前の家族

著者 :
  • 小学館
3.09
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感想 : 68
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  • Amazon.co.jp ・本 (306ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093866934

作品紹介・あらすじ

その物件、購入して大丈夫ですか? 賃貸に住み家賃を払い続けるのか、ローンを組んで終の棲家となるマンションを購入するのか、決断一つで人生の転機が訪れる。 「借金をして家を買おう」。37歳、独身、小説家・猪瀬藍は、中古マンションの購入を決意。夫婦と娘2人の4人家族が暮らす物件を内見し、理想的なマンションに出会えたと契約を結ぶことに。新居での新生活に心躍らす藍。しかし、その先に思いもがけない展開が待ち受けていた・・・・・。マンション購入はその物件だけではなく周りの環境まるごとが自分の世界になるということ。藍の身に衝撃の結末が訪れる。 果たして、その物件に手を出してはいけなかったのか・・・・・芥川賞作家が挑む異色のマイホームミステリー。 【編集担当からのおすすめ情報】 小説家・青山七恵さんが描く、ある小説家の中古物件購入譚。物件購入後に巻き起こる小さな事件を繊細に描写したリアリティーに、これってまさか青山さんの実体験!?と戦慄させられる。じわりじわりと何者かが迫りくるような展開を読者のみなさんにも是非体験して欲しい。中古物件を買うのがちょっと怖くなるかもしれません。

感想・レビュー・書評

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  • 〈この小説は、献本企画の当選本です。サイン入りにポストカード付き、ありがとうございます〉

    こんな結末なんて想定してなかったという衝撃。

    賃貸に住み続けるより、ローンを組んでマンションを購入しようと決めた独身の37歳・小説家の藍の物件探しから物語は始まる。

    新築が理想ではあったが、予算のこともあり中古マンションを購入し、暮らし始めたら…
    内見時に会ったことのある家族の子どもが、マンションにやってくる。
    そのうちにお姉ちゃんは、宿題を持ってきて妹も連れて来る。
    するとお母さんが子どもたちの行き先に気づいて謝りに来て…
    なんとなくふわふわっと前の家族と交流を持つようになり、その家族の新築の一戸建てにも遊びに行くようになる藍。
    泊まって言ってと言われるままに過ごすうちに彼女たちから感じられる無垢な友情、おせっかいなほどに温かい厚意に心休まる居場所を見出したかのようであった藍。
    その後に襲いかかる恐怖ともいえるような出来事に遭遇するまでは…。

    ずるずると居候を続けた結果、こんなことになったらどうするだろうか?
    怒りが先にくるのだろうか、それとも自分の弱さや甘さに呆れて茫然となるのか?

    まさかまさかの結末すぎてことばもなかった。
    マイホームを持つという憧れが実現したものの…
    1人暮らしにしては広いと少しでも思ったからなのか、家族の温かさを共有できた嬉しさでもはやマイホームより誰かと一緒がいいと感じたからなのか、自分の本音が見えなくなってきたとき、なんなのこれ〜どういうこと⁇となったのだろう。
    なんとも言えず、ちょっとホラーで予測外すぎて意外なミステリーだった。

    まさにタイトルと表紙の絵に納得。

    • ポプラ並木さん
      湖永さん、もう少しヤバイ展開を期待していました。ホラー的要素、イヤミスが強いとよかったのに。。。リーダビリティ抜群でした。
      湖永さん、もう少しヤバイ展開を期待していました。ホラー的要素、イヤミスが強いとよかったのに。。。リーダビリティ抜群でした。
      2023/12/16
    • 湖永さん
      ポプラ並木さん こんにちは。
      もっとホラーが強めかと思ってましたか⁈
      前の住民の執着は、ちょっとびっくりしましたけどね。
      私は、3回引っ越し...
      ポプラ並木さん こんにちは。
      もっとホラーが強めかと思ってましたか⁈
      前の住民の執着は、ちょっとびっくりしましたけどね。
      私は、3回引っ越していますが、全く執着ないですね。
      今の家が一番長いので、そう思うのかもしれませんが…。
      2023/12/16
    • ポプラ並木さん
      やっぱり、ホラー、イヤミスが少なかったですよね。。。引っ越しは少ない方がいいですよね。住む家ってやっぱり大切ですね(^^♪
      やっぱり、ホラー、イヤミスが少なかったですよね。。。引っ越しは少ない方がいいですよね。住む家ってやっぱり大切ですね(^^♪
      2023/12/16
  • 自分の終の棲家を購入することに執着する主人公。ようやく見つけた西日の入るマンション。リフォームも完成し入居。しかし前の家族が何故か自分に付きまとう。小さな娘2人が訪問する。さらに娘の母親は新居を主人公に見せたがる。主人公のマンションで起こる怪現象。主人公と前の家族の共同生活が繰り広げられる。ラストのオチは前の家族がもつ執着心には違和感しかない。自分は9回引っ越しているが、徐々に値段も広さもランクアップしてきたので前の住処に全く未練なし。今回の前の家族の歪んだ心情には気持ち悪かった。ただ自分も西日は好き!②

    • アールグレイさん
      ポプラさんこんにちは~(^_^)/~
      ――困りました!図書館から次に来る本が、この本なのです。
      ごめんなさい、レビューは冒頭しか読んでいませ...
      ポプラさんこんにちは~(^_^)/~
      ――困りました!図書館から次に来る本が、この本なのです。
      ごめんなさい、レビューは冒頭しか読んでいません。今は、伊坂さんの本を読んでいます。
      ポプラさんと違う読後感を持てるように・・・・


      2023/12/16
    • ポプラ並木さん
      アールグレイさん、お久しぶりで~す。
      楽しんで読んでくださいね。
      自分は若干インパクトを期待しましたが、想像どおりではなかったです。
      ...
      アールグレイさん、お久しぶりで~す。
      楽しんで読んでくださいね。
      自分は若干インパクトを期待しましたが、想像どおりではなかったです。
      でも楽しめると思いますよ!
      感想楽しみです!
      2023/12/16
  •  中古マンションを購入した独身女性を襲った異様な事件。「家」というものの存在感や意味を一考させるミステリーホラー。全11話。
              ◇
    独身でひとり暮らしの猪瀬藍は、30代半ばを過ぎたし結婚の予定もないこともあって、中古ながらマンションを購入することにした。
     藍が選んだのはLDKの他、寝室とリモートワークに使える部屋もあるという、単身者には少し贅沢な物件である。

     内見時、部屋の案内をしてくれた売主の小林夫妻の過剰な笑顔、特に感極まったように部屋を誉め瞳を潤ませる妻の杏奈や、逆に睨みつけてくる幼い2人の娘がなんとなく気になった藍だったが……。
    ( 第1話「引っ越すまで」)

          * * * * *
     
     あー怖かった。青山七恵さんが、まさかこんな怖い作品を書くとは ⁉

     澤村伊智さんが描く、ぼぎわんのような異形のものが襲ってくる話は現実感が薄いし、仮にぼぎわんが存在しているとしても遭遇する確率は低かろうから概ね大丈夫と思えます。
     もし遭遇しても運が超悪かったと諦めがつくでしょう( たぶん? )。

     けれども、本作の小林一家のような、思い込みの激しいサイコパスタイプの人間はかなりの割合で存在していそうなので、読み進めるのも実に気持ち悪いし、ひしひし感じる恐怖は身に堪えました。もしそんな人間に関わってしまったら、自分の不注意を呪いたくなるでしょう。

     主人公の藍は、大学で教鞭を執りながら作家としても活動するという、社会的地位も確立している知的で自立した女性です。なのに小林一家にじわじわと侵食されていってしまいます。

     コロナ禍で、精神状態が普段とは多少異なるということはあるでしょう。
     不惑が近くなり、ひとり暮らしでいることに飽きてきている、またはさびしさを感じてきているという心境になったのかも知れません。

     そんな心の隙間を見事に突かれ、藍の優雅なマンションライフ計画は崩れ去っていきます。

     途中で小林一家はとてもよい人たちかもと思わせる描写が続き、藍がそう信じてしまうのも無理はないなあとは思います。
     けれど案の定、終盤でひっくり返されてバッドエンドとなるので、ハッピーエンド好きの自分にはキツい作品でした。

     それにしても、小林一家、特に杏奈夫人の恐ろしさは格別だったなあ。
     満面の笑み。行き届いた親切。明るく楽しげな物ごし。そして思いが通じないときにときおり見せる苛立ち。
     誰かに似ていると思ったら、雫井脩介さんの『火の粉』に登場する武内真伍に近いキャラではありませんか ⁉ ああ怖いはずだ。

     過剰な笑顔と親切で近づいてくる人には警戒しないといけないですね。そんなことを銘記させてくれる作品でした。

  • 「前の家族」青山七恵著|日刊ゲンダイDIGITAL
    https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/book/328582

    青山七恵『前の家族』 | 小説丸
    https://shosetsu-maru.com/yomimono/essay/maenokazoku

    青山七恵さん『前の家族』 | 小説丸
    https://shosetsu-maru.com/interviews/authors/quilala_pickup/179

    前の家族 | 書籍 | 小学館
    https://www.shogakukan.co.jp/books/09386693

  • ★ひとつなんて初めてだ!!
    読みながら苛ついた!途中でやめようか
    とも思った!でも、折角読み始めた本だし、とも思う。やめたら悔しいとも思う。・・・・ホラーか?・・・・ミステリーなのか。恐ろしい家族だ!

    藍はアラフォー、マンションでも買おう
    か?と思い始めた。ひとり暮らしだが
    家で仕事をすることが多く、広い部屋が
    欲しかった。
    内見に行った際、まだ家族が住んでいた。・・・・そこでその家族に会わなければ
    ・・・・あんなことには!

    苛々の続く話だったが、やめようと思っても、最後はきっと変わるかも、と最後に賭けた。
    ・・・・読後感は良くない。

    この本が今年の最初の本"(-""-;)
    このような分野が好みの方には合うのかも知れません。
    青山七恵さん、明かりの湖畔、は良いと
    思っています。

    ブクログさんは、以前この本のプレゼントをしていたのではと思います。
    ( ̄□ ̄;)!!

    2024、1、14 読了

    • まことさん
      アールグレイさん、こんばんは♪

      この本、アールグレイさんが登録しましたは、私のタイムラインに出てたけど、レビューを書きました。が私のタイム...
      アールグレイさん、こんばんは♪

      この本、アールグレイさんが登録しましたは、私のタイムラインに出てたけど、レビューを書きました。が私のタイムラインには、出ていませんでした。
      Xを見たら、レビューを発見したので、Xから、レビューを拝見しました。
      他の人のタイムラインには出ているのかな?
      私は、年末に2度程、タイムラインに絶対流れてないなと思い、ブクログさんに、問い合わせたけど、確認中の返事がきただけで、問い合わせの答えはきませんでした。
      レビュー、ちゃんと流れているといいですね。
      2024/01/14
    • アールグレイさん
      ご心配、ありがとうございます!
      今私は、とても後味の悪い思いです!
      前に住んでいた人間からあんな目に遭うなんて・・・・本のあらすじをあまり書...
      ご心配、ありがとうございます!
      今私は、とても後味の悪い思いです!
      前に住んでいた人間からあんな目に遭うなんて・・・・本のあらすじをあまり書きたくない話です。
      ★ひとつにいいねを
      ありがとう(*^。^*)
      2024/01/14
    • ポプラ並木さん
      アールグレイさん、
      コメントおそくなりましたが、★1つですね。自分は2つでした。
      とにかく気持ち悪いお話しでした。
      リアリティが欠如したお話...
      アールグレイさん、
      コメントおそくなりましたが、★1つですね。自分は2つでした。
      とにかく気持ち悪いお話しでした。
      リアリティが欠如したお話しはあまり好きではないので、ダメでした。。。
      2024/02/25
  • 世にも奇妙な物語』風の、じわじわ怖いお話。
    他人が、自分に見せているのとは異なる裏の顔をもっているのは当たり前なんだけれど、ある程度時間をかけて親しくなった人たちが、こんなことを…って考えると、ゾーッとする……。
    ホントにあったら、絶対イヤだ〜!

  • たぶんこうなるだろうなぁと思う方向に話が進んでいった。
    やっと手に入れた終の棲家のはずだったのに、居心地よく感じられない、
    そこに現れた以前の住人たちの優しさに触れるうちに、、、主人公の気持ちが揺らぎ始める。
    ラストまで伏線は張り続けられるものの、ちょっと不完全燃焼だった。

  • 中古マンションを購入した藍と、元住人家族の物語。
    序盤からずっと不穏な空気が流れている。
    帯には「衝撃の結末」とあるけど、予想通りの展開だった。
    お人好しというか、呑気な藍にずっとイライラしてしまって、なんともいえない読後感。

  • 青山七恵さん、意識していなかったけど、もしかして初読みの作家さんだったのかもしれない。
    私の常で、装丁の雰囲気からほのぼのストーリーだと思って手に取ったら、まさかこんなに気持ち悪い話だとは…。
    イヤミス?になるのだろうか。ひたすら薄気味悪く気持ち悪かった。
    これは一応誉め言葉のつもりで、サイコパス系イヤミス系が好きな人にはたぶんおもしろいのだと思う。

    ただ私の好みにはあわなかった。購入した中古マンションの、前の持ち主の子供が訪ねてきても私なら絶対に家にいれないし、なぁなぁで前の家族を家にあげ続けることもおそらくない。家族構成も仕事も、趣味もペットも、何一つ接点がないのに。ただ流されていく主人公に終始いらいら。この人、こんなんで37歳独り暮らし個人事業主よくやってこれたな、と思う。
    前の家族が古い元のマンションに戻りたがる理由もさっぱり分からない。
    法律は?登記は?住民票は?固定資産税は?
    好みに合えば気にならないのかもだが、いくらフィクションでもつっこみまくりたくなる。
    私的には無い話だった。

  • なかなか人気があるのか図書館で借りられず、やっと棚に並ぶのを見つけ読んでみた。
    これってどういう話なんだろうかと分からないまま読み続け、不穏な空気が漂う。

    途中でなんとなく展開が見えてきたし、面白く読めたのだが最後はよく分からない感じで。
    結局、面白いんだか面白くないんだか。

    家を買う系の話は大好きなのだが、ちょっとイメージと違ったかな。

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著者プロフィール

二〇〇五年に「窓の灯」で文藝賞を受賞しデビュー。〇七年「ひとり日和」で芥川賞受賞。〇九年「かけら」で川端康成文学賞受賞。著書に『お別れの音』『わたしの彼氏』『あかりの湖畔』『すみれ』『快楽』『めぐり糸』『風』『はぐれんぼう』などがある。

「2023年 『みがわり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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