- Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
- / ISBN・EAN: 9784093883641
作品紹介・あらすじ
読書名人・角田さんの、濃厚な読書エッセイ
『私たちには物語がある』につづく〈本をめぐるエッセイ集〉第2弾!
宮沢賢治、ヘミングウェイ、開高健、池澤夏樹などの古典的な名作から現代作品まで、延べ80冊におよぶ本にまつわるエッセイがつまっています。
1 文庫本と私/冬の光(宮沢賢治の童話)/なんて明るい小説なんだろう(太宰治『斜陽』)‥‥ 2 食べることの壮絶(開高健『最後の晩餐』)/小説は世界を超えることができるのか(池澤夏樹『光の指で触れよ』)/もんのすごくかわいい(佐野洋子『コッコロから』‥‥ 3 生きていくのに必要なもの(よしもとばなな『どんぐり姉妹』)/恋のようなものと、ほんものの恋(佐藤多佳子『黄色い目の魚』)‥‥ 4 私に向かって投げられたボール(伊集院静『ぼくのボールが君に届けば』/「私」になるための決意(沢木耕太郎『あなたがいる場所』)/まっとうに生きるとはどういうことなのか(ヒキタクニオ『角』)‥‥ 5 忌野中毒(忌野清志郎『忌野旅日記』)/私たちの知らない世界(大竹伸朗『カスバの男 モロッコ旅日記』)/ああなんて、楽なのだろう(酒井順子『29歳(ニジュク)と30歳(サンジュウ)のあいだには』)‥‥
感想・レビュー・書評
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文庫解説を中心に集めた、角田さんの書評集。手堅くまとめてるなぁという印象が強いです。書店で文庫をパラパラと見ていて、解説が角田さんだと「読んでみようかな」と興味を持つことが多い。それだけ角田さんの感性を信用している。個人的には…文庫解説をまとめて読むよりは、それぞれの文庫の巻末で解説を読む方が、その作品の面白さがダイレクトに伝わってくるかなと思うところはあるけど。
とはいっても、紹介された本の中のいくつかは猛烈に「読みたい!」と思わされた。特に、角田さんが大好きな開高健と忌野清志郎の著書紹介は、熱量が違いました。
90年代、00年代初期に書かれたものは、さすがに角田さんの筆致が初々しい!この時代の彼女の「はっちゃけ」感が懐かしいです。収録の年代が結構幅広いので、何となくだけど角田さんの歩みというか心の変遷も窺い知ることが出来るような。
是非読みたいと思った作品:沢木耕太郎「あなたがいる場所」、ヒキタクニオ「角」、三羽省吾「厭世フレーバー」。角田さんの解説が、ほんっと素晴らしいです。好きな作家によるブックガイドは、間違いなく視野を広げてくれるよなぁと今回つくづく思った。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
今まで書かれた文庫本などの解説や書評が詰まった、角田さんのブックガイド。
言葉の端々から、本が大好きでたまらないという想いが溢れ出ていて、思わず、わかるよわかる!と共感の嵐でした。
「私はやっぱり書店が好きだ。本の声がする。ちいさな、でも私だけにしっかり届く声で、ひそひそ、ひそひそと読んでいる。本との縁というものを感じるのは、やっぱりリアル書店なのである」
「古本屋に通ううち、ある不思議な印象を持つようになった。自分の嗜好、好みを中心とした、不思議としか言いようのない糸が張り巡らされていることに気づくのである。これは新刊書店では絶対にあり得ないことだ」
本好きの方なら、覚えがあるんじゃないでしょうか。
心の底から共感して、角田さんが同じ感性を持っていることが嬉しくてしかたなかったです。
紹介されている本の数々がまた、素晴らしい。
角田さんというフィルターを通して知る本はまた格別です。読んだことのない本が多かった分、読みたい本が増えました。
特に開高健さんや忌野清志郎さんについては、熱く語られていて、知れば知る程ものすごい方だと驚きました。読むならそれこそ旅行中など、日々の喧騒から離れたところでじっくり読みたいところです。
本を通して開かれる扉は数多くありますが、角田さんもまた失うこと、生きること、信じられるものなど様々なことと向き合ってきたのが感じられます。
これは、本書の中でも好きな一文。
「失うことは、マイナスでもプラスでもなく、何かを持っていたという証である。いとおしむべきたいせつな何かを、確実に私たちは持っていた。その何かは、私とともに在ることによって、私自身を変容させた。失うことでいくら泣いたっていい、自分を責めたっていい、でも自身の内の変容は、他者(ときに動物、ときに光景)とかかわったことによって生じた変容は、消えることがない。そのことを私たちは知らなければならない。その「持っていた」証拠、自身の変容こそが、あとがきで作者のいう「宝物」なのではないか。私たちが平等に持ち得る、もっともすばらしいもの。」
角田さんの感性が大好きです。 -
角田さんの書評、大好き。書評というより角田さん曰く感想文か。
全然興味のなかった、知らなかった物語たちを角田さんの言葉で綴られるととても興味がわくし、
わたしも読んだことある本に関してはこう解釈されたのかーとか新たな発見や世界が見つかる。
本はまさに旅、そのもの。うん。 -
私もこんな風に本の感想が書けたら良いのにって思ってしまった。凄く興味をそそる本がいくつかあったので読んでみようかと。森絵都の『アーモンド入りのチョコレートのワルツ』ヒキタクニオの『角』が気になったので近いうちに読みたいな。
私が初めて角田さんの本を読んだの中学生の時だったな。中学校の図書室に『八日目の蝉』があってタイトルが聞いたことがあったからなんとなく手に取ったんだけど、今考えてみれば中学生にしてはよくチャンジしたなあと思える(笑) -
ポケットに入るくらいの本を持ち歩くのが、好きな私にぴったりな本のような・・ゆっくり楽しみます。
筆者は、宮沢賢治氏の物語を小学生の時かなり読まれたとのこと・・この難しい話を大人になって読むと・・
物語ではなく光景を描く人・・美しい光景を言葉でつむいで見せるひと。・・納得です。
松谷みよ子氏の・・「モモちゃんとアカネちゃん」
このシリーズは、読み進めるにつれ・・赤ちゃんの世界から大人の現実を知ることとなる・・
子供なりに、何かを感じてしまう・・
筆者のように、私も何かを感じ取っていたのかもと・・
筆者が、タイトルとカバーに惹かれて手にとることがある・・
私も、タイトルに惹かれて読み始め・・こんなはずではと思いつつ、読み終わって感動していたり・・
読書の面白さを知っていらっしゃるなぁと・・
これからも、ポケットに物語を入れて・・行こうっと♪ -
★が少ない最大の理由は、非常に個人的かつ残念ながら、紹介されている本のうち「読んでみたい」という魅力を感じたものが1・2冊しかなかったこと。さらに、既読の本も何冊か出て来たが、それらについて書かれている内容にも寄り添うことができなかったこと。
角田さんは小説以外の著作より断然小説が良いと常々思っているが、本書も然り。力んでいるというのではないだろうけど、なんというか力がこもりすぎているのを感じてしまう。 -
角田光代先生…清志郎好きなんだな…
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