夜行

著者 :
  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093864565

感想・レビュー・書評

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  • かつて仲間が失踪した経験を持つグループが10年ぶりに再会して宿泊先の宿で、離れ離れになった期間に起こった不思議な体験を一人一人語る物語。
    修学旅行でみんなでそれぞれ怖い話をするような感じです。
    それぞれの章ごとに語り手が変わります。ただ、それぞれの話が一貫して「夜行」という作品群との関連があるのですが、それぞれの話に少しずつ納得いかない箇所があり、あまり没入できませんでした。
    「夜は短し〜」や「四畳半シリーズ」とはテイストも文体もだいぶ違います。
    好みが分かれる作品のように感じました。

  • この中の世界のことを何と表現すればいいのか?不思議な世界にどっぷり浸りました。

  • 曙光と夜行の対になった世界はある銅版画でつながっている。半分ミステリーとも思えるパラレルワールドファンタジーでした。
    不思議なことは不思議なままにして、分からないことは分からないままにして読み終わることにしました。

  • 何とも不思議な世界観。
    森見作品によくある(?)おふざけ的な展開、思わず吹き出してしまいそうになるセリフは一切なしで、暗く無気味な雰囲気をたたえた夜が永遠と進んで行くような作品です。
    私は『きつねのはなし』や『宵山万華鏡』など、ちょっと不気味さを持ち合わせた森見作品が好きなので、今回も引き込まれるように読みました。
    ただ、最後の終わり方はちょっとモヤモヤが残るものだなぁと。

  • 森見登美彦さんの作品はこれまで何度か挫折しており苦手意識があったが、これは読み終えることができた。

    岸田道生という人の描いた絵画を中心にしたファンタジックでミステリアスなストーリーだ。

    何がいいかというと
    作品の全体的な日本語の美しさだ。
    言葉の選び方や表現が実に上品で美しい。
    以前、森見登美彦さんの作品を手にした時も感じた独特の描き回し。
    それがこの作品の雰囲気と非常によく合っており、全体に透明感と日本語の美しさが流れている。

    しかしながら、内容はないというか
    夜行列車で不思議な世界をサーーーーっとみたような感じの読了感がある。
    何かを見たように思うが、それが手にできないような感じ。

    それがこの作品の良さであり、美しさなのかもしれない。

  • かつて仲間の一人が失踪したグループが、再び鞍馬の夜祭に集まる。一人の画家の連作に関連する不思議な出来事をそれぞれが語り出して‥
    一人一人が旅先での絵と関わりのあるような不思議な出来事を語っていくが、どれもモヤモヤとした感じで、最後もぼやかされるのが、不穏な感じをかき立てていておもしろい。
    ただ、各話で盛り上げた雰囲気が最後の話につなげられていない感じがした。きれいな終わり方と思ったが、それまでの雰囲気と、どうつながっていくか期待していたのもあったので、その点は少し残念だった。

  • 初森見登美彦氏。
    やわらかい文体の中に潜む
    少し狂気じみた雰囲気を纏わりつかせる。
    絵画「夜行」の連作を媒介にした幻想的な短編を
    最終章で美しくまとめた作品。
    ホラーのくくりにしたけど、
    どちらかといえば幻想小説、ファンタジーに近いような。
    こういう物語の進め方終わり方は好みなので、
    他の作品も読んでみよう。

  • これは何?ホラーなの⁈と思っていたら、こんな世界があるかもしれない…と思うようなパラレルワールド…

    モノクロの世界にぱっと色がつく瞬間がなんとも言えない。

  • 初めての森見登美彦さん。図書館でたまたま見つけ、森見さんの作品読んだことないなと思い手に取った。

    感想は、こわかった。何度も途中で辞めてしまおうか迷った。でもこわすぎて、途中で辞めたら後々気になってしまうかも?と思って最後まで読んだ。最終章で救われたような、モヤっとしたような感じがした。怖いけど、文章は優しい感じで読みやすく、世界観が面白いなと思う。ただ、こわかった。

  • 英会話スクールの仲間たち行った「鞍馬の火祭」、仲間のひとりだった長谷川さんがその夜から姿を消します。
    その10年後、再び火祭を見に行くことになり、仲間が集まったところから話が始まります。

    集まった仲間はひとりずつ、自分の話を語りはじめます。
    その話はまるで百物語のように不気味で、地に足がつかないような浮遊感をもったまま語りが終わり、次の人の話が始まります。
    その不気味さは、読み進めるうち、徐々に読み手にもうつってきます。

    ひとりひとりの語りは奇妙な話のまま終わりますが、物語全体にただよっている不気味さの正体は、ラストで明かされます。
    ですが私は、物語すべてを読み終えたあともなお、夜の世界に漂ったままでいるような、そんな感覚が抜けませんでした。
    完全に「夜行」の世界に、つかまってしまったようです。

    読み終えたあとの、なんともいえない浮遊感を心地よく感じるかどうかで、☆の数が変わる小説です。

著者プロフィール

1979年、奈良県生まれ。京都大学大学院農学研究科修士課程修了。2003年『太陽の塔』で日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。07年『夜は短し歩けよ乙女』で山本周五郎賞を受賞。同作品は、本屋大賞2位にも選ばれる。著書に『きつねのはなし』『有頂天家族』など。

「2022年 『四畳半タイムマシンブルース』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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