不思議カフェ NEKOMIMI

著者 :
  • 小学館
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本棚登録 : 1260
感想 : 75
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093866682

作品紹介・あらすじ

あなたの、ささやかな生には意味がある。 毎日こつこつと働き、余暇には本を読み、紅茶を淹れて音楽を聴く。そんなつつましく生きてきた律子に人生の終盤、ある奇跡が訪れる。<彼女は善い魔法使いとなり、出会ったひとびとを救い、幸福にするための力を手に入れるのですが、それは世界の片隅で起きるひそかな物語、ほんとうに小さな魔法です。地球を救ったり、闇の力と戦ったり、そういう壮大な物語ではありません。時の狭間の中で忘れられてゆくような、忘れられてきたような、小さな祈りや命をひとつひとつ大切にすくい上げてゆく、そんな物語です>――著者あとがきより人ならぬ身となり、黒猫メロディとともに空飛ぶ車に乗った律子は、旅先でいろんなひとや妖怪と出会ったり、時にはカフェを開いてお客様に料理やお茶をふるまったり…。2017年本屋大賞ノミネート作品『桜風堂ものがたり』や2018年同賞ノミネート作品『百貨の魔法』、そして「コンビニたそがれ堂」シリーズなど、ファンタジー小説の名手が贈る、ささやかな、小さな魔法の物語。

感想・レビュー・書評

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  • ファンタジー作品です。
    序章のみネタバレ含みますのでこれから読まれる方はお気をつけください。


    主人公の律子は五十代。
    ミュージカルスターだった父と医師だった母は既に亡くなっています。

    ある日偏頭痛が酷く会社勤めを終えて帰る途中で黒い仔猫を拾い病院に連れていき、その後独り暮らしの自宅に帰ります。
    その猫は以前に律子が飼っていた黒猫メロディの生まれ変わりでした。
    そして律子は占い師にもらった猫の魔神のランプの魔神に「あなたの命は今夜まで。今日であなたの人生は終わるということが決まっている」といわれますが、メロディが助けてくれて、律子は人間としての生は終えますが、魔法使いとして生きることになります。

    律子は幻の猫たち(今まで飼っていて亡くなってしまった猫)と植物たちの魂を連れて、キッチンのついた空飛ぶ車に乗って旅に出ます。
    そこで、「不思議な旅するカフェNEKOMIMI」を開店します。

    思いがけず手にした 少しだけもの悲しい 長い休暇
    永遠の春休み 時の旅人


    律子がキーマン紅茶のミルクティを淹れる描写が湯気をたてている紅茶の赤い葉っぱがみえるようで、美味しそうで思わず、キーマンがたまたまあったのでミルクティ淹れて飲みました。
    NEKOMIMIのお花見弁当も凄く美味しそうで食べたくなっちゃいました。

    律子の素性を考えると楽しいばかりではなく哀愁もあるお話ですが、でも、人を幸せにしてくれる大人のための童話ともいえるとてもいいお話だと思いました。

    イラストもとても素敵でした。

  • 主人公は律子、50歳代まで地味に生きながらも弱っている猫を見つけると放っておけない優しさの持ち主…近所から譲り受けた植物やゆかりの品など彼女の家には多くあった。ある日再び弱っていた猫と帰宅した律子は、耐えがたい頭痛に襲われ以前譲り受けた魔法のランプに願いを託す…。魔法のランプから猫の魔神が現れ、律子を「善い魔法使い」に変え、飼い猫のメロディと猫の魔神と共に旅を続けながら、出逢う人達の幸せを願うストーリー。

    絵本のような、ストーリーでしたね!だけど、優しくあったかい気持ちだけじゃなく過去にあったこと、今起きていることにも目を反らすことなく訴えてくるような…そんな印象を持ちました。ささやかだけど、あったかい魔法にちょっぴり癒やされました…。

  • ☆4

    ほっこり温かい気持ちになれる優しい物語でした。
    村山早紀さんの作品を読む度に思うのですが、本作もとても綺麗な(キラキラ輝く宝石のような)文章に魅了されました。

    魔法のランプの魔神の力で魔法使いになった律子さんが、黒猫のメロディとともに、空飛ぶ青い車に乗って気ままに旅をしながら、旅先で出会った人々に魔法の力で幸せな気持ちになってもらおうという素敵なお話です❁⃘*.゚

    本作を読了後、今まで幸せな出来事があった時、もしかしたら近くに魔法使いがいて、実は魔法をかけてくれていたんじゃないかなぁとか、黄昏時に空を見上げたら、魔法使いが空を飛んでいたりするかもしれないなぁと思ったりしてしまいました。

    これからも永い旅を続ける律子さんとメロディたちにまた会いたいので、続編を期待したいと思います(*´˘`*)


  • すっごいファンタジーな1冊。
    実はゴテゴテのファンタジーはちょっと苦手で…
    でもこちらの1冊は、こんな世界であったらいいな
    って思えるほっこり話が詰まってる。
    優しい気持ちになれる1冊。


    どんな人生を送りたいのか。
    いつでもどこでもやろうと思えばできる!
    もっと前向きに生きたかったとか、色んな人と接したかったとか、可愛い服たくさん着たかったとか…
    私も悔いのないような生き方をしたいなあ
    そして主人公の律子のような存在になってみたい!

  • 優しいファンタジーの世界でした。しばらくミステリーなどを読んでいたので、心が浄化される気がしました。
    毎日真面目に働き、余暇に紅茶を入れて読書や音楽を聴き、謙虚に生きてきた律子は50代半ばで死ぬことになるのですが、奇跡が起きて、前に飼っていた猫のメロディや他の猫たちと、空飛ぶ車であちこちに旅行しながら、そこで出逢う、少し人生に迷っているような人達を美味しいご飯やお茶で、幸せにして行くお話です。

  • 優しい優しい、猫のファンタジー。童話を読んでいるようでした。
    ただ私には少々甘すぎて、とても眠かったです。

  • 贅沢ではないけれど、猫と植物と住んでいる町を愛していた律子に突然の死が訪れる。
    しかし彼女の前に現れた魔神が、彼女と愛猫のメロディを"人(猫)ならぬもの"にかえ、彼女の第二の生が始まる。

    最初から最後まで愛と優しさに満ちていて、そこにほんの少しの寂しさ哀しみが混じる。
    何度もこみあげてくるものを抑えながら読んだ。

    死ぬことは確かに怖いけれど、でもじゃあ彼女のように"死ぬことのないもの"になりたいかと言われると、それもまた怖いように思う。
    ともにいてくれる存在がいたら違うのだろうか…?

  • 村山早紀の風の丘通信
    http://kazahaya.milkcafe.to

    Kurahashirei – Hakoniwa
    https://kurahashirei.com

    不思議カフェ NEKOMIMI | 書籍 | 小学館
    https://www.shogakukan.co.jp/books/09386668

  • 思っていたよりファンタジー色が強かった。
    魔法使いになった律子さんが使う魔法は、ごく小さなものだけど、出会った人々が一生忘れることがないであろう、優しさに溢れたもの。
    どの章もほっこりした気持ちで読んだ。
    でも、周りの人がどんどんこの世を去るのに、自分一人が存在し続けるなんて、私はとても絶えられそうにない。
    魔女になるのは無理そう。

  • 不思議カフェNEKOMIMIをいつか訪ねてみたい(=^×^=)「記憶は残る」という意味がしみじみわかる(´ω` )

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著者プロフィール

1963年長崎県生まれ。『ちいさいえりちゃん』で毎日童話新人賞最優秀賞、第4回椋鳩十児童文学賞を受賞。著書に『シェーラ姫の冒険』(童心社)、『コンビニたそがれ堂』『百貨の魔法』(以上、ポプラ社)、『アカネヒメ物語』『花咲家の人々』『竜宮ホテル』(以上、徳間書店)、『桜風堂ものがたり』『星をつなぐ手』『かなりや荘浪漫』(以上、PHP研究所)、げみ氏との共著に『春の旅人』『トロイメライ』(以上、立東舎)、エッセイ『心にいつも猫をかかえて』(エクスナレッジ)などがある。

「2022年 『魔女たちは眠りを守る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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