ねこのおもちゃ絵: 国芳一門の猫絵図鑑

著者 :
  • 小学館
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本棚登録 : 104
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (128ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093884440

作品紹介・あらすじ

にゃんとも楽しい猫づくし!

「おもちゃ絵」とは、幕末から明治中期にかけて作られた、子ども向きの浮世絵のことです。読み物や漫画、図鑑的な情報をはじめ、切ったり組み立てたりして遊ぶものや、双六、着せ替え人形などもあり、玩具として大きな位置を占めていました。
そのなかでも人気が高く、現在でもファンが多いのが猫の絵です。猫好きでも知られる奇想の浮世絵師・歌川国芳の弟子たちを中心に、数多く描かれました。宴会猫、働き猫、曲芸猫、温泉猫、勉強猫…など、擬人化された猫のオンパレード!
また、猫の姿を通して、当時の子どもの遊び、人気のあった職業、さらには流入してきた西洋文化によって変化しつつある風俗の様子が分かります。「ねこビル」「ねこライフ」「ねこストリート」「ねこレジャー」「ねこシアター」「ねこvsネズミ」といった章立てで、まるで猫の町を覗いているような、楽しさいっぱいのビジュアル本です。猫おもちゃ絵のルーツともいえる、国芳の作品も多数収録!


【編集担当からのおすすめ情報】
歌川国芳の猫好きは弟子たちにも受けつがれたようで、とくに歌川芳藤の作品は師匠に勝るとも劣らない楽しいものです。子ども向きのおもちゃ絵でも手を抜かず、アイデア・画力ともに抜群。そのていねいな仕事ぶりから、「おもちゃ芳藤」とも呼ばれました。この本で最も多いのも芳藤の作品です。

感想・レビュー・書評

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  • 人が猫のように見える? 猫が人のように見える??

    幕末から明治にかけて流行した、
    子供向けの学習教材の意味も持った浮世絵「おもちゃ絵」の
    コレクション。
    擬人化された猫が当時の庶民の暮らしを再現していて、
    可愛らしくユーモラスで、場面によっては妙に艶っぽい。
    猫好きの浮世絵師と弟子たちが
    猫への愛をたっぷり込めて描いていたことが伝わってくる
    楽しい一冊。
    日本の「まんが文化」は奥深い。

    ところで、
    澁澤龍彦「空飛ぶ大納言」(『唐草物語』p.31-32)に、

    > 蹴鞠で用いる鞠は
    > サッカーのボールのように球状ではなく【略】
    > フランスパンにも似た、
    > まんなかの部分を強く締めくくった、
    > ややくびれたものであった

    ――と、あるとおり、
    天保12(1841)年、歌川国芳「流行猫の曲鞠」
    に描かれた、蹴鞠に興じる猫が用いているのは、
    巨大な桃のような「フォンデュ」(fendu=「双子」の意)
    に似た形状である。
    https://ws-plan.com/pan/furansupan/fendu.html

    ちなみに、この本は
    猫のいる小さな書店 Cat's Meow Books さんで購入。

  • 幕末~明治中期の国芳一門や他の浮世絵師たちによる、
    浮世絵やおもちゃ絵に、描かれた猫たちを集めている。
    はじめに・・・猫絵流行のきっかけは、国芳!
    第一章 ねこビル・・・牛鍋屋、そば屋、日本舞踊、芝居小屋等。
    第二章 ねこストリート・・・あきんど、屋台・人力車、馬車等。
    第三章 ねこスクール・・・手ならい、授業中、男子校、放課後。
    第四章 ねこレジャー・・・出初式、花見、年中行事、相撲、運動会。
    第五章 ねこシアター・・・軽業、弥次さん喜多さん、忠臣蔵等。
    第六章 ねこライフ・・・結婚、痴話喧嘩、家事、人生ゲーム等。
    第七章 ねこVSネズミ・・・鼠一座、ワル鼠、名勝負、猫地獄等。
    読み下し文有り。ギャラリー、コラム有り。カラー図版多数。
    猫そのままの姿有り、擬人化した姿有りの、猫の絵尽くしの本です。
    読み下し文と説明で、作品の内容が分かり易い。
    絵の中の猫たちの動きや仕草や、各ページに散りばめられている、
    作品から飛び出した猫の絵も、実に良い。あ、短尾が多かったのね。
    それ以上に、当時の風俗や流行、文化がよくわかります。
    「弥次さん喜多さん」の中に電線や人力車が描かれているのは、
    明治の文明開化の影響の現れでしょう。
    また、1枚で様々な玩具を作れたり、元祖紙着せ替え人形が
    あったりと、おもちゃ絵の面白さを知ることのできる
    楽しい内容でもありました。

  • 幕末から明治中期にかけて作られた「おもちゃ絵」。
    子ども向きの浮世絵ですが、読み物や漫画、図鑑、双六、着せ替え人形などもあります。
    そんな中でも特に人気が高く、今でもファンが多いのが猫の絵です。
    猫好きでも有名な浮世絵師・歌川国芳の弟子たちを中心に、数多く描かれました。
    ねこ、ねこ、ねこのオンパレード!
    猫の姿を通して、当時の子どもの遊びや人気のあった職業、変化しつつある当時の風俗の様子なども分かります。
    とにかく楽しい本です。
    ねこ好きには必見。

  • 可愛くて楽しくて、読んでいる間ずっとにこにこしてしまっていた。
    図書館で見かけて気になったので借りて読んだけど、これは手元に置いておきたいので本屋に行こうかな。

  • ねこの浮世絵本。どこから読んでもかわいいしおもしろい。くずし字が読めたらもっとおもしろいかも。

  • 谷津矢車『おもちゃ絵芳藤』を読んでいる途中で見つけた。
    立版古が見られた。

  • (2017-05-10L)

  • 猫を見ながら歴史を読む。
    非常におもしろいです。

  • 幕末から明治期に発行された、子供向けの浮世絵「おもちゃ絵」の、擬人化された猫の絵集です。
    猫の浮世絵で有名な、歌川国芳の絵はあまりありませんが、その弟子の歌川芳藤、落合芳幾、小林幾英といった国芳一門と、国芳のライバル歌川国貞の弟子、国利のおもちゃ絵等が多数載っています。

    子供向けのせいか、絵はどこか可愛らしい顔をしていて、そして書いてあるセリフも可愛い。
    「足洗い 外を歩くと足が汚れるには困る」
    「犬に追われ あれこわいよう、わんわんが来たよう」
    「爪とぎ よく爪をといで、それからだ」
    この時代の生活様式を、猫の絵で楽しめます。

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