んだ。四つ足でなめらかな毛、耳が立っていて、目はぱっちりと大きい。背中に一対の小さな羽根をたたんでいる――ぼくは〈つばさ〉と名づけた。

「ぼくの死体をよろしくたのむ」
「恋愛の精算に他人をもちこむのって、ずるくないですか」「そうよ、ずるいの、わたし」--銀座 午後二時 歌舞伎座あたり。知らない男と二人でてのひらに乗るぐらいの小さな男の人を助けた。「恋人を助けてほしい」と小さな人は言う。『猫にさらわれたのだ』と。

「二百十日」
伯母の代わりにやってきたのは「るか」という男の子だった。彼は少し魔法が使えるのだという。時間の流れを変えることができるのだ。

「スミレ」
人間を精神年齢に応じた外見にするための技術は、今世紀後半に発達した。わたしの実年齢は58歳だけれど精神年齢は18歳なので、宿舎の中では18歳の姿で過ごす。

ぼくの死体をよろしくたのむはこんな本です

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